なし

　百合園女学院で裁縫にいそしんでいたのは、ルーノ・アレエ（るーの・あれえ）と、その妹ニーフェ・アレエ（にーふぇ・あれえ）でした。
　ルーノ・アレエは魔術師らしい黒いローブを不慣れながら縫っていました。
　ニーフェ・アレエは青白い肌をした人形を作っています。

　親しくしている、金髪のヴァルキリーから作ることを勧められていました。
　ようやく出来上がったその人形は、赤い髪のお人形と、緑色の髪のお人形の間に置かれました。

　その前には、イシュベルタ・アルザスから送られた、３人の女性を模したマスコットが２そろい置かれていました。
　そして、【銀の機晶石がほしくば、金の葡萄を求めろ】とだけ書かれた手紙がありました。




　ディフィア村。

　年に一度行われる金葡萄杯は、腕試しに世界を廻るものなら誰でも知っていました。
　だが、その金葡萄が生まれるより前、その村にある哀しき歴史は、誰も知りませんでした。




「でも、暴きに来た訳ではないのよ」

　九弓・フゥ・リュィソー（くゅみ・　）は呟きました。彼女の目の前には、村に潤いを齎している井戸から離れた川の上流にある、古びた岩戸です。
　岩戸のそばには、歴代の村長の名前が彫られた石碑があります。
　石碑を指でなぞっていたロザリンド・セリナ（ろざりんど・せりな）は、その石碑に最近の村長の名前がないことを見つけます。そして、歴史もシャンバラ崩壊以前のものであると言うのがわかります。

「……既に、知るものもないと言う事なのでしょうか。いえ、ルーノさんが逃げるように言われたのは、シャンバラが崩壊する直前のこと。これは、それよりもさらに昔ですね。それを考えれば、当然なのかもしれませんが……」
「この村には、村が持つには大きすぎる力がある。だから、きっと封じられた……それを無粋な連中が、地下から見つけることに成功した、ってところかしら？」

　金糸を春風にたなびかせ、天空にその青い瞳を向けました。

「今年は、金葡萄が実らないかもしれないわね」
「そうならないよう、私たちで護らなくてはいけません」
「護るために、今一度破壊しなくてはならない……か。むなしいわね」

　ロザリンド・セリナ自身も、瞳にうっすらと涙を浮かべて小さく頷きました。


　同じ頃、百合園女学院の校門で友人達と合流するルーノ・アレエの姿がありました。シルヴェスター・ウィッカー（しるう゛ぇすたー・うぃっかー）は不安そうに見上げてくる舎弟の頭に手を置きました。

「ウィッカーの兄貴」
「ニー嬢の笑顔を護る、そうきめたんじゃろ？」
「……はい」
「そんな不安そうな顔するな。もう、お姉さんなんだからな」

　如月　佑也（きさらぎ・ゆうや）が優しげな声をかけると、ルーノ・アレエは力強く頷きました。
　目指して歩き始めたのは、あの遺跡です。胸元のガーネットのペンダントとクリスタルのはまった金のプレートのペンダントを握り締め、コサージュは汚れないように鞄の中にそっとしまってあります。
　沢山のプレゼントも、鞄にしまわれています。戦いに向かうには首を傾げられてしまいますが、彼女が彼女であることを支えてくれている証です。
　彼女の誇りでもある百合園女学院の制服をきちっと身に纏い、視線をまっすぐ前に向けて踏み出しました。
　そして、集まってくれた仲間に語りかけます。



「どうか、私と一緒にディフィア村へいっしょに来てください。そして可能なら、遺跡の調査を手伝ってほしいのです」


　まるで、イシュベルタ・アルザスがルーノアレエを探してほしいと、彼らに話したときのようでした。

「アルザス、彼女はすっかりたくましくなったぞ」

　聞こえるはずのない相手に、緋山　政敏（ひやま・まさとし）は声をかけていました。彼のそばには、ニーフェ・アレエが立っていました。その手には、二人が作ったイシュベルタの人形を、丁寧に袋に入れて抱えていました。

「私が知る兄さんは、物言いは冷たくっても、正しいと思うことを貫く人です」

　そういう少女の頭に手を載せてやると、緋山　政敏は彼女を伴ってルーノ・アレエへの元へ歩き始めました。







　ロザリンド・セリナの調査の結果、ディフィア村の遺跡と、エレアノールの遺跡は地下通路を通じてつながっているのがわかりました。
　主要施設に行くには、ディフィア村の封印を解く必要がありそうです。そしてまた、ニフレディルを名乗る女がディフィア村に出入りしているようです。
　彼女なら、何か知っているかもしれません。
　エレアノールの遺跡の地下からも、探索を進められるでしょう。

　イシュベルタ・アルザスの足取りは、全くの不明でしたが、どうやらヒラニプラ周辺で姿を見かけたものがいるそうです。
　彼が望むものは機晶姫を改造する力であるというのはわかっています。それを求めていれば、必ず出会うことができるはずです。

　ニフレディ歓迎会が終わり、新たにＮＰＣニーフェ・アレエとして登場します。どうぞ、よろしくお願いいたしますね。

　ルーノ・アレエのシリアスシナリオへと突入させていただきます。
　今回は初めての前後編となっております、初めて入られる方も歓迎いたしますが、今回は可能なら今までのシナリオに目を通していただけると幸いです。

　できることは以下の通りです。

　・ディフィア村の遺跡の謎を解く
　・エレアノールの遺跡を再調査
　・イシュベルタ・アルザスを探す

　ルーノ・アレエは自動的にディフィア村へ向かいます。ガイドにあるように、エレアノールの遺跡の調査もお願いするところから開始いたします。

　申し訳ありませんが、今回本筋と全く関係のないアクションに関しては、不採用となる可能性があります。
　それでは、皆様のご参加をお待ちしております。



　招待枠の方々へ
　ガイドにとらわれず、お好きなように動いていただけると幸いです。どうぞ、よろしくお願いいたします。

・ディフィア村の歴史を紐解く

・エレアノールの遺跡を調査

・イシュベルタを探しに