なし

「皆さん！　避難してください！」
　タシガン空峡沿岸部のツァンダに所属する小さな街≪ヴィ・デ・クル≫。
　あなたはこの街で行われる夏祭り開始まで時間をつぶそうとしていました。
　すると目の前に街の守護兵長が慌てた様子で叫びこんできました。
　あなたは突然の出来事に驚きつつも、守護兵長に事情を尋ねます。
「大変なんです！　突如≪氷像の空賊≫が攻めこんできたんです！」
　詳しく話を聞くと、≪氷像の空賊≫が街に入り込み、店や人を襲っているといいます。
　≪氷像の空賊≫の後方には艦首に巨大な刃を付けた彼らの空賊船が、低空で飛行しながら街を押しつぶそうと迫ってきています。
　また、空賊船の中には≪氷像の空賊≫を生み出しているネクロマンサーがいることも判明しており、守護兵団が果敢に挑みますが敵の数が多くて近づくこともできずに苦戦しているのだと言います。

　このままでは負け戦になると判断した守護兵長は、歴史博物館に保管されている五千年前の戦いで使われたで使われた女王器の一つである≪機晶式ジィビナイド・カノン砲台≫を使用する決断しました。
　≪魅惑の香≫で≪氷像の空賊≫を射線上となる大通りに引き付け、空賊船もろとも一掃する作戦です。
　しかし、古い兵器である≪機晶式ジィビナイド・カノン砲台≫をもう一度動かせるようにするための機工士が一目散に逃げ出してしまい、さらには守護兵団のほとんどが≪氷像の空賊≫との戦闘に手が離せない状況です。
　これでは作戦を行うことができません。
「今はただ、住民が避難する時間を稼ぐしかないありません」
　守護兵長は悔しそうな表情を見せると、再度あなたに避難を促して去っていきました。

　あなたが守護兵長の言葉に従うべきか迷っていると、中年の男が青ざめた表情で走ってきます。
「だ、誰かあいつを止めてくれ！」
　中年の男性はあなたの袖を掴むと、自分が歴史博物館の館長であることを説明しました。
　そして、息を切らせながら事態を説明します。
「ご、強盗が……≪秩序なき拳王――サルヴァ≫が現れたんだ！」
　≪秩序なき拳王――サルヴァ≫――その男は、鏖殺寺院の一派である≪アヴェス≫に所属する危険人物としてシャンバラ国内で指名手配されているグラップラーでした。
　館長の話によると、≪秩序なき拳王――サルヴァ≫の目的は、数日前近くの遺跡で発見された≪三頭を持つ邪竜≫の封印について書かれた書物だと言います。
　何やら≪アヴェス≫は≪三頭を持つ邪竜≫の情報を集めているようで、このタイミングで仕掛けてきたことから≪氷像の空賊≫は彼らの陽動であると思われます。
　館長はこれまでの調査から≪三頭を持つ邪竜≫の情報が鏖殺寺院側に渡ることは危険だとあなたに説明し、≪秩序なき拳王――サルヴァ≫を止めるように頼み込んできました。

小さな街≪ヴィ・デ・クル≫で行われるはずだった夏祭り。
今はもうそれどころではなくなってしまいました。

あなたは守護兵長の言葉通り避難することもできる。
しかし、自分達で街を守り、無事に夏祭りを迎えること。
それもあなたにできることの一つではないでしょうか？

　二回目のシナリオになります。虎＠雪（とらっとゆき）です。
　よろしくお願いいたします。

　まず初めてには旅行先での話ということで参加に制限は持たせておりません。
　どうぞお気軽にご参加ください。

　では、今回のシナリオにおける皆様の目的、「街の防衛」と「書物の回収」の二点について説明させていただきます。

●「街の防衛」について

　「街の防衛」。つまり　街に空賊船が侵入するのを止めることが一つの目的になります。
　この目的のポイントは以下の三点にあります。
　
　第一に≪機晶式ジィビナイド・カノン砲台≫の稼働です。
　≪機晶式ジィビナイド・カノン砲台≫は使用前に応急的な整備が必要です。
　そのためにはアーティフィサーなどの機晶技術を持つクラスの人物が必要不可欠になります。
　発射には内部の稼働率をあげるための準備時間が必要です。
　稼働率は最低でも八割ほどになれば発射が可能になりますが、その分威力が落ちます。
　ただし弾丸は一発しかありませんので、失敗は許されません。
　また、感づいた≪氷像の空賊≫が襲ってくる可能性は十分考えられます。
　注意する必要があるでしょう。
　
　第二に≪氷像の空賊≫を撃退し、時間を稼ぐことです。
　≪氷像の空賊≫はネクロマンサーによって空賊の魂が氷像に捕らわれたものです。
　そのため≪氷像の空賊≫を倒し、魂を解放することができます。
　そうすることでネクロマンサーはまた新たな≪氷像の空賊≫を作り出してきますが、代わりに魔法でできている空賊船の進行速度が一時的に落ちます。
　ネクロマンサーは空賊船内に隠れていますが、砲台などの攻撃が激しく直接狙うことができません。

　第三に≪氷像の空賊≫を射線上となる大通りに集めることです。
　≪機晶式ジィビナイド・カノン砲台≫が空賊船を破壊しても、ネクロマンサーを倒さないことには≪氷像の空賊≫は消えません。
　砲撃によってネクロマンサーを倒せなかった時のためにも、一緒に一網打尽にしてしまうのが得策でしょう。
　また≪魅惑の香≫は男性で構成されている≪氷像の空賊≫に、魅力的な女性が目の前にいると勘違いさせて惹きつけることができるアイテムです。
　この囮役がいることで避難や、他の仲間の行動が円滑に行われるでしょう。
　

●「書物の回収」について
　
　こちらは至って簡単で≪秩序なき拳王――サルヴァ≫を倒せばいいだけです。
　とはいえ、≪秩序なき拳王――サルヴァ≫の目的は逃走なので、足止めのために罠を仕掛ける役と、攻撃を仕掛ける役が分担されるといいでしょう。
　また、書物は失われた古代の技術で頑丈に守られているため、どんな強力な攻撃を加えても損傷しません。
　思う存分戦ってください。

　以上が皆様に参加していただく依頼内容になります。
　

・≪機晶式ジィビナイド・カノン砲台≫を守る

・住民を避難させる

・≪氷像の空賊≫を倒す

・書物を手に入れる