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「百合園女学院からの愛の使者、募集……」
　百合園女学院の掲示板の前で、生徒のひとりである泉美緒（いずみ・みお）は、貼り出されたピンク色のポスターを見上げていました。
　怪しさ大爆発な見出しがついていますが、ポスターの隅には校長である桜井静香（さくらい・しずか）の署名もあります。どうやら、学院に認可された、正式な掲示物のようです。

　実はこの企画の発端は、桜井静香その人とそのパートナー、ラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）でした。
　バレンタインは勿論恋人達の為の行事ですが、箱入りのお嬢様も多く預かっているこの学院で、おおっぴらに男女の恋愛を推奨するような行事をするわけにはいきません。
　しかしながら日本の行事を大切にしたいと考える校長、というかパートナーの、生徒達にバレンタイン気分を味わって貰いたい、という強い要望の元企画されたものなのです。

　バレンタインという行事の存在こそ美緒も知っていましたが、意中の男性、と言われてもピンと来ない為なかなか関わるチャンスはありませんし、教導団本校のあるヒラニプラにだって、そうそう行けるものではありません。
「参加してみるのも、面白いかもしれませんわね。」
「本気ですか？！」
　うーん、と真面目な顔で検討する美緒のとなりで、パートナーのラナ・リゼット（らな・りぜっと）が咎めるような声を上げます。
　この年になってようやく一人で買い物ができるようになった、という天然箱入り娘の美緒が、士官学校などという場所に行っても大丈夫なのでしょうか。

　ラナの心配は最もです。美緒だけではありません、良家のお嬢様ばかりのこの学院の生徒達と「お近づき」になりたいという教導団生は少なくないはず。よからぬ事を企む輩が居ないとは限りません。
　無論、教導団から百合園生が立ち入るのを許されているのは食堂のみで、そこで生徒達の手作りのお菓子を振る舞うことになっています。その場には教官の李梅琳（り・めいりん）が立ち会う手はずになっていますから、そうそう滅多なことは起きないと思いますが……

　はて所変わってシャンバラ教導団内部にも、「愛の使者がやってくる！」と仰々しい見出しの付いたポスターが貼り出されていました。
　共学であるシャンバラ教導団ですが、女子生徒も軍人の卵ですから、どうしたって普段は、色恋沙汰とは縁遠い生活です。そこへ百合園女学院のお嬢様達がやってくる――男子生徒を中心に、生徒達は浮き足立っています。
　当日は誰でもが自由に食堂へ入ることが出来ますが、当然ながら男子生徒の殺到が予想されるため、会場整理のお手伝いも募集しているようです。
　お手伝いに参加する場合、配布されるお菓子は受け取ることができませんが、その代わり百合園の女子生徒には感謝して貰えるでしょう。
　いずれにせよ、教導団の生徒にとっても大騒ぎの一日となりそうです。

　はじめまして、新米マスターの常葉ゆらと申します。
　シナリオの担当は初めてですが、皆様に楽しんで頂けるよう頑張りますので宜しくお願いします。

　今回のシナリオですが、舞台はシャンバラ教導団本校（主に食堂）となります。
　百合園学院の生徒さんはどうぞ、「愛の使者」としてチョコレート作りに参加したり、教導団の皆さんに愛を振りまいてあげてください。
　もちろん愛想を振りまくだけですから、設定上の「恋愛対象」による縛りはありません。
　教導団の生徒さんは、素直に愛を受け取るもよし、会場整理のお手伝いをするもよし、あわよくばお持ち帰りを狙うもよし……
　ただし食堂には梅琳教官が詰めていますので、その辺は肝に銘じておいて下さいね。

　「愛の使者」はお昼過ぎに教導団の本校・食堂へやってきます。
　そこで手作りのお菓子を制作し、三時頃から配布が始まるという予定です。
　「愛の使者」に参加する場合、「お菓子作り」メインに参加するか「配布」メインに参加するかをアクションに入れて下さい。指定がない場合は適当に振り分けます。

　　「愛の使者」は百合園女学院の生徒によって構成されますが、外見性別が女性であれば、他の学校の生徒が紛れ込むことも可能です。
　また、教導団側に他学校の生徒が紛れ込むことも可能ですが、その場合食堂以外の場所に入ることはできません。
　また、シャンバラ教導団、もしくは百合園女学院に意中の人が居るという場合、こっそり抜けだして個人的にチョコレートを渡しに行くこともできますが、渡したい相手がシナリオに参加していない場合は「渡そうと思って準備していたけれど、抜け出せなかった／会えなかった」という処理になります。
　確実に授受を行う為には、受け取る人と渡す人とでＧＡを掛けて下さい。そうでない場合は、受け取って貰えるかどうかはわかりません。

・配布するためのチョコレートを作る

・お嬢様をお守りする！

・手作りチョコをゲットする

・会場整理のお手伝い