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炬燵狂想曲

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シナリオガイド

炬燵でゆっくり……なんてさせねーよ!?
シナリオ名:炬燵狂想曲 / 担当マスター: 菊池五郎

 普通ではない出来事が多々起こるパラミタも、季節は普通に巡ります。
 今訪れている季節は冬。寒く、温もりが手放せなくなる、そんな季節。


「ふぅ……やっぱりこの時期は寒いわね」
 冷たく赤くなった指先に白い息を吐きかけながらパラミタ・トラベル・ツアーズの社員であるイラエットが呟きます。
「冬だからね、仕方ないさ……とはいえ、流石に堪えるな、この寒さは」
 イラエットの呟きにダクレスが苦笑します。
「毎年の事だが、どうにかならないもんだろうかね……と、どうかしたのかね、リュリネス君?」
 木枯しの寒さに身を震わせながら、社長のカペル・イェーガーが何かをじっと見ているリュリネスに気付きました。
「ああ、いえ、あそこで何をしているのか気になりまして」
 そう言ってリュリネスが指さす先にあるのは人だかり。


「さー安いですよーお安くしますよーあったかい炬燵いっぱい売ってますよー♪」


 その人だかりの中心に、頭まで真っ黒なフードをずっぽり被った人物が、炬燵を売っていました。

「ああ、炬燵を売っているのね」
「炬燵、ですか?」
 首を傾げるリュリネスにイラエットがええ、と頷きます。

 暖を取る手段として、現在街では炬燵が流行っていました。
 手軽でどちらかと言えば安価、そして風情があるというのが人気の理由です。
 様々なお店で売り出し、人々は買い求め、各家庭で炬燵のある風景が見られるようになりました。

「はぁ、何が流行るかわかりませんね今の世の中」
「同感だね」
 感心した様に呟くリュリネスに頷いたダクレスに、呆れた様にカペルが溜息を吐きます。
「こらこら、流行に敏感でないと困るだろ我が社は……それより早く帰ろう。風邪でも引いたら敵わん」
 そう言うとパラミタツアーズの面々は帰路へ着く足を速めました。
 
 ――この時目撃した光景が、後に面倒な事を引き起こすとは、この場にいた誰もが想像すらしていませんでした。



 ――とある山中。

「ふぅ、こんなもんかな」
 松原 タケシ(まつばら・たけし)が額の汗を拭います。
「お疲れー」
 リーレン・リーン(りーれん・りーん)が労いの言葉をかけると、大きなため息でタケシは答えます。
「ホント、山の中に炬燵なんて運ぶのは疲れた……」
 タケシは蒼空学園の面々と、まだ雪が残るとある山の中で暮らす地元民を訪ねていました。
 セールで大量に仕入れた炬燵を持参し、地元民達との交流を図る為です。
「ははは……でも気に入ってるみたいだよ?」
 そう言ってリーレンが地元民を見ます。その暖かさが気に入ったのか、地元民は炬燵に齧りつく様に入ったきりです。
「あー……汗かいたから寒くなったな。俺も入るか」
 そう言うと、原住民と一緒にタケシが空いている場所に入り込みます。よく見ると、皆寒くなったのか各々炬燵に入り、既に埋まっていました。
「あーずるい自分ばっかり! ちょっと詰めて私も入れてよ!」
 そう言ってリーレンが駆け寄りますが、

「止まれ!」

タケシが大声でリーレンを制します。
「何でよー! 私だって寒い……た、タケシ!?」
「入るな……この炬燵、何かヤバいぞ……!」
「そ、それどうしたの!?」
 リーレンが足を止めます。タケシの頭には、獣の耳が生えていました。ピコピコと動く耳は、猫のそれに似ていました。
「わ、わかんねぇ……何か入った瞬間、何のやる気も起きなくなった……」
 そう言うと、タケシは力が抜けた様にくったりとします。辺りを見ると、炬燵に入った面々はタケシ同様、猫耳を生やして蕩けた表情で骨抜きになっていました。
「こ、これどうしたらいいんだろう……ん?」
 ふと、リーレンは足元を見ます。積もった雪についた足跡。その奥に見えるのは土……ではなく氷。
「ま、まさか!」
 リーレンが雪を払うと、現れたのはやはり土ではなく氷。
 そう、ここは地面ではなく氷――湖の上でした。この寒い中湖の水が凍り、更に雪が降ったせいで誰も気づかなかったようです。
 炬燵を用意している間に誰か気付けよ、という話ですが時すでに遅し。炬燵の熱で着実に、氷は溶かされていきます。

「ど、どうしよう……このままじゃみんな湖に転落しちゃうよ!」




 ――同じ頃、街中では。

「いきなり変な電話来たと思ったら……」
 雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)から『たーすーけーてー』という電話を受けた高円寺 海(こうえんじ・かい)。偶々近くを歩いていた彼は彼女の家に急いで向かいました。
「そんな格好して何やってんだ?」
 そして、海が見たのは猫耳を生やし炬燵に涙目で項垂れる雅羅でした。
「うぅぅぅ……で、出られない……」
「……はぁ? 正月で太って引っかかってとか? いや嘘だ今のは嘘だだから銃口向けるな頼むから」
「……か、体に力が入らないのよ」
 銃口を下ろしつつ雅羅が言います。言う通り、全身がくったりと弛緩しているように見えます。
「で、何でそんなことになったんだ?」
「今日学園で山に交流に行くって人達から余った炬燵譲ってもらったのよ……それで入ったらこの有様……何か変なの生えてきてるし力は入らないし……」
 涙目で雅羅がピコピコと猫耳を動かします。
「自力でどうにもならないのか……まぁ、話聞く限りだとこの炬燵が原因だろうな。とりあえず引っ張り出すか」
 そう言って海が雅羅に近寄ると、

「シャッ!」
「危なッ!?」


今まで力が抜けていたとは思えない程、素早く雅羅の腕が海を掠ります。掠った服が、鋭く破れていました。
 フーッと海を威嚇する雅羅の手を見ると、鋭い爪が生えています。
「い、いきなり何するんだよ!?」
「……あ、え? い、いや今体が勝手に……」
「やれやれ、これじゃ引っ張り出すのも無理か……ん? あれは、さっきの炬燵売ってた奴?」
 ふと、海の目に点けっぱなしになっていたテレビが入ります。そこに映っていたのは、海がここへ来る途中見かけた炬燵売りの黒フードでした。
 黒フードの何者かは、カメラに向かってぺこりと頭を下げました。

「ごめんなさーい、さっきの炬燵、入らないでくださーい。危ないですよー」

「……はぁ?」
 何事かと思うと、黒フードの何者かは説明を始めます。

 黒フードの何者かは、この寒い季節に皆に喜んでもらおうと考えていた中、今流行の炬燵に目を着けました。
 しかしただ炬燵を売るだけでは芸がない。そこで思いついたのは、炬燵でリラックスできるようにまじないをかけること。
 そして黒フードの何者かは炬燵にまじないをかけました。猫の様にリラックスできるように、と。

「でも間違えちゃったようで、中に入ると本当に猫になっちゃうみたいですー。ごめんなさーい」

 最早『まじない』というより『呪い』でした。

「私は今からおまじないを解く方法を探してきますー。いつになるかはわかりませんがまっていてくださいー。あ、入っちゃった人は無理矢理出さない方がいいですよー。野生の本能で襲われちゃいますからー。後炬燵を壊すとおまじないがどう作用するかわからないからやめておいた方がいいと思いますー。それじゃ、失礼しますー」

 そういうと、黒フードの何者かはそそくさとフェードアウトしていきました。
「い、今から解く方法探すの!? 何時になるかわからないじゃない!」
 雅羅が絶望的な表情を浮かべました。
「……こりゃオレ1人の手に負えねーな。とりあえず、助けを呼ぶか」
 海が面倒事になった、と溜息を吐きます。


 ――こうして、炬燵を巡る長い一日は幕を開けたのでした。

担当マスターより

▼担当マスター

菊池五郎

▼マスターコメント

 このシナリオは複数名のマスターによる合同シナリオです。
 担当マスターは下記の2名となります。
 ・寺岡 志乃
 ・綾瀬 亜紀


■目的
 山、街中で猫化してしまう魔法がかけられた炬燵に入ってしまった者達を何とか出す、ということになります。
 山では炬燵の熱で池の氷が割れてしまいそうになっており、街は街で空腹、排泄が迫る中と事態は一刻を争う状況です。
 助ける人は炬燵から出す方法を、入ってしまった人は何か指示を出してください。


※参加する方はアクション欄に【山】【街】と希望を記述してください。
 また選べる場所は1PLにつき1ヶ所となります。『MCが山、LCが街』といった行動はできません。
 【山】【街】パートは各15名が定員となります。定員を超えた場合、マスター側で調整を行います。
 必ずしも希望通りの場所に行けるというわけではないので御了承ください。

 


■山中パート(寺岡 志乃)
 山の中で池の氷が解けて割れる前に炬燵に入った者達と一緒に地元民も助けなくてはなりません。

・このパートでは蒼空学園の生徒は最初から炬燵に入り猫化した状態からスタートできます。
 炬燵に入った人や地元民を助ける、炬燵に入っちゃってどーしよーというのが主なアクションです。
 蒼空学園所属以外の方はリーレンの救援要請を受けて来た、という事になっています。その為最初から炬燵に入って、というアクションはNGとなりますので御注意下さい。

地元民は「ポポポ」としかしゃべらないので言語によるコミュニケーションはとれません。
 また、地元民もしっかり呪いはかかっております。無理矢理引っ張り出そうとすると怒って張ったおされます。その後炬燵へ戻ってしまいます。



■街パート(綾瀬 亜紀)
 雅羅を始め、各家庭で炬燵に入ってしまった者達をどうにかして出そう、というシチュエーションです。
 こちらは池の氷が割れそう、というような状況こそありませんが、空腹だったりおトイレ行きたいだったりと山同様深刻なのは変わりません。

・街パートではどこに所属していても炬燵に入った状態からスタートが可能です。
 雅羅を助ける手助けをする、雅羅とは別に炬燵に入ってしまった人を助ける、買ってきた炬燵に入っちゃってどーしよーというのが主なアクションです。



■炬燵に関して
・最高6人くらいが入れる炬燵になっております。
・破壊した場合まじないがどう作用するのか不明となっているのに加え、黒フードの何者かが長持ちするようにと別のまじないをかけている為まず破壊はできないと思ってください。
・炬燵に入った者は種族やクラス関係なく皆様猫化し、段々と無気力になっていきます。どうあがいてもなるので、『○○だから平気だ』というのは無いと思ってください。
・無理矢理引っ張り出す等邪魔をすると本能か嫌がってやたらと強い猫パンチ猫キックなどで襲い掛かってきます。その後素早く炬燵へと戻ってしまいます。
・猫化すると可愛くなります。可愛くなります。大事な事なので2回言いました。 



■NPCについて
 今回登場のNPCは以下の通りです。

・山パート登場
 松原 タケシ:炬燵に入って猫化進行中
 リーレン・リーン:困っています

・街パート登場
 雅羅・サンダース三世:炬燵に入って猫化進行中
 高円寺 海:めんどくせーことになったなーと困っています
 パラミタツアーズの面々:街中を歩いています。

 これらのNPCは他のパートでは登場しないのでご注意ください。
 正体不明の黒フードの何者かはまじないを解く為にどこかへ行ってしまったので今回は登場しません。

 それでは皆様のアクションをお待ちしております。

▼サンプルアクション

・炬燵に入ってしまった人を助ける

・炬燵に入って助けを求める

・むしろ炬燵に入る

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2013年02月04日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年02月05日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年02月09日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年02月25日


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