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砂時計の紡ぐ世界で 後編

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砂時計の紡ぐ世界で 後編

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シナリオガイド

あたたかな夢の代償は『死の体感』。砂時計のあたえる苦痛から、少女を護れ。
シナリオ名:砂時計の紡ぐ世界で 後編 / 担当マスター: 640

 これで、わたしは逝くことができます。──彼女の誕生日を祝う祝福の宴のあとで、城の主、ダイム姫はぽつり、そう言いました。
 
「──え?」
 
  雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)は彼女の口調に違和感を覚え、パーティ会場、グリヴァーミ・ダイム城の大広間の開け放たれた扉へと歩んでいく姫君を見つめます。
 その場の一同と、ダイム姫の前には常春の晴れ渡った世界が広がっています。いや、いました。
 公爵令嬢の姫君が、一歩城から足を踏み出すその瞬間に、寒風吹きすさぶ氷に閉ざされた世界へと変貌を遂げるまでは。

「な……っ?」
「気にしないでください。これは砂時計を使ったわたしの、払うべき代償なんです」
 
 ダイム姫は語ります。
 曰く、雅羅たちを呼んだ『回帰の砂時計』の効力が、間もなく尽きること。
 その『回帰の砂時計』を起動した者には、願いの代償が課せられること。
 そしてその代償は、逃れえぬもの。『回帰の砂時計』を逆さにして願いを込めた者自身には──ダイム姫には、どうしようもないことを。

「その、代償とは?」
 
 アクリト・シーカー(あくりと・しーかー)が、静かに訊ねます。

「それは、自分の最期を知ること。苦しみも、痛みも。恐怖も。砂時計の生み出したこの世界が現実そっくりであるように、いずれ訪れる死の瞬間を体感しなくてはならない。それがこの『回帰の砂時計』の課す代償です」
 
 使用した者は、本来一度しか体感するはずのない「死」を、ほんとうに死するその瞬間、二度目の恐怖として味わうことになる。恐怖へ、苦痛へと回帰する。ゆえの、『回帰の砂時計』。
 言いながら姫君は、自嘲気味に唇の端を歪めました。

「姫さま。あなたは、それでいいの?」
「仕方ないんです。砂時計を起動したとき、わたしはすべてに絶望していましたから……。砂時計の効力が切れれば、わたしはまたこの吹雪の世界に戻る。それだけです」
 でも、だからこそ渇望した。それをあなたたちが叶えてくれた。
 泣き笑いのような顔で、ダイム姫は頭を下げました。

「でも!」
「どうしようもないんです」

 みすみす、見捨てろと。──本当に、彼女は二度の苦しみに回帰しなくてはならないのでしょうか?

「果たして──そうかな?」
「え?」
「手を出せないのは、『砂時計の起動者』だけなのであろう?」
 
 アクリトが言いました。
 彼は何かに気付いたようです。
 そう。この場にいるあなたちは──『砂時計を使った』者ではありません。

 姫君を救えるのは、あなたたちだけです。

担当マスターより

▼担当マスター

640

▼マスターコメント

 ごきげんよう。前後編シナリオの後編を提供させていただきます、640です。前回シナリオ『砂時計の紡ぐ世界で 前編』は楽しんでいただけたでしょうか?
 今回の後編は、前編とは打って変わってシリアスなバトル中心のシナリオとなります。

 皆さんと公爵令嬢──ダイム姫の前にあった常春の世界は消え、本来姫君が生き、そして死んでいくはずだった雪の世界そっくりの風景が広がっています。
 史実では、ダイム姫はこの雪の世界で、城の四方より襲ってきた粗暴な盗賊団の大群によって、指揮官も兵力もなく、まるで戦力と呼べるもののなかった城ごとその命を落とすことになります。
 これからダイム姫は、その自分の最期を体験しなくてはなりません。──もしもそこにいたのが、彼女だけであったならば。
 どうやら本来、『回帰の砂時計』は一度につきたったひとりの願いためにしか使えないものだったようです。……つまり、経年による破損によって漏れ出たその力があなたたちを巻き込んだ──つまり、『使用者でない』、『砂時計の力の及ばぬ者たち』、すなわちあなたたちならば、ダイム姫へと訪れる『体験としての死』を防ぎ、ダイム姫を現実へと帰してやることが可能なわけです。

 過去や史実は変えられません。ですが、必要のない苦しみから彼女を守ることはできます。
 かつては守るもののなかった城も、彼女も。今はあなたたちがいます。あなたたちならば、守ることができます。
 城に続く凍った北の川を溶かし、盗賊の軍団を川に落としたり。
 西の峡谷を攻め上ってくる奴らを、──敵である彼らには飛行手段がありません、吹雪の中に紛れ上空から狙い撃ってもいいでしょう。
 無論真正面──南の城門で、跳ね橋を護り戦うことも必要です。
 また、ひょっとしたら城のどこかに『回帰の砂時計』が戻ってきているかもしれません。確実に封印・もしくは破壊するために並行してそれを捜索することも必要となってくるかもしれません。
 
 参加者のみなさんが不意に連れてこられた幻の世界は、間もなく消滅します。放っておいてももちろん無事に現実へと帰還することはできますが、まずは生き残らなくてはなりません。そしてどうか姫君を助けてあげてください。

▼サンプルアクション

・城門の守備につく

・ダイム姫の護衛をする

・負傷者の治療にあたる

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2011年11月19日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年11月20日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年11月24日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年12月12日


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