なし

――春。
　花は咲き誇り、眠っていた動物達が目覚めだす季節。
　蒼空学園にも、例外無く春は訪れます。
　ただ、今年はちょっと……いえ、かなり様子が違っていました。

「し、失礼します〜……」
　校長室のドアを開き、卜部　泪（うらべ・るい）がいつもとは違う疲れた声で挨拶します。
　依頼があると呼び出された彼女ですが、今日はいつもの元気さは見られず、へとへとな状態です。
　そして、何故か身体中が桜の花びらまみれになっています。
「おお泪先生！　来てくれましたか！」
　蒼空学園学長、山葉　涼司（やまは・りょうじ）が椅子から待ってましたといわんばかりに立ち上がります。
「いえいえ……それより話は聞いていましたが、凄いですね」
　桜の花びらを払いつつ、泪が窓の外に目をやります。

――そこから見える景色は、桜の花びらが吹き荒れ『桜吹雪』と呼ぶのに相応しいものでした。
　現在、蒼空学園周辺はこの桜吹雪にもう何日も見舞われている状況です。
　外を少し出ただけで雪……もとい花まみれ。校舎でも花びらの重さに耐えかねたガラスが割れ、校舎内にも花びらが吹き込んでくる始末。とても授業になりません。

「それにしても、一体何故このようなことが？」
「ああ、それは彼女の仕業です……」
　苦笑しつつ涼司が応接用のソファに目をやると、そこには小さい少女がちょこんと座っていました。
「あら、可愛らしい女の子……も、もしかしてこの子が噂の隠し――」
「ちちちち違います！　彼女、実は――桜の樹の精霊らしいんです」
　
　蒼空学園の敷地から少し離れたとある場所。そこに桜の樹が何本か植わっていました。
　その樹はとても古いもので、蒼空学園校舎が建つ前からそこにあったと言われています。具体的にどのくらい古いかと言うと、
『暇なのよーっ！』
桜の樹に精霊が宿った上、鬱憤が溜って爆発させてしまうくらい。

『もう何年も何にも無いし、誰も来ないしで暇なのよ！　退屈なのよ！』
　うがー、と精霊が吼えます。
　この桜吹雪は、この精霊の溜りに溜った鬱憤が爆発した形で現れてしまったようです。
「お話はよくわかりました。それで、私は何をすれば？」
「それなんですが……彼女の樹でお花見をしようと思いまして」
「お花見、ですか？」
「ええ、何でも昔はよくお花見……というか宴会をする人が多かったらしくて、宴会を見たり混じったりするのが楽しかったらしいんです。けどここ何年も無いようで……」
　その桜のある場所はちょっとした穴場として花見をする者も多かったようですが、現在はその存在を知る者も少なくなってしまったようです。
「ほうほう。鬱憤が溜った原因はそれですか」
「だから今回、生徒達に呼びかけてお花見をしようと思うんです。泪先生にはその参加を呼びかけて欲しいんですよ。この際だからうち以外の生徒も呼んでパーッとやろうと思いましてね」
「了解です。呼びかけは任せてください！」
　ビシッと敬礼ポーズを決めて、泪が言います。
「けどお花見かぁ……暫くやってないから、ちょっと楽しみですね」
　泪は当日の光景を思い浮かべているのか、はしゃいだように言います。
「ええ……俺も花音の件とか色々ありますし……この際パーッと忘れられたらなぁ……ははは……」
　それとは対象に、涼司は疲れたように乾いた笑いを漏らしていました。
「あ、あはは……」
　そんな涼司に、流石の泪も苦笑するしかありませんでした。

初めましての方は初めまして。そうでない方はまたお会いしましたね。高久高久です。
今回もありがたい事に書かせて頂ける事になりました。よろしかったらお付き合い下さい。

さて、今回の目的は『精霊を楽しませる』ことです。といっても難しく考えなくても大丈夫です。
基本的に精霊は場が盛り上がっていれば楽しいようなので、深く考えずドンチャン騒ぎをしてください。
ただし無礼講とはいえ、最低限のマナーは守りましょう！

状況としては『お花見に参加』以外にも『出店を出す』『お花見の見回り』といった役割が必要かと思われます。

●お花見に参加
蒼空学園近くの場所ですが、他校の生徒の参加も勿論可能です。精霊を楽しませるべく騒いでください。
基本的には無礼講、ということで盛り上がるようであれば何をしても自由です。飲もうが食べようが歌おう芸を披露しようが好きにしてください。
けど最低限の人としてのマナー（ゴミは決められた場所に捨てる、木の枝は折らない等）は守るようにしましょう。さもないと、何が起こるかわかりませんよ？

●出店を出す
蒼空学園でも飲食物の出店は出す予定ですが、何分急な事なので最低限の物です。
そこで今回、生徒側の出店も許可されます。
こういう宴会につき物のアルコールも販売は可能ですが、未成年には気をつけてくださいね。
また学園側の出店を手伝うのもありです。

●見回り
このような宴会となると、羽目を外す人が出てくるのはある意味必然と言うもの。
多少の羽目ならばいいですが、他人に迷惑をかけるレベルになっては盛り下がってしまいます。
その様な場面を仲裁したり、注意する方も募集します。
ゴミを拾ったり、トラブルがあったら駆けつけてください。
酔ったりして話を聞いてくれない方も多いと思いますが、世間は多少の実力行使は目を瞑ってくれるはずです。

●精霊
少女の精霊一人です。この精霊は一人で何本もの桜の樹を担当しているようです。
外見は子供っぽく性格も見た目通りです。
精霊と言っても、物は好き嫌い無く食べられるようですし、お酒も外見はともかく年齢的には問題ないと思われます。
また楽しそうな光景を見ただけで自分も楽しくなってくるお祭り好きな所があるようです。
ただ怒らせると怖い所があります。怒らせて桜の樹の肥料にされないよう気をつけましょう。
『桜と私は一心同体みたいなものなのよ！　樹に酷いことしたら埋めるのよ！』（ｂｙ桜の精霊さん）

・一曲歌います！

・お店出店

・見回りー