なし

　『聖少女』ちびに隠された謎を解き明かすため、そして彼女をイルミンスール魔法学校まで連れてきたエルミティのパートナーであるディル・ラートスンを助け出すため、生徒たちは研究所へ向かいました。
　数々の困難を乗り越えた生徒たちの活躍により、無事にディルは助け出されました。研究所は廃墟と化し、合成獣キメラの脅威も去ったかに思われました。
　
「失礼します！　例の研究所より巨大キメラが出現、他のキメラを引き連れて遺跡へ向かっています！」
　生徒たちが持ち帰った資料から判明した事実をアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）が伝えていた最中にもたらされた報告は、エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）を始めとしたその場に集まっていた生徒たちに緊張を与えました。
「なんじゃと！？　いかん、遺跡にはちびが向かっておる！　今キメラに襲われたらひとたまりもないぞ！」
　アーデルハイトの言う通り、研究所を後にしたちびは、かつて自分が眠っていた遺跡へ、『もう一人のわたし』を見つけるために向かっていってしまったのです。
「ちびがいなくなったらぁ、大いなる恵みがもらえなくなりますぅ。どうしてくれるんですかぁ！」
「いや、そんなこと言われても、ちびは行くって聞かなかったし……俺たちはディルをここへ連れ帰るので手一杯だったし……」
　エリザベートに喚かれ、カイル・ガスティンが弁明しながら後ずさります。
「今は言い争っている場合ではないはずです！　一刻も早く遺跡へ向かい、聖少女を護りましょう！」
「うむ、そうじゃな。遺跡の場所は判明しておる、ここじゃ」
　エルミティの呼びかけで、場が静まり返ります。頷いたアーデルハイトが遺跡の場所を地図で示すと共に、水晶玉に遺跡周囲の光景を映し出します。
「この辺りは特に森が深い。報告によるとキメラは何らかの方法で遺跡の場所を察知した上で、上空から遺跡へ向かっているとのことじゃ。作戦としては地上から迎撃するも、空中で待ち構えるも可能じゃが、キメラに遺跡上空まで侵入を許してしまえば、こちらは迂闊に手が出せなくなる、そこは注意するのじゃ」
「キメラの飛行能力は『浮いて進む』程度で、攻撃を受ければもう飛べない。炎を吐いてくることさえ気をつければ、地上に落とした後で迎撃するのが効果的だと思う」
　エルミティに抱えられる形で、ディルが情報を提供してくれました。
「遺跡は比較的しっかりとした造りじゃ。キメラの襲撃を食い止められさえすれば、自然崩落の心配はないじゃろう。中の様子まではここからでは分からぬ。じゃが、向かわねばちびの安否が心配じゃ。覚悟してかかれよ」
「うっしゃ、んじゃ俺は遺跡に行ってちびを助け出してくるぜ！　ついでに遺跡に眠ってるって話の子も見つけてくる！」
「や、止めてくださいっ！　遺跡にはあの『黒髪の女』も向かっているんですよ！？　もしばったり遭っちゃったらどうするんですか！？」
　既に行く気まんまんのカイルを、パートナーであるダスタールが引き止めます。
「う、そ、そうは言うけどさ……じゃあ、また囮になってキメラを引き付けるか？」
「それも嫌です！」
「どっちでもいいですぅ。とにかく、ちびをこのイルミンスールに連れ帰してきなさぁい！　もう一人の子も見つけられたらやっぱり連れてくるですぅ！」
　エリザベートが喚き、生徒たちは己の役割を確認しながら、出発の準備へと散っていきます。

　今回より、武上瑞穂マスターに代わりましてシナリオを担当します、猫宮烈です。
　どうぞよろしくお願いいたします。
　
　今回の話では、
　・巨大キメラから遺跡を護る
　・ちびを、黒髪の女より早く、遺跡に眠る子と引き合わせる
　この２つが主な目的と思われます。
　
　巨大キメラは、他のキメラを手下のように周囲にまとわせながら遺跡へ向かっています。
　まず護衛のキメラを倒し、最後に巨大キメラを倒すことができれば、遺跡を護ることができます。
　
　遺跡には、前回圧倒的な力を見せ付けた、黒髪の女も向かっています。彼女が放ったキメラが遺跡を徘徊する中、ちびを護りながら無事に『もう一人のわたし』を見つけてあげましょう。
　
　黒髪の女は、ちびと、遺跡に眠る子と一つになることを望んでいます。
　彼女を止めることは、相当の難度です。ましてや彼女と一つになろうとすることは、究極の難度です。
　
　その他、ちょっと皆を出し抜いてみたりすることも考えられるでしょうが、相応の難度です。
　そのことを承知した上で、アクションを検討してみてください。
　
　前回参加された皆さま、そして新たに参加される予定の皆さま。
　以上、よろしくお願いいたします。

・巨大キメラから遺跡を護る

・ちびを、黒髪の女より早く、遺跡に眠る子と引き合わせる

・黒髪の女に戦いを挑み、自分が女と一つになる