なし

　コントラクターは小型飛空艇や空飛ぶ箒など、様々な乗り物を使いこなします。
　乗り物は冒険やモンスター退治といったコントラクターの活動に無くてはならないものと言えるでしょう。
　乗り物は多く存在しますが、その多くはコントラクターが使用していると言っても過言ではありません。
　シャンバラ地方の各都市の都市部では乗り物を普通に目にしますが、一歩郊外に出ると、人々はまだまだ馬や馬車を使用している姿が見受けられます。

　機晶技術はシャンバラの人々にとっても身近なものですが、ちょっとした贅沢品なのです。
　かつての白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫といった『三種の神器』のようなものです。

　そしてコントラクター以外で乗り物の恩恵を受けているのが……野盗といったアウトロー達です。



「ツァンダの郊外に住む少女より、陳情がありましたの」

　当主不在のツァンダ家に代わってツァンダを治めるレティーシア・クロカス（れてぃーしあ・くろかす）がそう切り出しました。
　少女が彼女の元を訪れたのは昨日の事です。
　少女には祖母がおり、病気を患っているため、ザンスカールの森で療養していました。
　そんな祖母に月に一度、お見舞いの手紙を送っていました。
　先日も祖母にお見舞いの手紙を送ったのですが、その手紙を乗せた荷馬車がシャンバラ大荒野近くで野盗に襲われ、荷物を奪われてしまったのです。
　幸い御者達は無事だったので、這々の体でツァンダまで帰って来ましたが、少女の手紙を始め、多くの積み荷は野盗の手に渡ってしまいました。

「手紙なんか書き直せばいいじゃない……って言うのは野暮よね。一生懸命書いた手紙は重いもの」
「はい。それに、今回襲われた荷馬車は今までは無事に運行できていましたの」
「つまり、積み荷を取り戻すと同時に、運行ルートの安全も確保しろって事ね。流石は当主代行サマ、考えている事が違うわ」

　セイニィ・アルギエバ（せいにぃ・あるぎえば）がオーバーリアクションでそう返しました。
　彼女は普段は空京のシャンバラ宮殿に詰めていますが、非番になるとツァンダにある家に帰ってきます。
　今日も帰ってきたところを、レティーシアに声を掛けられたのです。
　セイニィはすばしっこい上に近接戦を得意としていますし、一対多の戦いにもこなれています。アジトへの突入といった作戦には適任と言えます。

「……よろしくお願いいたしますわ」
「な、何よ…………………………悪かった、悪かったわよ。その女の子の手紙を含めて積み荷はできるだけ取り戻すようにするし、運行ルートの安全も確保するようにするわよ。陽動を掛けつつ野盗のアジトに乗り込むわ、人員を揃えてよね」
「そう仰られると思いまして、雅羅さんにお声掛けしてありますの。彼女の先祖は保安官だとお聞きしましたから、この手の荒事に離れていると思いますわ」

　セイニィはばつが悪そうにツインテールの一房を弄り、視線を刹那彷徨わせた後、観念したように言いました。


　数時間後、レティーシアの名前で野盗退治の依頼が各校の掲示板に貼り出されました。

　このシナリオでは、シャンバラ大荒野に出没する野盗団のアジトに乗り込み、奪われた少女の手紙を取り戻すのが目的です。
　レティーシアは全学校に依頼を出していますので、どなたでも気軽に参加できます。

　野盗団は最近、荷馬車の運行ルート上を根城とし始めたようで、正確な規模などは分かっていません。
　そのため、セイニィは雅羅・サンダース三世に囮となってもらって野盗団を誘き寄せ、その隙にアジトを襲撃する作戦を考えています。
　ですので、主に

・雅羅の陽動側に参加する
・セイニィの襲撃側に参加する

　といったアクションが取れると思います。
　MCとLCは別行動は取れませんので、同じ作戦に参加してください。

　襲撃された御者の情報では

・野盗団は20〜30人くらい
・大半はスパイクバイクに乗っていたが、数名小型飛空艇ヴォルケーノに乗っていた。また、ボスらしき人物はガーゴイルに乗っていた
・武装は銃器と弓矢、斧などが中心だが、何人かは魔法の武器を所有していた

　という事が分かっています。
　ボスはある程度の実力者で、部下もそこそこの強さを持っているようです。

　なお、アジトの場所はアトラスの傷跡の麓にある洞窟を使用しているようです。

　陽動が成功してこそ、確実にアジトに突入できます。
　班分けや打ち合わせはされておいた方がいいかと思います。

　セイニィはプロミネンストリックを、雅羅は小型飛空艇オイレに乗って参加します。

　雅羅は荷馬車の荷台に小型飛空艇オイレを隠しておきます。陽動側に参加される場合、荷馬車の荷台に乗り物を隠すこともできますし、荷馬車から付かず離れずの距離を付いてくることも出来ます。
　セイニィは雅羅から野盗団の襲撃の連絡を受けてからアジトへ突入し、積み荷の回収を優先して行います。

・陽動側に参加する

・襲撃側に参加する