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【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回)

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【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回)

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シナリオガイド

エリヤ救出のため北カナンへ! しかしそこに隠された真意とは――
シナリオ名:【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第3回/全3回) / 担当マスター: 寺岡 志乃


「【カナン再生記】砂蝕の大地に挑む勇者たち」「【カナン再生記】黒と白の心」のシナリオに予約参加されているお客様は、本シナリオでの予約参加はご遠慮いただきますようお願いいたします。








 ザムグの町 タイフォン家の館――

「バァルの弟のエリヤを救出に、北カナンへ向かいたいと思う」

 アナト大荒野での戦いから一夜あけて早々、会議の席についたコントラクターたちを前に、セテカ・タイフォンはそう切り出しました。
 その隣にはトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)が座しています。
 もともとこの提案をしたのは彼でしたが、だれとも視線を合わせることなく目を閉じており、その表情からは何も読み取ることができません。

「敵対していたのだから当然だが、きみたちに対するバァルの心象は決していいものとは言いがたい。だが北カナンの神聖都キシュにある漆黒の神殿から人質となったエリヤを無事連れ戻すことができれば、きっと彼もきみたちを認め、カナンを取り戻すことができると考えるだろう」

 漆黒の神殿とは、ネルガルの本拠地であり、かつては光の神殿と呼ばれた女神イナンナの神殿でした。ネルガルが反意を現しイナンナを封じてからは光が失われ、漆黒の神殿と呼ばれるようになっています。

「まだ光の神殿であったころ、俺はバァルとともに何度か神殿に入ったことがあるから、内部は案内できる。そして石化された人質たちの居場所だが――」

 セテカはトライブとは逆側についた人物を見ました。
 彼の視線を受け、そこに座していた褐色の肌の少女女神イナンナが口を開きます。

「彼らはみんな、貴婦人の間と呼ばれる広間に集められているの。多分エリヤ・ハダドの像もそこにあると思う」
「石化を解くには特殊な薬が必要なんですよね?」
「そう。でもネルガルは彼らの親族に年に1度、2週間だけ逢わせることを約束したから解除薬は神殿内にあるはずよ。もし侵入がばれても、神官たちを捕まえて聞き出せばいいわ」

 敵の根城である北カナンに行き、人質を奪還する――急に話が現実味を帯びてきて、場がざわつき始めます。
 セテカは彼らが落ち着くのを待ち、そしておもむろに切り出しました。

「そのための手段として、まず奪取した東カナン神聖都の砦より、北カナンへ帰途中にあるアバドンの隊に対し、遊撃に出てもらう」

 アバドンが率いる隊がアガデの都から陸路を通ってキシュへ向かっているのは、彼も書状で知っていました。そのためもあって、砦攻略は隠密でしてもらったのです。現地の反乱軍兵士に命じて偵察させた結果、彼女の砦訪問は作り話でしたが、アバドンの隊が山越え中で、キシュまであと4日という距離まで迫っていることが分かりました。

「隊にはワイバーンが5頭、神官が5人、神官戦士が200人いることが分かっている。ザムグからキシュまで空路で3日かかる。はちあわせしないよう、彼らがキシュに入るのを阻止してもらいたい」

 砦から飛空艇等を用いて出れば、1日かからずにアバドンの隊を奇襲できます。今すぐ発てば砦部隊と合流し、救出部隊がキシュに入るときに合わせて行動するのは可能でしょう。

「次に救出部隊と陽動部隊を編成する。救出部隊には、バァルに扮してエリヤに会いにきた風を装ってもらう。バァルはいつでもエリヤに会いにきていいという許可を得ていることはだれもが知っているから、疑う者はいないだろう。バァルの鎧兜や装束はあるので、きみたちの中でバァルに似た背格好の者を選出してほしい。ただし、あまり大人数で行くと不審がられてしまうから、人数は10人以下に絞ってくれ。
 また、陽動部隊の方だが、こちらには宮殿の外で待機してもらう。無事戻れればいいが、そうならなかった場合、救出部隊の脱出援護として動いてもらいたい」

 以後、場はそのまま、隊の編成を決める話し合いへと移行しました。

「女神様、本当にかまわないのですか?」

 活発な論議が飛び交う中、セテカは声をひそめて隣のイナンナにささやきます。

「宮殿には、あなたを封じる力が働いているのでは?」
「石化刑はあたしの力が源だから、像のある周辺に近づくと共鳴し合って見つかっちゃうかも知れないけど、貴婦人の間までだったら行けると思う。あそこにあたしの像はないから」
「そうですか」

 ほっとして、セテカは笑顔になりました。
 その手を、だれにも見えないテーブルの下で、イナンナがぎゅっと握り込みます。

「セテカ、あなたにはつらいことをさせてる。あたし、ほんとは止めなくちゃいけないんだよね…。
 でも、みんなと一緒に……………………エリヤを……バァルを、救ってあげて。お願い」
「――女神様、おまかせください。俺はそのためにいるんですから。
 それに、これを提案したのは俺の方です。だからこれは、俺の願いでもあるんです」

 俯き、こぼれそうな涙を必死に我慢するイナンナ。
 ぽんぽんといたわるように、セテカのもう片方の手が、自分を握り締めるイナンナの手を叩きました。

エリヤもバァルも、救ってみせます。必ず」

 たとえ何が起きようとも――セテカはあらためてその誓いを胸に刻みました。

*       *       *

 そっとしのびよる人の気配を感じて、バァルは目を開きました。
 いつの間に眠ってしまったのか――窓に寄せた椅子から立ち上がり、侵入者の方に向き直ります。

「しっ…」

 口元に指を立て、月の光の中に出てきたのは七刀 切(しちとう・きり)でした。

「切、来てくれたか」
「来るって言ったでしょ。ワイは、した約束はきっちり守ります」

 おどけた口調で言いながらも、切の表情はいまひとつ冴えません。

「どうした? 軍の方で何かあったのか?」

 まさかネルガルかアバドンが動いたのか?
 やはり反乱が芝居であると気づかれていたのか? 詰め寄るバァルに切は首を振ってそれを否定すると、とりあえず、隣の部屋から回収してきた彼のバスタードソードを差し出しました。
 鎧等装束は救出部隊に持って行かれてありませんでした。おそらく武器は愛用の物がいいとして、剣だけは置いて行かれたのでしょう。

「手間をとらせてすまない。逃亡も計画のうちとはいえ、体裁は必要だからな」

 扉を開け、部屋を出た彼は階下に向かいます。見張りについていた兵士はことごとく、椅子に掛けたまま眠り込んでいました。
 彼らを見て、バァルは訝しみました。ざっと館内を見渡します。
 昼間はあれほどあった人の気配が薄い……ほとんどない。まだ夜も更けたわけではないのに?

「これは一体どういうことだ?」

 切は、どうやったらうまく伝えられるか、ずっと考えていました。しかしこのことを伝えるのに、いいタイミングも言葉もあるはずがありません。
 正直に言うしかない――彼は重い口を開きました。

「――セテカさんが、みんなと一緒にエリヤくんを救出に北カナンへ向かった、って…」
「なんだと…?」

 バァルは身を固くし、切を見返しました。

「セテカさんは……その……裏切ったようで…」
「ばかな!? あいつがわたしを裏切るはずが――」

『おまえの最大の欠点は、ひとを信用しすぎるところだ』

 バァルの脳裏に、かつてセテカとしたやりとりがひらめきました。

『一度懐へ入れてしまえば無条件で、盲目的に相手を信頼してしまう』
『それは欠点なのか?』
『おまえの立場ではな』

 なぜ気づけなかったのか……あいつのたくらみに。
 そのためにあいつは最初から、反乱を装うなどという芝居を持ちかけてきた…?

 親友の裏切りを悟った瞬間、胸に生じた激しい痛みにバァルはよろめき、壁に手をつきました。
 今このとき、死んでいておかしくないほどの苦しみ…。

(――――いいや、死ぬのはわたしでなく、セテカの方だ)

 バァルは、ぐっと剣を握る手を強めました。

「バァルさん……でもほら、考えてみたらさ、エリヤくんが救出された方が――」
「あいつの目的は救出ではない。エリヤを殺すために向かったんだ」
「えーーーっ!?」

 だからわたしはあいつがいないときを狙ってアバドンに託したのだ!

「切! おまえ、飛空艇を持っていたな!」
「あ、うん…」
「借りるぞ!」

 バァルはもはやとりつくろうこともなく靴音を響かせホールを走り抜け、扉を大きく開け放ちました。
 何事かと、ばたばた起き出してくる館内の足音も無視して、通りに走り出ます。

(あいつがもしエリヤに指一本でも触れたなら…………わたしはあいつを斬る!!

担当マスターより

▼担当マスター

寺岡 志乃

▼マスターコメント

 こんにちは、または初めまして、寺岡 志乃といいます。
 こちらは「【カナン再生記】擾乱のトリーズン 第3話」となります。
 とうとう最終回となりました。あと1回、よろしくお願いいたします。


 舞台となる北カナン・漆黒の宮殿について。
 ネルガルの住居である神殿と神殿の入口である拝殿は回廊でつながっており、最奥に存在します。まず拝殿を抜けて行かなければいけません。
 北カナンまでの道案内は護衛兵に変装したセテカ、イナンナが務めますが、基本的にバァルに変装していることがばれなければ、神官によって案内された部屋で石化を解かれたエリヤと会えます。

 アバドンの隊について。
 陸路を行き、キシュまであと1日という台地での休憩中の襲撃になります。
 ドラゴンライダーが5人、神官5人、神官戦士200人のほか、アバドン直下になったコントラクターたちがいる可能性があります。
 神官はメイス、ラウンドシールドを装備しており、プリーストのスキルを使用。
 神官戦士はハルバードを装備、ナイトのスキルを使用。

 ネルガルの隊について。
 ネルガルは空路を行っています。本来ならもう到着しているはずなのですが、山岳地の村や町を回っていたため、やはりキシュへの帰還途中にあります。セテカたちはそのことを知りません。
 こちらにはワイバーンに騎乗したドラゴンライダーが約30人、ネルガルの周囲を固めています。
 キシュへ向かう途中でぶつかることになります。

 東カナン神聖都の砦について。
 前回攻略され、反乱軍の手に落ちましたので、ここから出撃可能となっています。
 ワイバーンは16頭います。クラスがドラゴンライダーであれば、このワイバーンを使用してアバドンを襲撃できます。


 今回、基本的に移動は飛行アイテムを必要としますので、持っていない人は相談して相乗りさせてもらってください。
 (アバドン隊攻略のみ、馬を使用することもできます)


 エリヤ救出部隊について。
 大人数では動けませんので、MC・LC込み限定10名です。内訳はバァル役1名・護衛9名になります。
 だれがバァル役をするかは掲示板で話し合って決めてください。

 
 このほか、他シナリオでパートナーを石化され、ネルガル直下で動かれていますMC・LCさんは、ネルガルのワイバーン隊として、もしくは城内からスタートしてくださってかまいません。アバドン直下はアバドンの隊か、もしくはキシュ以外のどこかで動いてください。まだ許可が得られていないので、キシュには入れません。


 それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。

▼サンプルアクション

・宮殿に潜入する

・宮殿の外で待機する

・アバドンの隊と戦う

・ネルガルの隊と戦う

・バァルと行く

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2011年02月28日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年03月01日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年03月05日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年03月24日


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