なし

　蒼空学園のある昼下がりのこと。

「はぁ〜、今日も何事もなくてつまんないわ〜……わぷっ！　な、なに？」
　などと呟き暇をもてあましていた高根沢　理子（たかねざわ・りこ）は、飛んできた一枚のチラシに目を奪われました。

『大樹の歌姫＆騎士様、募集しています。
ツァンダ近郊の森の外れにある「香歌ノ樹（かおりうたのき）」という一本の大樹。
この樹は、この時期に歌を聞かせればとても芳醇な香りを撒き、他の植物や動物に活力を与える不思議な樹なのです。
しかし今年はなぜか、歌を聞かせようとすると狙いすましたように大量のモンスターが襲ってきます。
それに加え、黒衣に身を包んだ謎の男が執拗に歌わせないよう邪魔をしてくるのです。
このまま香りをさせないまま時期が過ぎてしまいますと、森に生きるものたちに影響が出るかもしれません。
ですからこのチラシを読んでくださった方。どうかたくさんの歌を、あの樹に聞かせてあげてください』

　以上のメッセージとともに手紙には樹の場所も記載されていました。　
「…………」
　やけに熟読している理子に、傍らに立つジークリンデ・ウェルザング（じーくりんで・うぇるざんぐ）は、
「リコ、もしかして興味あるの？」
「えっ！？　あ、べ、べつにぃ？　あたしが歌姫とかなんて似合わないわよ！」
「そう？」
「そ、そうよ！　あたしが気になってたのは、こっちの騎士様募集のほうよ！　襲ってくるモンスターに、謎の黒衣の男！　見過ごすわけにはいかないわ！」
　そう言ってそのチラシに記載されていた場所へと駆け出していく理子と、
「香歌ノ樹、か……。あれは確か、歌を聞かせ過ぎても問題だってどこかの植物学者が言っていた気もするけど……」
　ぽつりとそう呟き、後を追うジークリンデでした。

　今回のシナリオは、スタンダードバトル＋特殊なバトルのシナリオです。
　皆さんはその大樹へと赴き、歌を聞かせてあげるなりモンスターと戦うなりして頂ければ結構です。
　歌はどのようなものでも構いません。楽しい歌から切ない歌まで多種多様な歌を聞かせてあげたほうがよいでしょう。
　タイトルには歌姫と銘打ってありますが、勿論男性の方が歌っていただいてもなんら問題はありません。
　そして。誰かが歌い始めると、容赦なくモンスターが襲ってきますのでそれを守る人は誰かしら絶対に必要です。歌いながら戦うのはオススメしません。
　ただ、モンスターに関しては力で叩きのめすだけで問題はありませんが。
　チラシに記載されている黒衣の男は、力だけでなく頭や作戦も必要です。彼はあらゆる方法で歌い手の邪魔をし、森の中を逃げ隠れる知恵者です。
　どうにか男の上をいく策略で捕まえ、なにが目的でこのようなことをしているか問い詰めてください。
　ちなみにチラシは蒼空学園をはじめ、他校でも配布されているのでどこの生徒でも参加可能です。
　それでは、健闘を祈ります。

・大樹に歌を聞かせる

・パートナーをモンスターから守る

・黒衣の男を止める

・理子とジークリンデに協力する