なし

　蒼空学園の図書館は、イルミンスール魔法学校ほどではありませんが、かなりの蔵書量を誇っています。
　中でも陰陽五行思想や修験道といった東洋魔法は蒼空学園で教えていることもあり、その蔵書量はかなりものです。
　エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）が蒼空学園を敵視しているのも、御神楽　環菜（みかぐら・かんな）へのライバル心だけではないようです。

　その日、蒼空学園の図書館にはちょっとした人だかりが出来ていました。
　蒼空学園の生徒達が遠巻きに見ているのは、一人のシャンバラ人の女性です。
　アラビアンナイトに出てくるような、シースルーの踊り子の衣装と煌びやかな装飾品の数々をまとい、健康美に溢れる褐色の肌を惜しげもなくさらしたエキゾチックな美女が、歴史書のある棚の前で一心不乱に古文書を読んでいます。
　健全な若者には少々刺激的な光景です。

「探し物は見つかりまして、シリウス？」
「お陰様で。この書物、イルミンスールには無かったので助かりました」

　古文書を読み終わり棚へ戻したところへ、六枚の翼を湛えた守護天使ルミーナ・レバレッジ（るみーな・ればれっじ）が声をかけました。
　女性の名前はシリウスと言い、シャンバラ各地を旅してその地方に伝わる踊りを身に着けている踊り子です。
　しかし、彼女には別の顔があります。各地に点在するシャンバラ古王国時代の遺跡を巡り、『女王器』を集めているトレジャーハンターなのです。

「『アトラスの傷跡』近くに、まだ最深部まで調査されていない遺跡があるかもしれません」
「最深部まで調査されていない？」
「ええ。そこは何らかの儀式を行っていた場所のようで、先に進むには大切な人を差し出す必要があるそうです」
「大切な人……ですか」

　シリウスの言葉に、ルミーナが真っ先に思い浮かべたのは環菜でした。

「それで最深部まで調査されていないのかもしれません。ですが、最深部が調査されていないだけに、この遺跡に女王器、あるいはシャンバラ女王にまつわる物品が眠っている可能性は高いと思います」
「トレジャーハンターの勘、ですか？」
「分析と言って欲しいです。それに、パートナーのいない私も、この遺跡を調査することは出来ませんから」
「あなたほどの腕利きが調査できないのであれば、可能性は高いですわね。分かりましたわ。あなたのお手伝いですから、我が校の生徒をはじめ、他校の生徒にも協力を呼びかけてみますわ」
「助かります。シャンバラ大荒野の遺跡はモンスターにとって格好の棲家ですし、調査が終わっていなければ仕掛けも生きている可能性がありますから」
「それと、わたくしも同行させていただきますわ。女王器やシャンバラ女王様にまつわる物品が眠っている可能性が高いのでしたら、この目で見てみたいですもの」

　その後、ルミーナの名前で、各校に遺跡の調査団募集のお知らせが届いたのでした。

　シャンバラ大荒野のアトラスの傷跡近くにあるという、最深部まで調査が済んでいない遺跡を探検します。
　ルミーナからの依頼ですが、依頼主はシャンバラ人のシリウスですので、学校は関係なく参加できます。
　
　遺跡は石造りの神殿のような造りですが、半ば荒野に埋もれた状態になっています。
　荒野の部分には全長２ｍを越すジャイアント･アント（巨大蟻）やジャイアント･センティピート（大ムカデ）が巣食っています。
　奥に進むとスライムやゴーレムといった魔法生物がいるかもしれません。
　また、何らかの儀式を行っていた場所のようですから、侵入者除けの罠が生きている可能性もあります。
　
　これらをどのように突破していくか、「自分のキャラに出来ること」をよく考えてアクションを掛けてください。
　
　そしてもう一つ、この遺跡の最深部へ行くには、「大切な人を差し出す」必要があるようです。
　大切な人はパートナーとは限りませんが、あなたは大切な人を自ら差し出しますか？　それとも他人にその任を委ねますか？

　なお、遺跡探検に必要なランタンや懐中電灯、ロープなどはシリウスが、その他コンビニやホームセンターで購入できるものでしたらルミーナが用意します。
　必要なものがありましたらアクションに書いてください。

・遺跡にはびこるモンスターと戦う

・遺跡にある罠を調べる

・大切な人を差し出す