なし

　シャンバラがどうであろうと、野原キャンパスの生徒達は相変わらずマイペースです。
　それはここが、平和な学園生活を送りたい生徒達の「パラダイス」だから。
「葦原明倫館か……どんな学校だろう？　さ、スッポンの世話でもしに行くか！」
　学業が終われば課外活動に励みます。
　大抵の生徒達にとっては、平凡な日常こそが重要なのです。

　そこへ忍び寄る、暗雲の影！
　
「娘達が戻ってこない、と？」
　夕刻、田舎町「リトルブレーメン」にて。
　吟遊詩人のオルフェウス・ジュニアは、知己のバーテンダーから相談を受けていました。
「町長さんの屋敷で蝋人形にされてしまっている？」
「……て噂だけどな。奴のパートナーもこの頃見かけねえし」
「地球人でしたっけ？　町長さんって」
　うーんと彼は天井を睨みます。
「地球人嫌いでしたよね？　ここ。迷信に尾鰭がついてるだけではないのですか？」
「『地球人はパートナー契約と称してパラミタ人を攫って行く人攫い』、か。けれど現に見たって奴もいるしなあー……」
「はあ、そうですか……」
　オルフェウスは頭をかいて、立ち上がります。
「ではひとつ、町長さんにお伺いしてみますかね？　お得意さんですから、放っておく訳にもいきませんし」

　そう言って、ミイラ取りはミイラとなってしまいました。
　翌日、変わり果てた友人の姿を、バーテンダーは自宅前で目撃するのです。
「ああ！　やはり１人で行かせるんじゃなかった。このことは黙っていよう。彼に身内はいないはずだからな」

　けれど町の人々は知らなかったのですが。
　彼には家族同然の「パートナー」がいたのです。
　野原キャンパスの分校長・森 一子という、りっぱな「地球人」が。
　パートナーの危機は、高齢の彼女に変化をもたらします。
「分校長危篤！」の噂は、蒼空学園の理事長・御神楽　環菜（みかぐら・かんな）の耳にも届きました。
　環菜の命により、ルミーナ・レバレッジ（るみーな・ればれっじ）が現場へ派遣されることが決まります。
　そして視察当日――今度はルミーナが、送迎用の飛空艇から降り立った途端に攫われてしまったのです。
　
「これは！　何とかしなければ！」
　分校生の鹿島 シイナは、パートナーのナナ・サイレントノームと共に２人の捜索を開始することに決めました。
　曰く。
「パートナーが雲隠れして、分校長が倒れて、ルミーナさんが攫われたことが本校に伝われば！　キャンパスは、今度こそ完全に潰されてしまう！」
　シイナは頭をかきむしります。
「こうしてはいられない！　我々の『学園生活』を守るためにも！　ルミーナさんを救出して、分校長の健康も回復させるぞ！」
「待ってください、シイナさん！」
　飛び出そうとするシイナを、ナナが引き止めます。
「ルミーナさん……ではないけど。彼女に似たマネキンを町の洋品店で見かけた、て人がいます！」
「へ？　マネキン？」
「はい。生きているのと変わらない、それは見事な蝋人形だったそうですよ」
「蝋人形、か……確か分校長のパートナーも、『蝋人形化』の件で出掛けてたな？」
　シイナは分校長室に置かれていた、オルフェウスの「メモ書き」を思い出します。
　彼は「いつもの友人宅に行きます」と書き残し、行方不明となっていたのでした。
「ですから、またメールで【協力者】の募集をかけてみました」
　ナナは携帯メールの文面を見せます。
「『町長退治』に乗り出す方もいらっしゃるかもしれないでしょう？　その方達のために、わたしはキャンパスに残ります」
「分かった！　私は噂の真意と、ルミーナさん、そしてオルフェウスの行方を捜すために町へ行くとしよう」
　こうしてシイナは「リトルブレーメン」へと向かいました。

　けれどその頃、町は不穏な空気に包まれていました。
「やはり地球人なんて、いくら金持ちでも町長にするんじゃなかった！」
　あちこちで、娘を奪われた町民達の悲痛な声が上がっています。
「そうだ！　やつらは『パートナー契約』と言って、娘どもをかどわかす極悪人だ！」
　彼らは武器を手に取り、町中を徘徊します。
　そればかりではありません！
　町の近くでは館へ押しかけようと、武器を携えた若者たちが「迷いの森」の前で結集しています。
　町長の館は森の向こうにありますが、来るものを阻む呪いの森。
　魔物達の不気味な声が、一行に重くのしかかります。

　
　蒼空学園の別キャンパス「野原キャンパス」の２回目になります。
　今回は近隣の田舎町「リトルブレーメン」が舞台になります。　
　方法としては、
　シイナと町へ行き、ルミーナやオルフェウスの行方、蝋人形化の真意、元の姿へ戻す方法を探っても良いでしょう。
　ナナと森へ行き、「青ひげ町長」退治を決行して「町の英雄」となる道もあります。
　後者の場合、町民達は地球人を「『パートナー契約』と称してパラミタ人をかどわかす極悪人」という迷信から毛嫌いしています。
　そのために町民達のグループとは別パーティーを組んで、別ルートからの攻略となります。
　
　以下は攻略に際しての補足になります。　
　まずローカルルールとして、以下を適用致します。
　
　「蒼空学園生の場合は『野原キャンパス在籍』の者か、『本校在籍』の者かを手段に明記する（記載なしは『本校』扱いとする）」
　
　この場合、
　「野原キャンパス在籍者」であれば、町の地理とオルフェウスの顔は知っています。が、ルミーナのことは知りません。
　「本校在籍者」であれば、ルミーナの顔は知っています。が、その他のことは知りません。
　他校生は何も知らないということになります。
　いずれの場合も、ＬＣはＭＣと同じ学校に在籍しているものとします。
　シイナは「ルミーナ」の写真を持っているために、彼女の顔が分かります。
　
　町での情報収集のポイント：
　単独で行動しても、シイナと行動しても良いです。
　が、彼女は方向音痴のうえ無鉄砲であり、彼女に任せると時間がかかり、最悪酷いことになりかねません。
　町民達が「地球人」を毛嫌いしていることから、ＭＣが情報を聞き出すことは難しいですね。
　多少の工夫が必要となってきます。
　町の様子は「欧風の田舎町」を想定して下さい。
　なお宿屋には「当たる！」と評判の占い師が滞在しているそうです。
　
　森についての注意事項：
　「迷いの森」は、5000年前の鏖殺寺院との戦いの時に呪いによって出来た森です。
　その呪いは凄まじく、5000年経つ現在も元に戻らず、町では立入禁止区域としています。
　足を踏み入れたが最後、「いかなるスキル・アイテム・特技」を用いようとも、楽に外へは出られません。
　それどころか「怪現象が起こる」との噂が！
　道の方角も、一定時間ごとにランダムに変わります。
　ペット等の動物は、（獣人をのぞき）防衛本能のために入ることは出来ません。
　明りは特に必要ない、とのことです。
　
　町長の屋敷について：
　森を抜けた所にある古い洋館です。
　ただし町長が住み始めたのは、ここ数カ月のことだそうです。
　噂では、町長のそばに黒い影を見たという情報があります。
　真偽は定かではありません。　
　そう言えばパートナーである「町長夫人」の姿を最近見かけませんね……。
　
　今回も町へ行かれる方のために、ナナがハリセンを１つお渡し致します。
　使い次第では感謝の「称号」が送られますので、頑張ってみてください。
（他のプレイヤー様のＰＣとの絡みがある場合は、「同意」を取られている旨を必ず明記してください）　

　では、皆様からの挑戦をお待ち致しております。　

・　町の路上で人々の会話を盗み聞き。

・　シイナの暴走にハリセンツッコミ。

・　森の様子を探る。