なし

　皇彼方（はなぶさ・かなた）とパートナーのテティス・レジャ（ててぃす・れじゃ）は、蒼空学園の図書館に来ていた。
「今回もたくさん借りるのですね」
「待望の『極楽太閤記シリーズ』が全巻入ったからな。一気読みしようと待ってたかいがあったぜ」
　戦国ものが好きな彼方にとって、待ちに待った時だった。
「でもラノベの『緑の指を持つ魔女』の最新刊が見当たらないんだよなー」
　不満そうな顔を隠さない。
「あちらで聞いてみましょうか」

　カウンターでは、司書の女性が忙しそうに本の整理をしている。
「ごめんなさい。新刊はあの辺なんだけど、まだ整理してないのよ」
　山積みになった本を振り返って、大きくため息をつく。
「このところ人手が足りなくって、仕事が溜まる一方なの」
「俺達にできることがあるなら手伝うぜ」
「それはありがたいけど、１人２人じゃあとても追いつかないわ。他にもいろんな作業があるし……」
「どんなのがあるんだ？」
　彼方とテティスは司書から説明を受ける。


「まずカウンター業務を手伝ってくれると嬉しいわ」
　毎日たくさんの人が図書館を利用する。それらの相手をする人は必須となる。
「貸し出しや返却の手続き。館内の案内に本に関する相談を受け付けたりもするわね」

「それと蔵書整理ね。新しく入ってきた本の整理に返却された本を元あったところに戻すのよ」
　図書館を成立させる本。分類に沿って、本を整えることが肝心だ。
「たぶん整理ミスだと思うんだけど。見当たらない本を探すのもひと苦労なの」

「できれば面白そうな本を推薦してくれると良いかも。特定分野に詳しい人であれば、掘り出し物の本を知ってるはず」
　書庫の充実にはいろいろな本が必要だろう。広く深く蔵書を求めるのは当然。
「自費出版など自作の本でも、内容がしっかりしてれば蔵書に加えたいわ。もちろん基準に満たないものは駄目だけど」

「実は……開かずの書庫があるの。開かずと言っても、扉は開くんだけど……」
　資料的にも文化財としても貴重な蔵書があり、それらを保管した書庫のガード役として、ゴーレムを何体か使っているとのこと。しかしトラブルが起きてゴーレムの制御が利かなくなってしまったそうだ。
「その書庫に入らなければ問題ないんだけど、そう言う訳にも行かないし。書庫や蔵書に傷つけないように、なんとかならないかしら」


「最後のゴーレムには興味があるな。ただ本を傷つけないようにってのが面倒だぜ」
　彼方は開かずの書庫に興味を持ったが、丁寧な戦いになりそうなので迷っていた。
「確かにこれほどあるのでは、私達２人が増えたくらいではなんともなりません。広くボランティアを募ってはいかがでしょうか？」
「そうねえ……そうしましょうか」

　翌日、各学校に図書館ボランティア募集のお知らせが回った。

　今回のシナリオは、蒼空学園の図書館が舞台です。

　参加者は、溜まりに溜まってしまった図書館の作業を手伝ってもらうことになります。
　蔵書整理やカウンター作業の他に、図書館内であれば、掃除、空調整備、貸し出しプログラムの改善など思いついたものでも構いません。

　学校を問わず、普段から利用している人も、普段は縁遠い人も、ボランティアへの参加をお待ちしています。


　ボランティアはいろいろな作業をしていただくことになりますが、図書館ですのであまり騒がしいのは厳禁です。
　作業中であっても、騒ぎすぎた場合には、即追い出されることがあると思ってください。
　特に開かずの書庫でゴーレムに挑む場合には、書庫や蔵書を傷つけないように注意してください。

　図書館に自著などを持参する場合は、本の内容について説明してください。
　当然、内容によって図書館の蔵書になるかどうかが決まります。
　ただしアピールによっては、検討継続や参考資料の扱いで、一応の図書館預かりになる場合もあります。
　ですので、同じ本であっても、推薦した人によって結果が異なる可能性も十分あるでしょう。


　ボランティア以外で図書館にきた人は、一般的な図書館でのマナーを守ってください。
　マナーを守れないようであれば、追い出されることになります。
　逆にマナーさえ守っていれば、いろんなことが可能であるとも言えます。

　皆さんの図書館ライフを楽しんでください。

・図書館を利用しやすいものにする

・自分の本を図書館に加えてもらおう

・開かずの書庫を通常の状態に戻す

・図書館で本を読む