なし

　地球とパラミタが繋がれてから１０年以上。
　この間に地球の数多くの行事がパラミタへともたらされました。
　クリスマス、お正月、バレンタインデー。挙げるとキリがありません。
　そんな、伝わった行事の一つに母の日がありました。
　地球では国によって日がまちまちですが、日本の影響が強いパラミタでは５月の第二日曜日がそれに当たります。
　
　――もっとも、クリスマスなどに比べると母の日は余り印象の強い行事ではありません。
　
　何故ならパラミタの特性上、肝心の地球人達が親と同居しているケースが殆ど無いからです。
　そこで、ツァンダのとある花屋では昨年からある試みをしていました。
　
　
「シルフィスの花ねぇ……」
　その花屋の店頭、篁　大樹（たかむら・だいき）は貼られている広告を見ていました。
　シルフィスの花とは、地球人からはパラミタカーネーションと呼ばれる事もあるほどカーネーションに良く似ていて、かつ雪の様な青白さが特徴の花です。
「あぁ。綺麗な花だろ？　こいつを母親みたいに世話をしてくれる相手に感謝の気持ちとして渡すんだ。カーネーションその物じゃ無ければいいかなと思って僕が去年考え付いたんだけど、実際やってみたらそこそこ需要があってね。今年もやる事にしたんだよ」
　店員の言葉を聞き、少し考えます。大樹の頭には今、大家族である篁家の家事を中心となってこなしてくれている姉の顔が浮かんでいました。
「なぁ、透矢兄ぃ。せっかくだからさ、俺達でこいつを花梨姉ぇに贈らねぇ？」
「そう……だな。いつも面倒をかけてるし、うちで贈るとなると花梨だろうな」
　隣に立つ篁　透矢（たかむら・とうや）が頷きます。他の姉妹や、時に兄弟も家事を手伝う事はありましたが、やはり一番頼りになっているのは次女の篁　花梨（たかむら・かりん）でした。
「えぇと、花は当日受け取りが可能なのか。じゃあ今日は申し込みをしておこう」
　購入の手続きをしようと、店員を呼ぼうとする二人。そこに、大きな声が響きました。
　
「何だって！　花が届かない！？」
　
　店の奥では店員が電話を片手に驚きの表情を見せていました。
　何でも、花を配送している運送会社のトラックがシャンバラ大荒野で盗賊達に襲われたそうです。
　そのトラックが来ないとシルフィスの花が用意出来ませんし、何より運転手の身が危険に晒されています。
「兄貴！　こうしちゃいられねぇ。俺達も助けに行こうぜ！」
「あぁ。もう通報はしているみたいだから、すぐに学園から依頼は出るだろうけど……時間が惜しい、向かいながら他の奴らにも連絡しておこう」
　携帯電話を片手に走って行く大樹と透矢。それからすぐに各学園に救出の依頼が貼り出されました。
　
　
　そうして一部で慌しい動きがある中、事情を知らない花梨はツァンダ南東にある小さな村、シンクでのんびり家事をしていました。
「えっと、後はお洗濯物を干して……お昼からはお買い物にでも行こうかしら」
　窓を開けると雲一つ無い青空。まさに洗濯日和と言えるでしょう。
「いいお天気……」
　太陽の眩しさに思わず目を細める花梨。
　いつもの日常と、突然訪れた出来事が共に始まろうとしていました。
　
　
　――さぁ、貴方の一日はどちらですか？

　皆さんこんにちは。風間　皇介のシナリオ第六弾となります。
　今回は盗賊達に奪われた荷物を奪還する話。そしてそれとは無関係な日常を送る話の同時進行となります。
　抽選上の有利不利はありません。どの学校の方もどうぞご参加下さい。
　
　　
　では状況説明を。
　今回は大きく二つの話に分かれます。

　
１：盗賊達に奪われた荷物の奪還と運転手の救出
　
　主な参加動機は「各学園から依頼を受けて」「透矢、大樹達から連絡を受けて」等になります。
　現場はシャンバラ大荒野。アトラスの傷跡の南辺りです。
　この辺りには他に比べて安全な街道があったのですが、キマクがエリュシオン帝国に占領されたのを機に活動場所を南に移した盗賊達が最近出没する様になりました。
　そこで花や他の荷物を積んだトラックが襲われ、彼らが根城にしている廃神殿へと連れて行かれました。
　現在盗賊の半数は略奪の為に再び街道へ。もう半分が神殿に残っています。
　皆さんは陽動兼本隊の撃破を目的とした街道戦闘組か、荷物奪還と人質救出を目的とした潜入組に分かれて下さい。

　神殿にいる盗賊達の殆どは街道での略奪が苦戦している場合、街道の援護に向かいます。
　ただし、こちらの目的が人質の救出だと見破られた場合は逆に街道の盗賊達が神殿に向かってしまうでしょう。
　街道で戦う方達は上手く見破られない様に多くの敵を引き付けて下さい。
　
　潜入組は神殿近くまで行き、そこから人質と荷物の奪還を試みます。
　道中は岩場が多く、また、見回りの盗賊達は最近こちらに移ってきた為に土地勘に優れていません。
　その為気配を消せるアイテムやスキルがあれば神殿までは簡単に行けるでしょう。
　現在トラックは神殿脇に止められ、運転手は人質として神殿の中に捕らわれています。
　トラックが動くかどうか、動かない場合どれ位損傷しているのか、等は現時点では分かりません。
　潜入のベストタイミングは街道組が神殿の盗賊を誘き出した後ですが、当然そちらの状況次第で左右されます。
　
　　
２：事件とは無関係に日常を送る
　
　こちらは特に条件はありません。
　母の日に関係の無い内容でも、５月第二日曜日の手前の時期としておかしくなければ（公序良俗に反しない範囲で）好きに過ごして頂いて構いません。
　場所も特に指定はありませんが、他ＰＣと離れた場所だと頂いたアクションをなぞって終わりの可能性が高いので、ツァンダ近辺で過ごすか、グループアクションを組まれる事をお勧めします。
　また、他ＭＳの固有施設や、篁家以外のＮＰＣの描写は出来ませんのでご了承下さい。
　
　※　なお、悪役サイドの方は今回、以下のアクションは不可となります。
　・潜入組が神殿に向かうまでの時点での妨害（例：小型飛空艇オイレで隠れ身を解除する）
　・日常サイドの参加者に対する戦闘行為（ＧＡ等同意の上で戦闘・修行をする場合は別）
　
　
　最後に、今回はＭＣとＬＣの別行動が可能です。
　母親的なＰＣが日常を送り、子供や夫的なＰＣが救出作戦に行く事も全く問題ありません。
　（勿論全員揃ってどちらかでも可能です）


　登場ＮＰＣは以下の三人です。
　ＮＰＣについての補足はマスターページにあります。そちらもご参照下さい。
　いつもどおり、篁家に対する交友関係もご自由にどうぞ。
　
　・透矢：神殿への潜入組に参加します。
　・大樹：街道での戦闘組に参加します。
　・花梨：日常を送っています。参加者のお誘い次第で変わりますが、午前中はシンク、午後はツァンダにいる予定です。



　シルフィスの花は無事に奪還出来るのか。そしてその花が手元にあるならば、貴方は――誰に贈りたいですか？

・【１】大樹と共に街道で襲い掛かってくる賊を撃退する

・【２】透矢と共に人質の救出と荷物の奪還をする

・【３】日常を送る