なし

こちらのシナリオは【重層世界のフェアリーテイル】の番外編となります。
先に公開されました本編シナリオ四本とは異なり参加制限はございません。


　ハイ・ブラゼル地方、花妖精の村――。

「一つ聞いてもいいか？」
　花妖精の村での調査結果をまとめていた高円寺　海（こうえんじ・かい）は、ドロシー・リデル（どろしー・りでる）に尋ねた。
「はい、なんでしょう？」
「ドロシーはもしかして、『大いなるもの』をその目で見たことがあるんじゃないか？」

　調べれば調べるほどに深まる疑問。
　それを解決すべく、海は思い切って直接ドロシーに聞くことにしたのです。

「言い伝えを元に『おとぎばなし』を書いたとしても、そもそもそれをこの村に伝えた人がいないといけないからな。ここが花妖精の村になる前から住んでいるのは、ドロシーだけだ」

　ドロシーがどこか寂しげに微笑みました。

「お話しすべき時が来たようですね」
「やっぱり、そうなのか？」

　海の言葉に、彼女が静かに頷きます。

「最初にお会いした時にお伝えすべきだったのでしょうが、そうはいかなかったのです。あなた方が本当に、今度こそ『大いなるもの』を倒す『異郷より来たりし者』であるか確かめる必要がありましたから」

　本当にこの地を救う者であれば、いずれは自分に辿り着くことになる。
　その時に、自分の知る『おとぎばなしの真実』を伝えるようにと命じられていたようでした。

　ドロシーが、小屋の奥から古ぼけた一冊の書物を持ってきました。
　錠前のようなもので、簡単に開かないようになっています。

「これは、かつて『大いなるもの』を封印した四人の賢者が『封印の直前』までを記録したものです。書庫にあるのが『おとぎばなし』の原本ならば、こちらは『原典』ですね。この原典には、ある仕掛けが施されています」
「仕掛け？」
「はい。これを開くと、記録された過去へ行けるのです。といっても、実際に身体が過去へ跳ぶわけではありませんので、干渉することは出来ません。ただ、その目で当時の出来事をはっきりと目にすることとなるでしょう」

　そしてそれは、最初に開いた時だけしか発動しないようになっているとのことです。

「過去が見れるのは一度きり。だから簡単には明かせなかった、ということか」
「はい。それに、あくまで記録されているのは封印までの経緯です。四つの世界のことや、ここが花妖精の村となるまでは分からないでしょう」

　それらについては、自分達なりに調べるしかありません。
　これまで同様村での交流を通して話を聞くというのも一つの手です。
　ハイ・ブラゼル地方の過去が知りたければ、海と共にドロシーの小屋にいるといいでしょう。

　果たして、『おとぎばなし』の真実を知ることは出来るのでしょうか？

　初めましての方は初めまして。そうでない方はまたお会いしましたね。高久高久でございます。

　【重層世界のフェアリーテイル】の番外編シナリオ第二弾です。
　『おとぎばなし』の大元となった過去を見ることが可能となっているほか、「おとぎばなしの行方」同様に花妖精の村で、自由に行動することが可能となっております。
　今回、海は書庫ではなくドロシーが生活している小屋にいます。

　また、「大いなるもの」との戦い当時の光景を見ることになりますが、それがどのくらい前の出来事であるかを直接知るのは難しいでしょう。
　ですが、異国からやって来た戦士達の正体が分かれば、大体の見当がつくかもしれません。
　

■花妖精の村について
・電気やガスはありません。熱源は薪火、夜の部屋の灯りはろうそくを使用しています。
・広さは遺跡群まで含めた村全体で１０ｈａほどです。
・ドロシーが手入れを行なっている花壇や庭園以外にも、野生の植物も多く生えており、薬草や茶葉として使えるものも多くあります。
・かつては「大いなるもの」との戦いで荒廃していたが、長い年月を経て緑豊かな土地になりました。
・その当時を知る者は、動植物含めていないとされています（ドロシー談）
・また、村には子供しかおらず、ドロシーが保護者となっています。
・ドロシーのおとぎ話は彼女の創作もあるが、実際の出来事を元にしたものが多いとのことです。

　それでは宜しくお願い致します。

・過去の記録を見る。

・『おとぎばなし』の整理。

・花畑の世話。