なし

　今蒼空学園では、「このままでは春休みを迎えられないのではないか？」という恐怖が、追試対象の生徒を覆っています。というのも、社会科関係の追試の作成を一手に引き受けている教師、御上真之介（みかみしんのすけ）先生が、昨日から行方不明になっているのです。

　学校側の発表によると、現在のところ御上先生とは全く連絡が取れていないということで、ケータイは呼び出し音が鳴るのみで一向につながらず、また自宅のある職員寮にも昨日から帰宅していない様子だそうです。

　一昨日の朝、出勤時に御上先生とすれちがった同僚教師の証言によりますと、その日授業のなかった御上先生は、趣味のトレッキングに出かけると話していたそうです。また先生は学校近郊にある通称『妖精の森』がお気に入りで、よく訪れていたといいます。

　この情報を元に学校側が調査したところ、森の外れにある巨木の根元で先生愛用のメガネと、比較的新しい血痕が発見された。さらに現場周辺からは、コボルドやオークの物と思われる小型ヒューマノイドの足跡が多数と、何者かが争ったような跡も見つかったのです。

　以上のことから学校側は、御上先生が何らかの事件に巻き込まれたものと判断。直ちに対策本部を設置するとともに、救助隊を編成しました。

　学校側は、「追試までには時間がなく、今からほかの先生に追試の作成を依頼するのも困難な状況にある。このまま期日通りに追試が実施できない場合、春休みに入れない可能性もあり得る。」との見解を示しています。

　また「既に作成済みのテスト問題があるのではないか？」という記者の質問に対しては、「確かに存在はするが、テスト問題は御上先生の契約者であるノートパソコン（魔導書）内に記録されており、彼は契約者である御上先生の了承無しにデータを開示することはできないと主張している。」という回答が返ってきました。

　まさに追試実施のためには、先生の救出が必死という状況です。


　果たして御上先生は、邪悪なモンスターに連れさられてしまったのでしょうか？推定で百人は存在すると見られる追試対象生たちは無事にテストを済ませ、晴れて春休みを迎えることができるのでしょうか？全ては、救助隊の活躍如何にかかっています。

　我々報道部はこの事件を『御上先生失踪事件』と名づけ、今後も取材を続ける意向です。

文責　蒼空学園報道部　森下冬希

　以上の新聞報道にもあるように、現在対策本部は、御上先生救助隊への志願者を募集しています。今回の作戦では、残された痕跡などから戦闘の発生が想定されており、一定の戦闘力を備えた人物の参加が必須とされています。

　また、無用な戦闘を避けつつ先生を救出するためには、高い状況判断力や隠密能力を持った人物も必要です。もちろん、医療能力や治癒能力を持った生徒も欠かせません。現場で血痕が見つかっていることから、御上先生は負傷している可能性があります。さらに、場合によっては御上先生を拉致した人物との解放交渉が発生する可能性もあり、交渉に長けた人物の参加も期待されています。

　以上は先生救出にかかわる人材ですが、この他調査要因も必須です。『妖精の森』は古くから要請が住んでいるという言い伝えのある森で、時折美しい妖精の姿も見られた場所ですが、いつの間にか妖精に替わって、ゴブリンなどの邪悪なヒューマノイドが目撃されるようになってしまいました。

　今のところ対策本部は、御上先生はこのゴブリン達に連れられたものと考えていますが、まだ確認は取れていません。御上先生のメガネの見つかった巨木の背後は高い崖になっており、ここから転落した可能性も否定できないといいます。

　この他御上先生はここ数日、校内でも特に素行の悪い生徒数名からテスト問題についての情報をリークするよう迫られていた、という未確認情報もあります。
　また、御上先生の契約者である魔導書『ヤズ』に対する本格的な聞き取り調査もまだ行われておらず、彼から何か有益な情報が引き出せるかもしれません。



　今回の行方不明事件は、『実は密かに御上先生を狙っていた』人物にとっては、先生との距離を一気に縮めるまたとないチャンスになります。御上先生は御年28歳の花の独身。成績や見た目や出身（地球人かパラミタ人か）で生徒を判断せず、どんな些細な悩みでも親身になって相談に乗ってくれることから、生徒には人気があります。
　また、愛用しているまんまるメガネとボサボサ頭、それに天候要因以外で全く変わることの無い服装と猫背のせいで、非常に“パッとしない”御上先生ですが、以前から学内には、“実はメガネの下は大変な美形である”というまことしやかな噂が流れています。


　追試はあさってに迫っています。春休みが一日たりとも削られることの無いよう、何としても御上先生を無事救出して下さい！猶予は1日しかありません！！

・御上先生を連れ去ったゴブリン達と戦う。

・先生を助け、傷を治す。

・シーフとしてかっこいい活躍がしたい。