なし

　このパラミタにも、芸能事務所に所属するアイドルは何人も存在しています。
　が、実のところ。ハンパな覚悟では注目されることはないというのが、厳しい現実としてありました。
　その理由は明白。
　個性的な生徒はもとより、各学校の校長たち、パラミタに住む様々な種族の存在……
　そうしたあまりにも魅力溢れる面々がたくさんいるこの地では、
　単純にテレビに出て歌って踊っているだけでは人気を集められないのでした。
　しかし。
　そんなアイドルの世界へ、新たな一石を投じようという試みがいま行なわれようとしていました。

【第１回『アイドル×ゼロサム・オーディション』開催のお知らせ】

　空京に存在している芸能事務所『Ａ０１（あおい）プロ』。
　そのホームページにこんな告知がされていたのです。


　当事務所では現在、新時代を築き上げるアイドル育成計画を進行中です。
　そこで今回。知力、体力、歌唱力、演技力など……様々な資質を秘めた方を選抜したいと思います。
　このオーディションで優勝した一名には、
　当事務所が超人気アイドルとなるバックアップを全面的に行う予定です。
　我こそはと思う方は、一週間後の１３時に空京の××―××地区にある『青井アスレチック場』に集合してください。
　オーディションの内容に関しては別ページをご覧ください。

　なお、このオーディションには
　アイドル声優のＣＹ＠Ｎ（しあん）様もゲスト審査員として参加してくださいます。


　突然のオーディション開催に、沸き立つ各学園の生徒一同。
　そのなかでも、特にアイドルへの強い思いを持つ者たちがいました。

　ある者は、夢のため。
「やるぞぉっ♪　絶対、あたしはアイドルになるんだっ！」
　その少女は、早くもダンスの練習に余念がない様子。

　ある者は、愛情のため。
「見ていて。あなたのためにも、きっとアイドルになりますわ」
　その女性は、胸元にさげたロケットを見つめていました。

　ある者は、誇りのため。
「ええ、ご安心を。わが家に生まれた以上、目指すものは頂点以外にはありません」
　その少年は、携帯電話で誰かと話しながらぶ厚い本を読んでいました。

　ある者は、お金のため。
「必ず、アイドルにならなきゃです。でないと、わたしの家はもう……」
　その女の子は、寂しげながらも笑顔を作って鳥たちと語り合っていました。

　ある者は、信念のため。
「ボク、優勝しないと、自分を変えられないネ」『うむ。わしも応援しとるぞい』
　その人物は、なぜか唐傘お化けのハンドパペットに語りかけていました。

　ある者は、野望のため。
「せっかく巡ってきたチャンスだ。俺様がトップになって。どいつもこいつも見返してやる！」
　その男性は、拳を握り締め、闘志を燃やしている様子。

　そしてまた、ある者は……。
「アイドル、か。今のワタシには、必要なのかもしれないわね」
　意味ありげにつぶやく西川　亜美（にしかわ・あみ）という名の、三つ編み娘でした。



　それぞれの思惑は様々ながら、必ずオーディションに受かるという思いは同じようです。
　しかしそれでもアイドルの座を勝ち取れるのは、たったひとりなのです。
　だからこそ、



　中には、そんな危険な思想にとりつかれてしまう人間も出てしまうかもしれません……。

　今回は久しぶりに西川亜美さんが登場していますが、特に彼女がメインの話というわけではありません。
　シナリオの流れによってはそうなるかもしれませんが……それはともかく。
　
　ジャンルは、すこし変化球なバトルとなっております。
　参加者の誰かにすこし力を貸してあげてもいいですし、いっそ自分が参加して優勝するのももちろんありです。

　オーディションの内容はここに記載しておきます。

☆☆
　舞台となるアスレチック場は、森、川、岩場、沼などが人工的に作られた施設です。
　その各所に十数人の審査員が散らばっており、参加者は彼らを見つけ出し審査を受けることとなります。
　審査内容の種類は以下の通りです。

　１：演技力審査（自由に設定を決めて、５分間演技をみせてください。）
『アイドルは時にドラマや舞台の仕事もこなさなければいけません。
　役になりきることに自信がないようなら、スキルでカバーするのもありです。』

　２：学力審査（中学生レベルの試験を１５分間受けてもらいます。）
『アイドルといえど、頭はよくないといけません。
　プロフィールの語学と理数の数値が高ければ、高得点を叩きだせることでしょう。
　誰かの代わりにテストを受ける、というのはダメですが。事前に指導しておくのは構いません。』

　３：歌唱力審査（それぞれ、３分間好きな歌を歌ってください。）
『アイドルにはやはり歌は必須ですね。
　こちらは音楽の数値だけが問題ではなく、歌のスキルを使うと注目されそうです。
　自作の歌を作るというのも、効果的かもしれません。』

　４：ダンス審査（得意なダンスを５分間披露してください。）
『アイドルには、ダンスの技術も重要です。
　単純に踊るだけでなく、盛り上げる為になにかしらのスキルを使うのもいいでしょう。』

　５：ゲスト審査（５分間、自由になにかアピールをしてください。）　
『アイドルになるために、自分の一番得意なものを見せてくださいね』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｂｙ　ＣＹ＠Ｎ

　基本は以上５つの審査が行なわれます。
　ＣＹ＠Ｎは施設の中央に特設審査場が設けられており、常にそこに陣取っていますが。
　その他の審査員は、どこにどの審査担当の人がいるのかを捜索する以外にありません。
　つまりは審査以外のところでも、体力や知力、勝ち上がる技量が見定められているわけです。
　制限時間は３時間。その間に、４つの審査を受けなければいけません。
　４つの審査を終えた参加者は、その時点で残るひとつの審査を受けることはできなくなります。
　同じ審査を二度受けることはできず、４つの審査の総合点数が最も高かった一名のみが優勝となります。

　自分が出場するにしろ、誰かの力になるにしろ、精一杯がんばってください。
☆☆

　最後に、今回登場するキャラクターに関して、情報を教えておきます。
　オーディション参加者には、事情を詳しく聞いていくとテンションが変化して審査にも影響がでそうです。
　そして、あまり追い詰めてしまうと予想外の行動に出てしまう可能性も……！？


○ゲスト審査員○

ＣＹ＠Ｎ
　声優としての名前は早水紫杏（はやみしあん）。
　歌手としても活躍する人気アイドル声優。
　詳しくは『【なななにおまかせ☆】アイドル大作戦！！』のシナリオをご覧ください。

●オーディションに参加している人たち●

マピカ　（♀・１４歳・所属：蒼空学園・クラス：魔法少女）
　とにかく元気で楽しくが取り得の少女。アイドルへの思いはかなり強い。
　運動神経はよく歌もダンスが得意だが、すこしおバカで大根役者。

姫乃　　（♀・１８歳・所属：天御柱学院・クラス：ディーヴァ）
　かなり天然なところがあり、運動音痴。争いごとも苦手。
　しかし歌唱力は六人のなかで一番優れており、頭も良い。演技力は平均。

シド　　（♂・１５歳・所属：薔薇の学舎・クラス：メイガス）
　クールさがウリの少年。他者を利用し、策をめぐらせるタイプ。
　知力は群を抜いており演技も上手だが、運動系は苦手。歌唱力は平均。

あんず　（♀・１０歳・所属：イルミンスール魔法学校・クラス：ドルイド）
　動物や植物が好きな女の子。家はかなり貧乏らしい。
　頭脳と体力に不安があるが、演技力はピカイチ。歌も上手い。

リンリー（性別不明・年齢不詳・所属：葦原明倫館・クラス：コンジュラー）
　常に人形『アヤカシ丸』と話しているミステリアスな人物。
　文武両道で基本的にはなんでもこなす。だが、人形を手放すと挙動不審になる。

タケル　（♂・１６歳・所属：波羅蜜多実業高等学校・クラス：グラップラー）
　いわゆる俺様系で、かなり傍若無人。勝つためには手段を選ばないところがある。
　頭は悪いが体力に自信があり、特にダンスは一級品。演技力と歌唱力は平均。

西川亜美（♀・１７歳・所属：百合園女学院・クラス：ソルジャー）
　頭の良さと歌唱力は平均だが、体力と演技力はかなりのレベル。
　あとはプロフィール欄か『静香サーキュレーション』のシナリオをご覧ください。


　ちなみに。
　オーディション参加者に協力する場合、必ずひとりに限定してください。
　オーディションで優勝するのは、本当にただひとりだけですので。あしからず。

・オーディション参加者に協力する

・自分がオーディションに参加する

・ＣＹ＠Ｎに協力する

・参加者への妨害を阻止する