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「蒼空学園の皆さま、ようこそ京都へ。歓迎いたします」

　京都にある晴明神社の境内には、数十名の蒼空学園生が集まっていました。
　修学旅行で京都へやってきた蒼空学園生。
　本日はここで『陰陽道』の体験学習が開かれます。
「陰陽道体験学習を希望された皆さま。この度、陰陽道の指導を任されました、第５９代目安倍晴明（あべのせいめい）です」
　襲名してまだ日が浅いのか、彼は年若く美しい陰陽師です。
　ですが、その身に秘めた才覚を生徒たちは感じ取っていました。
「蒼空の皆はん、おこしやす。にしんそばはもう食べはりました？」
　その傍らで、晴明のパートナーの妖狐・葛葉（くずのは）も、生徒達を歓迎してくれています。
　一族に代々仕える妖狐だと言われていますが、見た目は黒い着物に身を包んだ銀髪の少女です。

「習うより慣れよ、と古来より言われております。式神と直に触れ合って頂き、陰陽道への理解を深めて頂きたく思います」
　涼しげな笑みを浮かべると、晴明は宙にセーマンの印を切りました。
　すると、わずかに陰った空が光り輝きました。その光はやがて十二個に分かれ方々へ散っていきました。
「……今飛んでいきましたのは、私の直属の式神『十二神将（じゅうにしんしょう）』です。皆さまには付近へ散った十二神将と力試しをして頂きます。陰陽道とは魔なる者をも使役する秘術。真剣勝負を通しての魂のやり取りが、互いの絆を生み、やがては魔をも御する技へと至るのです。皆さまには実践を持って、陰陽道への理解を深めて頂きたく思います」
　真剣な眼差しで晴明の言葉に生徒は耳を傾けています。勝負に武者震いする者の姿も、中には見られました。
　その様子を静かに眺め、晴明は優しい口調で付け加えました。
「さすがは御神楽さまの学校の生徒さまです。怖じ気づく人間はおりませんね。ちなみに、十二神将の中にはたいそう気性の荒い者もおります。はらわた等を引きずり出された場合、当神社では責任は負えませんので、速やかに指定の病院のほうへ……」
「晴明はん。晴明はん。ちょっと……」
「どうしました、葛葉？」
「どうもこうもありまへんよ。そんな脅かすような事言って……、生徒はんがひいてはりますわ」
「私のささやかな趣味ですよ。他人が恐怖に引きつる顔を見ると、こう……、ゾクゾクしてくるのですよ」
　第５９代目安倍晴明は、その身にもう一つ余計な才覚を秘めているようでした。

「しかし、甘く見てはいけない相手なのは確かです。私から幾つか教えを授けましょう。木、火、土、金、水。この世は陰陽五行の調和によって、成り立っています。五行相剋と言う言葉をご存知ですか？　水は火を消し去り、火は金を溶かし、金で出来た刃物は木を切り倒し、木は土を押しのけ根を張り、土は水の流れをせき止める。十二神将もそれぞれ五行に属する者達、五行の理を用いればおのずと勝利の道は開けるはずです。また、十二神将はそれぞれ性格も異なります。どのような勝負になるかは相手次第です。ですが、彼らの根は同じ、皆さまの力を認めさせる事が出来れば、彼らが皆さまに仇なす事はなくなるでしょう」
　そう言うと、晴明は笑みを浮かべました。


「では、わずかな時間でございますが、楽しい修学旅行をお過ごしください」

マスターの梅村です。

今回は修学旅行イベントです。
修学旅行の思い出を作りつつ、十二神将との勝負を楽しんで頂ければと思います。
五つのコースをご用意しましたので、どれか一つ選んで参加してください。
なお、これは蒼空学園の修学旅行イベントです。
もし他校の方が参加される場合、参加に至った目的等を書き添えて頂けると助かります。
例：陰陽道に興味があり、こっそり参加する事にした。

↓こちらが修学旅行のしおり（一部抜粋）となります。

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『修学旅行のしおり　安倍晴明への挑戦！』


十二神将は晴明神社付近、五カ所に待ち構えています。
体験学習参加の生徒は、一カ所を選び十二神将の攻略を目指してください。

■二条城を巡る『火』のコース
■十二神将　騰蛇（とうしゃ）朱雀（すざく）
歴史ある舞台で、『火』の十二神将とのバトルを繰り広げるコースです。
騰蛇は鬼火を纏った炎の大蛇で、翼を持ち空を自在に飛ぶ事が出来ます。朱雀は火の鳥です。二神とも大変気性が荒く乱暴者で、友達にはなれないタイプです。弱い者に強く強い者に弱いので、たっぷりお灸を据えて、力を認めさせましょう。五行に当てはめると、彼らの弱点は『水』となります。二神とも飛行能力を有しているので、それをふまえつつ作戦を立ててみましょう。

■四条河原町を巡る『木』のコース
■十二神将　六合（りくごう）青龍（せいりゅう）
京都の繁華街を舞台に、『木』の十二神将をこらしめるコースです。
六合はチョビヒゲを生やした大兎。『金』は『金』でもお金に滅法弱いです。そして、大変ビビリです。今回の勝負には関心がないらしく、あろう事か、この機会に青龍をハンドバッグにして売り飛ばそうとしています。そそのかされている青龍を助け出し、六合を改心させる事が出来れば、力を認めてもらえるでしょう。

■京都御所を巡る『土』のコース
■十二神将　勾陳（こうちん）天空（てんくう）大裳（たいも）
優雅な庭園を舞台に、『土』の十二神将と拳で語り合うコースです。
勾陳は黄金の龍鎧を纏った生粋の武人です。一対一の決闘を希望しており、「俺は誰の挑戦をも恐れない。ノーフィアー！」と主張している模様。試合の進行は、実況に定評のある天空と、解説に定評のある大裳でお届けします。勾陳は十二神将でも最強クラスの実力者。弱点を突かない限りまず勝てませんが……、『木』がどう弱点となりうるのか謎ですね。でも、無理に弱点を狙う必要は有りません。彼は勝ち負けより、如何に戦いで自分を表現出来るかを評価します。インパクトのある必殺技を見せつけてやれば、実力を認めてもらえるでしょう。※必殺技は現在のPCのスキルを踏まえつつ、可能と思われる範囲で作成してください。

■四条河原町周辺通りを巡る『金』のコース
■十二神将　大陰（たいいん）白虎（びゃっこ）
大通りを舞台に、『金』の十二神将と追いかけっこをするコースです。
大陰は可愛らしい少女の姿をした式神です。白虎はその名の通り、大きなホワイトタイガーです。大陰は白虎の背に乗り、通りを走り回るスピード狂です。自分を捕まえられないような人間の言う事は絶対に聞きません。取っ捕まえて、皆さんの凄さを見せつけてやりましょう。スピードで勝負して捕まえても良いですし、罠を使って捕まえても大丈夫です。

■鴨川を巡る『水』のコース
■十二神将　天后（てんこう）玄武（げんぶ）
恋人達の憩いの場を舞台に、『水』の十二神将と大暴れするコースです。
天后は美しい女神の姿をした式神。玄武は巨大な老亀です。天后は鴨川に集う恋人達が気に食わなかったらしく、アベック粉砕を掲げて暴れています。そんな彼女に玄武はひいています。彼女を止める事が出来れば認めてもらえるかもしれませんし、彼女に協力しても認めてもらえるかもしれません。また折角の機会なので、鴨川のほとりで意中の相手と親睦を深めたいと言う生徒は、羽目を外しすぎない程度にご自由にどうぞ。嫉妬の女神の邪魔が入るかもしれませんが。


なお、十二神将のリーダー・天乙貴人（てんおつきじん）は生徒の監視役を担当しています。
監視を行っているのは、天乙貴人だけではありません。
強力な力を持つシャンバラの生徒たちは、修学旅行期間中は警察や自衛隊の監視下に置かれています。
大抵の騒動は天乙貴人が処理してくれますが、洒落にならない騒動（文化遺産の破壊等）を起こした場合、
シャンバラに強制送還となります。
誇りある蒼空学園生として、節度を守り楽しい修学旅行をお過ごしください。


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これらを踏まえて参加して頂ければ幸いです。

・二条城を巡る『火』のコース

・四条河原町を巡る『木』のコース

・京都御所を巡る『土』のコース

・四条河原町周辺通りを巡る『金』のコース

・鴨川を巡る『水』のコース