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とりかえばや男の娘 三回

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とりかえばや男の娘 三回

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シナリオガイド

聖剣を手に入れ、邪悪な鬼を倒せ!
シナリオ名:とりかえばや男の娘 三回 / 担当マスター: 天宮 あると

「藤麻、藤麻」
 闇の中で声がします。
「誰だ?」
 藤麻は声の方を見ました。すると、そこには巨大な炎を背負った鬼が立っていて藤麻を手招きしています。
「こっちへ来い、藤麻」
 藤麻は、その声に誘われるように歩き出します。その時……
「いけない、兄様!」
 誰かの声で、正気に戻りました。しかし、時、すでに遅し。藤麻の体は、どんどん闇へと引きずり込まれていくのでした……

「わあああ!」
 藤麻は悲鳴を上げて目を覚ましました。
 ここは、葦原城下、日下部屋敷の一室。日下部の次男、藤麻の部屋です。
 藤麻はどうやら自分が自室にいるらしき事に気付き、つぶやきました。
「……夢だったか……」 
 それにしても、生々しい夢でした。目覚めても意識が朦朧として闇に落ちていくような気がします。
「くそ……」
 藤麻は正気に戻るために、枕元の刀を抜き二の腕に浅く傷をつけました。真っ赤な血が零れます。
 そこに藤麻の双子の弟、竜胆が入って来て叫びました。
「兄様! 何をしているのです?」
 竜胆は藤麻の悲鳴で目覚め、駆けつけて来たのでした。
「こんなに血が……」
 竜胆は着物の裾を割き、藤麻の腕をしばりました。藤麻は青ざめた顔で言います。
「また、ヤーヴェに招かれる夢をみた。もう少しで、あの邪鬼に心を奪われるところだった……」
 ヤーヴェとは、藤麻の体の中に住んでいる邪悪な鬼の名前です。
 その邪鬼は、元々は藤麻の兄であり、日下部家の長男でもある日下部刹那に取り憑いていたのですが、自分の余命がわずかと知った藤麻が日下部家を救うために、高僧の力を借りて自らの体の中に封印したのです。
 その高僧にもらった封印の念珠の力でヤーヴェは藤麻の体から二度と出てこられないはずでした。また、同じく念珠の力で藤麻の心も乱される事はないはずでした。
 しかし、このところ毎日のように藤麻は邪鬼に呼ばれる夢を見るのです。
「邪鬼の力を侮っていたのかもしれない」
 藤麻は力なく言います。
「私は、もう駄目かもしれぬ。もし、私が異常な行動をとりはじめた時はお前の手で殺してくれ……」
「そんな……弱気な事をおっしゃらないで下さい」
 竜胆は藤麻にとりすがりました。
「私は構わない。どうせ、私の命はあと少しなのだから」
 

 部屋に戻ると竜胆は布団に入って考え込みました。
「どうしたら、兄様を助けて差し上げられるんだろう?」
 しかし、何の解決策も浮かばぬうちに、いつしか竜胆は眠ってしまいました。
 夢の中で竜胆は、誰かに名を呼ばれました。振り向くと、珠姫が立っています。
 珠姫とは日下部家の先祖で、大いなる光の力をもった姫君の名。同じ力を受け継ぐ竜胆の夢枕に、こうして時おり現れるのです。
「珠姫……! なぜここに?」
「お前の悩む声が聞こえて来たのじゃ。藤麻の事で悩んでいるのだろう」
「その通りです。どうしたら、兄、藤麻を邪鬼の魔手より救い、残り少ない日々を安らかに過ごさせてあげる事ができるのか悩んでおります」
「それならば、ただ一つ。邪鬼ヤーヴェを藤麻の体から追い出し、滅ぼすよりない。そうしなければ、いずれ邪鬼は藤麻の心を食い破り、再び魔剣を手に入れようとするだろう」
「それでは、兄にかけられた封印では邪鬼を閉じ込めておく事はできないと?」
「そのとおりじゃ」
「しかし、兄の命は悲しい事に後、1年有るかないか……。兄上の命がつきた時に、兄上自身がナラカに共に連れて行くとおっしゃっておりました」
「皮肉な話だが、その病魔が邪鬼に力を与えておるのじゃ。双方とも闇の力ゆえ、同調しやすかったのだろう。そして、病魔の力で、邪鬼は既にこの世では封印できぬ程の力を蓄えておる。このまま、邪鬼の力を蓄えさせ、藤麻が取り憑かれてしまえば恐ろしい事になる。邪鬼は藤麻が死んだ後も、抜け殻となったその体に居座って操り続けるだろう。そうなってしまえば、もう、手の施し用がない」
「そんな……この世では封印できぬとは……。一体、どうすれば良いのですか?」
「一つだけ方法がある」
「どのような、方法ですか?」
ヤーヴェの探していた魔剣『双宮の剣』をこちらが先に手に入れる事じゃ」
「ええ? しかし、あれは聖なる者を滅ぼすための剣と聞きます」
「一方ではそうともいえる」
「一方では……とは、どういう意味ですか?」
「双宮の剣はその名の通り二つの属性をもっている。最初に触れた者の性質により聖剣にも魔剣にもなる」
「つまり、最初に触れた者が邪悪な者であれば魔剣に、聖なる者であれば聖剣になるということですか?」
「そうじゃ。聖剣として蘇った場合、その力は邪鬼の魂をも切り裂くであろう」
「しかし。あの時ヤーヴェは言いました。『その魔剣の在処はナラカの一角にあるため、たどり着けるのは奈落人のみ。しかも、魔剣の封印を解くためには『愛する者を殺した罪人の魂』が必要だ』と」
「それは魔剣として手に入れる場合じゃ。聖剣として手に入れるためなら他に方法がある。わらわが力を貸そう」
「どのような方法なのです?」
「日下部家の領地にあるわらわの家に行き、九尾の狛犬より宝玉を受け取るがよい。その宝玉はわらわの聖なる力を宿していて、双宮の剣を聖別出来る。つまり、その宝玉の力を用いて封印を解けば双宮の剣は聖剣として蘇るであろう」
「しかし、封印されている場所にたどり着くにはどうすれば?」
「それは、藤麻に聞くがよい。我が光は闇の道も照らすであろう」
 そういうと、珠姫の姿はすうっと消えていきました。

 次の朝、竜胆は目覚めるや否や、藤麻と柳生十兵衛にこの不思議な夢の話をしました。

「なるほど。珠姫の家とは『珠姫の祠』の事に間違いない。あそこには、かつて日下部家を救った英霊珠姫がまつられているのだが、その側には昔から九尾の狛犬が住み着いていると言われている。その狛犬は、確かに9つの宝玉を持っているらしい」
 十兵衛が言いました。
「それでは、珠姫の宝玉はそこで手に入れられるのですね。しかし、肝心の剣の隠し場所に行く道が分かりませぬ」
 竜胆が言うと、
「それならば、私が知っている」
 と、藤麻が答えました。
「ナラカへの道は、私が邪鬼ヤーヴェがの力を借りて開く事ができる。日下部領であれば、兄上の閉じ込められていた座敷牢から行けるはずだ」
「そうですか」
 竜胆は頷きました。

 こうして、早速三人は日下部家の領地に向かう事にしました。
 しかし、道中はあまりにも危険です。十兵衛達はいつものように、各学校に張り紙を出しました。

 聖剣を手に入れ、邪鬼を滅ぼす勇者を求む!


担当マスターより

▼担当マスター

天宮 あると

▼マスターコメント

 こんにちは。天宮です。
 『とりかえばや男の娘』の第3話です。今回でラストです。

 今回は、聖剣探しの冒険です。
 聖剣を手に入れるためには、まず、珠姫の宝玉を手に入れなくてはなりません。
 そのために、皆様には日下部家の領地まで旅してもらいますが、スタートは日下部領の日下部家のお屋敷からになります。まずは、日下部屋敷から珠姫の祠まで行き、九尾の狛犬から珠姫の宝玉を受け取って下さい。その後、聖剣の封印されたナラカの洞窟へと行く事になります。
 ナラカへのルートは、藤麻が邪鬼ヤーヴェの力を借りて開きます。開けるのは「邪鬼ヤーヴェが穢した場所」など、祟りが強く浄化しきれない場所です。今回は刹那が閉じ込められていた座敷牢にからナラカに向かいます。ただし、このルートで行けるのは聖剣の隠されている洞窟の中だけで、ナラカのどこへでも自由に行けるわけではありません。その分、「デスプルーフリング」などのナラカで活動するためのアイテムがなくても、普通に動く事が可能です。
 また、奈落人のLCはこのパートのみの登場でしたら、MCや他のLCの身体に憑依しなくても活動できます
 藤麻がこの道を開くのは、皆さんが九尾の狛犬を倒して、珠姫の宝玉を手に入れた後になります。

 さらにルールを細かく説明します。

 日下部屋敷から珠姫の祠に至るまでは、六角配下の忍びの残党が襲ってくるかもしれません。

 さらに、珠姫の祠にたどり着くと、九尾の狛犬がいます。ライオンほどの大きさで、名前の通り九本の尻尾を持ち、鋭い牙と爪を持っています。彼は、しもべとなる狼達とともに、皆さんに襲いかかってきます。九尾の狛犬には皆さんを殺す意図はなく、単に強さを試しているだけですが、狼達は本気で襲いかかってくるので本気で応戦して下さい。

 御霊を手に入れると、日下部屋敷に戻り、藤麻がナラカへの道を開きます。この道は漆黒の闇で、途中からは洞窟になります。ここには、ヤーヴェとの約束を守って魔剣を手に入れるべくやって来ている奈落人もおり、生前盗賊や人殺しをやっていたようなタイプの奈落人を味方につけて、皆様より先に剣の封印を解こうと狙っています。彼らはチェーンソーや、オノや、ナイフや、銃等で襲いかかってきます。

 奈落人達を倒しながら剣の置かれている石室に向かって下さい。
 石室に近づくにつれ、魔剣の波動を受けてヤーヴェの力が強くなってきます。そして、奈落人達をつれて皆さんより先に魔剣を手に入れようとしますので、戦ってできるだけ力を弱らせて下さい。
 石室につくと、皆さんに剣をとられまいとして、藤麻の体から出て戦いを挑んできます。ナラカの地では、ヤーヴェは実体化します。できるだけ皆さんの力で弱らせて下さい。ヤーヴェの正体は体中に炎を背負った巨大な鬼です。物理攻撃と同時に炎の攻撃をくわえる事ができます。幻術で人の心を麻痺させて思うように操ります。口からは毒の息を吐き、稲妻を呼ぶ事もできます。実体化はしますが魂だけの存在なので、物理攻撃をしてもすぐに回復してしまいます。とはいえ、ある程度のダメージをくわえる事はできるので、皆様協力してできるだけ弱らせて下さい。
 そして、皆さんは、妨害する奈落人やヤーヴェと戦いつつ、封印を解いて下さい
 封印を解くには、剣を守る石像に『宝玉』を渡さなければ行けませんが、石像は生きていて封印を解く者に質問をしてきます。皆さんの答えが気に入ればあっさりと宝玉を受け取って封印は解けますが、気に入らないと襲いかかってきます。

 質問は、以下の3つです

 1 あなたにとって生きる上で一番大切な事はなんですか?
 2 生まれてから一番嬉しかった事はなんですか?
 3 生まれてから一番悲しかった事はなんですか?


 封印を解きたいMC、LCは、以上の質問に答えて下さい。ただ、一応聖別のために来ていますので、そのことを踏まえて答えて下さい。

 こうして、うまく聖剣の封印を解いた方は、聖剣を手に入れてヤーヴェにとどめをさしてください。この場所でのみ、聖剣は封印を解いた人数分に分かれるとし、複数の方が持てる事とします。敵が持つ可能性もあります。聖、魔、持った方が多い側に最終的になるとします。上限は9本です

 (尚、封印解除から、とどめを刺すまでは他のアクションとは別とします)

 この他に、邪鬼に取り憑かれた藤麻の心のケアをして下さる方も募集します。藤麻は、毎夜夢でヤーヴェに苦しめられているばかりでなく、このごろは昼間もヤーヴェの呼ぶ声が聞こえており、必死で自分を保っているようです。
 
 ではでは、皆様のご参加をお待ちしております。



■補足説明

日下部竜胆……日下部家の3男。生まれてすぐに捨てられ、里見村で女性として育てられた男の娘。外見は青みがかったストレートのロングヘアのどう見ても美少女で、横笛と舞踊の名手。行方不明だった兄藤麻の代わりに日下部家を継ぐべく葦原城下にやって来た。今は、邪鬼に取り憑かれた兄を見守りながら、日下部家の後を継ぐべく修行中。この道中は、藤麻と見分けつきやすいように、女の姿で参加します。

日下部藤麻……日下部家の2男で竜胆の双子の兄。邪鬼、ヤーヴェに取り憑かれた長男刹那にかわって日下部家の跡取りとして育てられていた。自らの体の中に邪鬼ヤーヴェを取り込み、封印の念珠と強靭な精神力で正気を保っている。病に犯され、後1年の命といわれています。

日下部刹那……日下部家の長男。長い間邪鬼に取り憑かれていたが、弟達に救われ正気に戻った。日下部家の家督は竜胆に譲り、今は僧侶となって自分の犯した罪を償う日々。


柳生十兵衛三厳……全身黒づくめの隻眼の剣士。常に愛用の剣『三池典太』を携えている。柳生新陰流の使い手。ナラカからパラミタに上がって来てからしばらくは、自らのうちに眠る邪悪な心を制御できずに強い敵を求めてパラミタ大地で暴れ回っていたが、日下部家の先祖である珠姫の破邪の力で正気に戻る。それ以来、珠姫の血を受け継ぐ日下部家を護る事を己の信条としています。


ヤーヴェ……邪鬼。元々はマホロバ人。生来邪な性分で、歪んだ性根のまま鬼の力を覚醒させ邪鬼になる。自分を封じ込めた重宗に恨みを抱き、日下部家にたたっている。日下部家の長男刹那に取り憑いていたが、今は藤麻の体に封じ込まれている。


珠姫……日下部家の遠い先祖で、大いなる光の力で日下部家を守った。今は英霊として日下部領の祠に祀られている。自分と同じ力を受け継ぐ竜胆を見守っているようで、時おり助言のために夢枕に現れたりする。

▼サンプルアクション

・狛犬の手下の狼と戦う

・洞窟内に現れる、凶暴な奈落人達と戦う。

・邪鬼ヤーヴェと戦う

・藤麻の心の支えになる

・剣の封印を解いて、ヤーヴェにとどめを刺す

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2011年09月29日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年09月30日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年10月04日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年10月20日


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