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摩利支天の記憶

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摩利支天の記憶

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シナリオガイド

おぼろげな記憶をたどり、失われた秘宝を探し出せ
シナリオ名:摩利支天の記憶 / 担当マスター: 天宮 あると

 一陣の風が彼を眠りから揺り起した。
 何かが……何かが迫っている。
 彼の大切な人を再び苦しめ揺るがす何かが。
 その予感に突き動かされるように、彼は立ち上がり、ゆっくりと洞窟の外へ向かった。

 葦原の二月。
 節分も終わった小春日和の町中を、丸山風太郎が歩いています。
 あの、忌まわしき「死の預言」事件からすでにひと月余りが過ぎ、ようやく彼の心も平穏を取り戻そうとしていていました。もちろん、オズノの残したあの予言……「いずれ、あなたは全てを思い出します。そして、『それ』を狙って新たなる刺客が狙って来るでしょう」というあの不吉な言葉を忘れたわけではありません。彼の主人である日下部藤麻も、風太郎の身辺には十分眼を光らせてくれています。しかし、こんな穏やかな日には、その忌まわしきことの全てが嘘だったような気分になってきます。風太郎は我が家にたどり着くと、機嫌よく扉をたたきました。
しほり。かえったぞ、しほり」
 しかし、返事がありません。
 出かけたのかと思い、風太郎は家に入りました。ところが、そこで目にしたのは、食べかけの茶碗とこぼれた汁物の器だったのです。
「しほり?」
 風太郎は妹の名をよびました。
「しほり、いるんだろう? しほり。出てきなさい」
 不吉な予感が風太郎の胸によぎります。
 敵が、しほりを狙ってくることは十分に考えられました。
 しかし、
「しほりの事は日下部家の家臣たちが警護していたはずだ……」
 すると……。
「ダメダメ、風太郎ちゃん。あんなよわっちい警護じゃ話にならないよ」
 不意に男の声が聞こえて、何者かが背後から襲い掛かって来ました。
 とっさによけ「何者だ」と叫んだ風太郎の前に、一人のチャラ男が姿を現しました。
「風太郎ちゃん。俺だよ、俺」
 男は自分を指差し、胸をそらします。
 しかしどう見ても知り合いではありません。
「貴様など知らぬ」
 言い放つ風太郎に男は肩をすくめて言いました。
「つれないなあ風太郎ちゃん。俺だよ。ホラ、牙狼ちゃんだよ」
「知らぬと言ったら知らぬ!」
「まあ、いいや。それよりも、あれ、教えてよ」
「あれとはなんだ?」
「言わなくてもわかってるだろ? 摩利支天の像のありかと、甲賀最高の秘術とやらのことだよ」
「やはり、狙いはそれだったか。しかし、そんなものは知らぬ」
「またまたあ。今更隠してもバレバレなんだからあ。あのバカの荒田幻心が、風太郎ちゃんに摩利支天の像と甲賀の秘術を教え込んだ上で記憶を封じた事も、その記憶の封印をオズノが解いた事もみんな知ってるんだから。ねえ。そろそろ、思い出した頃だろ?」
「何も思い出してはおらぬ」
「ウーソばっかり! あれから何日たったと思ってんの? もうとっくにオズノの術の効果が出てるはずだよ。それとも、もしかして風太郎ちゃんてバカなの? テストとか、毎回赤点だったタイプ?」
「テストの話はよしな! トラウマをほじくり返されるじゃないか」
 どこからか別な声がして、女が現れました。
「おーや。爆乳のバンビーノちゃん」
 牙狼が口笛を吹きます。
「あんたも、摩利支天を狙ってきたのかい」
「その通りだよ。反逆の狼少年(ウルフボーイ)。あんたこそ、この勝負に加わるのかい?」
「そのとおりさ。この風太郎ちゃんから、摩利支天のありかと秘術を聞き出せば甲賀十人衆の頭目にしてくれるなんて、おいし過ぎる話でしょ。このビッグチャンスにのらない手は無いっつーの」
「ふん。裏切りに裏切りを重ねてきたオオカミ野郎が甲賀十人衆の頭目だと? わらわせんな」
「昔の事にこだわるなよ。僕もいい加減に流浪暮らしは疲れたのさ。そろそろ非正規から正社員にしてもらおうかな……なんちゃって」
「だが、あいにくだが頭目の座はあたしのもんだよ」
「それはどうかな? バンビーナちゃん」
「その名で呼ぶな。オオカミ野郎。なんならここで決着つけようか?」
「それも面白いね」
「覚悟しな! ルアアアアアアアアアアアアアアアア!」
 そういうと、女は巨大な鬼に姿を変えて男に襲いかかっていきました。
羅刹だ……」
 風太郎はつぶやきます。
 一方男の方は獣人に姿を変えました。それは、ウルフボーイの名のごとく狼の姿をした獣人でした。そして、彼は恐るべき素早さで羅刹の攻撃をかわしていきます。
マスター忍者か」
 風太郎はつぶやきました。
「女の子がそんな恐ろしい声を上げちゃいけないなあ。バンビーノちゃん」
 狼男のふざけた言葉が羅刹をいら立たせたようです。
「その名で呼ぶなあ。あたしの名は湖鹿だあああああ」
 そして、恐ろしい勢いで土間を殴りつけました。轟音とともに家が傾ぎます。二人はお互いを倒す事に夢中で風太郎の事は忘れているようです。その隙を狙って風太郎は家の外から飛び出しました。
 そして、しほりの姿を探し始めます。
「しほり! しほり!」
 と、またどこからか声がしてきました。
「やーれやれ。内輪もめに夢中になって獲物を逃がしてる。だからいったじゃないですか。腕力だけでは生き残れないって」
 そして10才ぐらいの子供が現れました。
「なんだ? 貴様は」
 風太郎が刀を向けると、子供が答えました。
「僕の名前はアカシック。しほりさんは拉致らせてもらいました」
「なんだと?」
「返してほしければ、摩利支天の像を持ってきてください。あ。甲賀の秘術は教えてくれなくてもいいです。摩利支天の像さえあれば秘術はその中に隠されているそうですからね。僕は無駄な事は嫌いなんです」
「摩利支天の像などここには無い」
「でも、お兄さんがありかをしっているんでしょう?」
「知らぬ」
「ウソをついてもダメです。お兄さん、本当は大分思い出してきたんでしょう?」
「何?」
「僕にはある程度まで人の心が読めるから分かるんですよ。お兄さんの心の声も聞こえてきますよ。『正名村』……とかね」
「!」
 風太郎は青ざめました。
「当たったでしょ? その村に摩利支天の像が隠されているんですよね」
「た……確かに、ここ数日なぜかその村の名が頭に浮かんでは消えなかった。しかしそれ以上の事は思い出していない……」
「だったら、早く思い出す事ですね。僕、気の長い方じゃないから、あまり遅くなると、しほりさんの命は保証できまないかも……なんちゃって。ふふふ」
「ふざけるな! しほりを返せ」
「摩利支天の像さえこちらに下されば返しますよ。大丈夫。10日ぐらいは待てますから
「と……10日だと?」
「そうです。10日後に、この場所で待ってますよ」
 そういうと、子供は陽炎のように消えてしまいました。

「しほり、しほり!」
 風太郎は叫びながら日下部邸を目指します。
 と、一人の鎧を来た剣士が風太郎の前に立ちはだかりました。
「お前が丸山風太郎か?」
 剣士が言います。
「そ……そうだが?」
 風太郎は答えました。
「確認した」
 うなずくと、剣士はいきなり襲い掛かってきました。
「何をする!」
 風太郎は寸でのところで避けましたが、二の太刀を避けきれずに転倒します。 
「危ない」
 その時、駆けつけた柳生十兵衛(やぎゅう・じゅうべい)がギリギリで太刀を受け止めました。その背後には日下部竜胆の姿も見えます。
「貴様何者だ? 甲賀の刺客か?」
「違う。あのような者と一緒にするな。我は摩利支天を守りし者
「何?」
「丸山風太郎! わが主の眠りを妨げし者。死ね」
 再び振り上げた刃を十兵衛は受け止め、横に薙ぎ払いました。
「く……」
 剣士は勝てぬと見て取ったのか、跳躍して後ろに逃げました。
「覚えておけ、丸山風太郎。我は必ずお前を殺す」
 そういうと、剣士は消えていきました。
「しほりさんを守っていた者が大けがをして戻ってきたので、慌ててそなたの家に向かうところだったのだが……一体なにがあったのだ?」
 たずねる十兵衛に、風太郎は今起きたことのすべてを話しました。
「なるほど。それは一刻を争いますね。すぐにでも正名村を目指さないと」
 と、竜胆。
「しかし、正名村と言っても広い。他に思い出せた事はないのか?」
 と十兵衛。
「はい。今のショックでもうひとつ思い出した言葉があります」
 風太郎は答えました。
摩利支天の像は黄色い山の下に隠れているようです」
「黄色い山の下? どういう意味でしょう?」
「分からん。とにかく行ってみよう」
 十兵衛はそう言うと、風太郎兄妹を助けるべくさっそく各校に助けを求めました。

担当マスターより

▼担当マスター

天宮 あると

▼マスターコメント

 というわけで、今回皆様にしていただきたいのは、摩利支天の像のありかの探索と、しほりの救出です。

■摩利支天の像のありかの探索
 摩利支天の像は、正名村のどこかにあります。
 ヒントは風太郎の記憶にあります。実は風太郎は幼い頃、しほりとともに正名村で暮らしていた事があり、彼の子供の頃の思い出の中にヒントがあるようです。彼と話をして答えを引きだしてください。
 正名村はかつては刀鍛冶の村でしたが、今はゴーストタウンになっており、謎の剣士(魔鎧)アンデッドがうろついています。彼らは、皆様の邪魔をすべく襲いかかってきます。彼らを倒しつつ『摩利支天の像』を探してください
『摩利支天の像』を探し出す事に成功すると、今度はウルフボーイバンビーノが手下を連れて襲いかかってきます。彼らは甲賀十人衆の頭目になるために『摩利支天の像』を必要としており、皆様をだしぬいて摩利支天の像を奪おうと狙って来ます。二人の攻撃をかわしつつ『摩利支天の像』をアカシックに渡しに行ってください。尚、ウルフボーイとバンビーノとアカシックはこのシナリオで倒す事はできません。
 アカシックは、10日後約束通り風太郎の屋敷に現れます。『摩利支天の像』を手に入れた上で、風太郎の屋敷を訪れしほりと引き換えてください。アカシックは無駄な戦いは好まないので、摩利支天の像さえ渡せばしほりを解放してくれるはずです。
 尚、今回は竜胆は主に風太郎の守りと『摩利支天の像』の探索に、十兵衛は仲間達の警護にあたります。


(敵キャラ説明)
●アンデッド……かつて村人だった者達が怨霊化した者。骨でできた翼で宙を舞い、呪われた武器で襲いかかって来る。この武器で傷をつけられた者は、呪われて動けなくなるか、もしくは石化してしまう。


●謎の剣士……風太郎の命を狙う謎の剣士。実は魔鎧。武器は幅広の剣。かなりの使い手であるだけでなく、防御、魔法防御、ヒットポイントが著しく高く、こちらからはなかなかダメージを与えられない。力を封じる光を放ち、スキル封じる事も。瀕死状態になっても甦る(ただし一度だけ)。摩利支天の像が村から持ち出される事を阻んできます。誰かに忠誠を誓っているようです。


●牙狼(ウルフボーイ)……獣人。普段はチャラ男だが、戦闘時は獣人化する。クラスはマスター忍者。戦闘開始時に敵全体に物理攻撃を行う。霞斬りや、壁抜けの術。鋭い爪を武器にした手刀攻撃。素早さを生かした分身の術、麒麟走りの術。そして、目にも留まらぬ早業で相手を切り刻む魔障覆滅などを駆使して戦う。ただし自分の身が一番大切なので、危なくなるとすぐに逃げてしまう。状況によっては裏切る事もある。

●忍者……獣人で牙狼の手下。忍者の持つスキルは一通り使える。ボスと違って任務に忠実で逃げ出す事はありません。

●湖鹿(バンビーノ)……マホロバ人。爆乳の女戦士で羅刹のスキルを持つ。武器は魔法剣。鬼化して強力な握力で物理攻撃するだけでなく、魔力を込めた符を投げつけ、敵を焼き尽くす。滅焼術『朱雀』や、冷気をまとわせた刃で敵を斬り払う抜刀術抜刀術『青龍』や、暗黒の洞穴を出現させ、そこに敵を吸い込む事が出来る闇洞術『玄武』などを駆使して戦う。単純明快猪突猛進で、バンビーノと呼ばれると逆上する。

●侍……湖鹿の手下のマホロバ人。武器は綾刀。面打ち、二刀の構え、受太刀、疾風突き、真空斬り等。状況によっては鬼化して戦います。


(NPC説明)
柳生十兵衛三厳……全身黒づくめの隻眼の剣士。常に愛用の剣『三池典太』を携えている。柳生新陰流の使い手。ナラカからパラミタに上がって来てからしばらくは、自らのうちに眠る邪悪な心を制御できずに強い敵を求めてパラミタ大地で暴れ回っていたが、日下部家の先祖である珠姫の破邪の力で正気に戻る。それ以来、珠姫の血を受け継ぐ日下部家を護る事を己の信条としています。

日下部竜胆……日下部家の3男。生まれてすぐに捨てられ、里見村で女性として育てられる。外見は青みがかったストレートのロングヘアのどう見ても美少女。横笛と舞踊の名手。お気に入りの横笛と、小さな守り刀を肌身離さず持っている。葦原に来てから武術の鍛錬をし、雑魚敵ぐらいであれば倒せるようになっている。彼の吹く横笛の音色には破邪の力がある。

丸山風太郎……日下部家の家臣。幻心道場の元門下生。師範の荒田幻心によって甲賀の秘術と甲賀の秘宝『摩利支天像』のありかを記憶の底に封印されるも、甲賀の忍び『オズノ』の術で封印が解かれ、少しずつ記憶を取り戻しつつある。剣術をならっていた割にやや小心。

丸山しほり……風太郎の妹。兄思いのけなげな少女。

※尚、このシナリオは『死の予言者』の続編になりますが、前作に参加されていない方も参加できます。

▼サンプルアクション

・風太郎からヒントを聞き出す

・アンデッドと戦う

・バンビーノと戦う

・謎の剣士(魔鎧)と戦う

・『摩利支天の像』をアカシックに届ける

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年01月26日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月27日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月31日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年02月13日


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