なし

　
　
「どうしよう……」

　突然の夕立に遭ってしまった蒼空学園の小谷　愛美（こたに・まなみ）は、近くの公園の木の下で、雨が止むのを待っていました。
　雨は、もうしばらく降り続きそうです。
　その時、通りかかった愛美より少し年上の青年が、愛美に傘を差し出しました。
「傘、貸してやるよ。俺ん家すぐそこだから」
「えっ？」
　愛美に傘を渡すと、青年は自分の家へと走って行きました。
　その小さな優しさに、愛美は確信したのです――。

「あの人こそ、『運命の人』だわっ！」

　それから、愛美は毎日のように彼に会いに行きました。
　彼は、蒼空学園の大学生で、愛美とは通学時間も下校時間も違っていましたが、授業前や昼休み、放課後には手作りのお弁当やお菓子を届けたりと、何かと理由をつけては話をしに行っていました。
　けれども、愛美のその行為は、彼にとって負担でしかありませんでした。
　彼には片想いの相手がいたのです。
　想い人に誤解されてしまう恐れがあると考えた彼は、ある日、愛美にこう言いました。

「研究に使うフラットカブトの根が足りないんだ。採ってきてくれたら君と付き合ってもいいよ」

　フラットカブトは一般人が手に入れられるような場所に生えてはいません。
　手に入らないものを持ってくることを条件に出すことで、愛美の気持ちに応えられないと彼は愛美に答えたつもりでした。
　しかし、恋心故に盲目状態になっていた愛美は、純粋にフラットカブトの繁殖場所を探し回り、学園の東にある森の奥、藪に覆われた浅い洞窟の中で繁殖しているという情報を掴んだのです。　
　それを知った途端、どんな場所かも調べもせずに、愛美は急いでその場所へと向かいました。

　……翌朝になっても、愛美は学園に戻りませんでした。
「マナが向かった先は、立入り禁止になっている場所なの。大蛇がいっぱい生息しているらしくて……。マナ、毒にやられちゃったのかもしれない」
　愛美のパートナーのマリエル・デカトリース（まりえる・でかとりーす）が、心配そうに言いました。
　大蛇に噛まれた者、吐き出された毒液を食らった者は毒により数分で意識を失ってしまいます。
　意識を失ってからおよそ２４時間で命を落とすといわれています。
　その大蛇の毒は特殊な毒であり、キュアポイゾンで治すことは出来ません。
　フラットカブトの根から作り出した飲み薬でのみ、治療することができます。

「薬の作り方が載っている本は用意できてるの。フラットカブト１株につき、約１人分の薬が作れるはず。実験室で待ってるから、マナとフラットカブトをお願い……っ」

　大蛇の毒液や体液を浴びた者は、皆毒にかかってしまいます。
　仲間を信じて挑む必要がありそうです。

こんにちは、玉野です。
このシナリオは蒼空学園優先補正がかかっていますが、他校生でも助っ人として歓迎いたします。
小谷愛美を、そして洞窟に向かう勇気ある学友達をどうか助けてあげてください。
皆さんの熱いアクション、お待ちしています！

【洞窟について】
　小型飛空艇やその他の乗り物で洞窟の上空に近付くことは可能ですが、下りる場所はなさそうです。
　洞窟は幅１〜８ｍ、高さ１〜１５ｍ、全長３０ｍほどですが、Ｌ字型になっていて、奥の方は光が差しません。
【フラットカブトについて】
　フラットカブトは、洞窟の奥まった場所にある、池とも呼べない小さな水溜まりの淵を囲むように群生しています。
　１５センチ程の白いカブトムシの角の様な形の茎を引き抜くと、ゴルフボール大の根が収穫できますが、少し力が必要です。
【大蛇について】
　大蛇は全長２〜５ｍ、数は５０匹前後で、後頭部に毒壺と呼ばれる膨らみがあるのが特徴です。
　この地方では珍しい蛇ではありませんが、一箇所に大量発生しているのはめったにない事です。
　大蛇の毒は、全身鎧を着ている程度では防げないとお考え下さい。

※注意事項※
・ＬＣがＭＣと離れた場所で単独行動をするアクションは、失敗・没になる可能性があります。ＭＣの行動に絡めたアクションとして下さい。
・「○○と○○をする」など、メイン行動が２つ以上ある場合、ダブルアクションと判定され、失敗・没になる可能性があります。
・キャラ設定や世界観、シナリオガイドに沿わない道具・設定・情報を利用した、有利になり過ぎるアクションは失敗・没になる可能性があります。
・シナリオに全く関係の無いアクションは、失敗・没になる可能性があります。
・通常、ＰＣが用意出来る道具は「どこのコンビニやホームセンターにも売っていそうな物」の範囲とします。
・公式に無い技・武器・スキル・有利になり過ぎる自由設定の一部は、全て自称扱いとなります。
・外部リンク先は、必ずしも参照するとは限りません。自由設定内に納めるようにして下さい。

＜初心者様へのアドバイス＞
◎事前準備として、まず、自由設定欄にキャラの補足設定を書き込み、他の人との差別化を図りましょう。
　そのままだと個性が伝わらず、５０人の中に埋もれてしまいます。他のキャラデータと矛盾のない様、気をつけて下さい。
（１）どうやってアクションを書いていいかわからない方は、まず、サンプルアクションを読みましょう。
（２）その中で、自分のＰＣがとりそうな行動に１番近いものを選びます。
（３）選んだサンプルアクションを、自分のＰＣ用にカスタマイズしていきましょう。
　　　どうしてＰＣがその行動を取りそうだと思ったのでしょうか？＝これが動機になります。
（４）そう(動機)考えた貴方のＰＣならば、どういう風に動くのでしょう？　また、事件に対してどのように考え、どんなセリフを言うと思いますか？
　　　それをサンプルの手段にある原文に、足したり引いたりして自分のＰＣらしさを出していきます。＝これが手段に書くべきものとなります。
（５）以上の動機・手段を踏まえ、貴方はマスターに対して、物語の中で、ＰＣをどういう風に扱って欲しいか等のメッセージを送れます。
　　　＝これを目的に書いて下さい。

　もちろん、書くのに馴れてくれば、この限りではありません。貴方のＰＣが、物語の中で取りたい行動や気持ちを、いかにマスターに伝えるかが肝心なのです。

＜ワンポイントアドバイス＞
・グループアクションをかける場合、役割だけを書くのではなく、詳しい手順や予想、心情や台詞なんかを書くと行動に幅が出るよ。
　ただし、ダブルアクションには気をつけてね。
・動機と手段とキャラ設定が矛盾していたら、どんなキャラなのか分からなくなっちゃうよ。
　矛盾していたら、アクション欄か自由設定に、矛盾している理由を書くといいよ。
　例えば「いつもは弱者を食い物にしようとするキャラですが、貧乏大家族ネタには弱いため、助けになろうとします」とかね。
・一番詳しく書いてあるものが、描写されたいところかと思っちゃう。例えば、肝心の作戦や行動はおざなりで、家族構成を延々書いたりとかすると、
　家族の話がしたいのかと思っちゃう。
・確定ロールは困ったちゃん。「自分が犯人を捕まえるので、皆は尊敬してきます。その中で一番可愛い娘をお持ち帰りします」って書かれても、
　どうやって犯人を捕まえるつもりなのかも、それが成功するのかも分からないし、第一、誰かの大事な娘をそう気軽にプレゼントはできないよ。
　皆が尊敬してくれるかだって皆次第だしね。
　こういう場合、「犯人を捕まえるため、○○という風に動きます。皆から尊敬されるような行動を心掛け、
　自分に好意を持ってくれそうな可愛い娘がいたらナンパしたいです」とかでもいいんじゃないかな。
・無関心キャラだからといって、「いつものように周りの騒動は無視します。巻き込まれたら(手段)という風に動きますが、基本、何もしません」
　ってあったら、巻き込まれなかったので、何もしなかったって描写になっても仕方ないよね。
　イメージを守りつつ行動したいなら、素直にそう書けばいいよ。
　目的か手段に、「まわりに無関心なキャラですが、事件に関わらせたいので、イメージを守りつつ、なんとか事件に巻き込んで下さい」とか。
・「ものすごく活躍して、ここぞという時に、決め台詞を言いたいです」は、むずかしいなぁ。活躍したいのは皆一緒だもんね。
　手段の欄には、夢や希望の他にも、実際に活躍するための具体的な手段もきちんと書いてね。

・大蛇を倒す

・洞窟に突入する

・愛美を探す

・薬の準備をする