なし

「アガルタに出張？」
「ああ。実はアガルタの長、ハーリー君とは知り合いでね。セレモニーに呼んでくれたんだよ」

　父親のイキモ・ノスキーダが笑顔で言うのに、ジヴォート・ノスキーダ（じぼーと・のすきーだ）は不思議そうに答えました。
　セレモニーに呼ばれたということは、社長として。仕事として呼ばれたのでしょう。イキモはそういった仕事の話をほとんどジヴォートに語ることがなかったので、とても珍しいことでした。
　イキモはすぐにジヴォートの疑問に気づいたようで、続きを話し始めました。

「セレモニーというのが、アガルトピア中央区に新しく出来たショッピングモールと電波塔の完成を祝うものなんだ」
「電波塔」
「ああ。ハーリー君は今、街に来てくれるテレビ局を探しているんだよ。視察にいってみたらどうかな？　私の滞在中ならば紹介もできるが」

　そこまで言われれば要件は分かりました。アガルタに支局を作ってみては、という話でしょう。ジヴォートも興味があったのでさらに詳しく聞きます。ですがセレモニーの日付を聞いて眉を寄せました。セレモニーは少し先の話だったのですが

　その日は、社員旅行を計画していた日であったのです。

　もちろん、当日に行く必要などないのですが……父親とともにどこかへ行くのは互いに忙しいため中々機会がありません。言葉に出さないものの、ジヴォートはせっかくのチャンスだったのにと心の中で残念に思っていました。

　落ち込んだ様子の息子にイキモが首を傾げます。
　なんでもない。
　ジヴォートは首を横に振りつつ、ため息をこぼしました。そんな２人を見たプレジ・クオーレ（ぷれじ・くおーれ）は少し考えた後、口を開きました。

「そういえば、社員旅行の行き先は決まってませんでしたね。アガルタは観光都市として有名ですし、アガルタにされてみてはいかがでしょうか」
「おお、旅行に行くのか。電波塔はセレモニー後、一般開放して中へ入れるようになるから社員の皆さんと楽しんでくるといい。今回はハーリー君に挨拶だけして、支局の話はまた今度でも良いだろう」

　イキモがプレジに同意したことで、ジヴォートの目が輝きました。父親と良く似た瞳の輝きを見たプレジは口元で優しい笑みを浮かべてから、イキモに向き直ります。

「イキモ様は、セレモニー後はどうなされるので？」
「ん？　そうですね。せっかくなのでしばらく滞在する予定ですよ。アガルタは良いところですし、最近は活気付いてきましたから支店を出すのも考えていますし」
「あ！　じゃ、じゃあ俺たちと一緒に回ろうぜ！　こ、今回の旅行は家族同伴で良いって皆にも言ってるし……父さんがよければ、だけど」

　緊張してやや上ずった声で言うジヴォート。イキモはその想いに気づいているのかいないのか。顎に手を当てて考えた後、「そうだな」とうなづきました。

　こうして社員旅行の行き先が決まり、ジヴォートは初めて父親と旅行が出来ることとなったのでした。


＊＊＊　　　　　＊＊＊


「電波塔とショッピングモールができあがるか。ようやく、だな」
　ハーリー・マハーリーは執務室の窓から見えるひときわ高い建物（電波塔）と、その近くにある巨大ショッピングモールを見て息を吐き出しました。
　街全体の運営に追われてアガルトピア中央区の発展に中々手を出せなかったのですが、前々から作っていた２つの施設がようやく完成したのです。これでますます、アガルトピア中央区は大都市と化していくことでしょう。

「そういえばプールが赤字続きだったか。そちらの宣伝もしないとな。サウナは好調だからよいとして……ああそれと、土星くん　壱号（どせいくん・いちごう）から報告書もきてたな」

　物々言いながら書類をめくって、ハーリーは今日も仕事に追われるのでした。

　はじめまして、こんにちは、またまたお邪魔します。舞傘です。
　今回は番外編、ということでどうやらアガルタ観光をするらしいジヴォートです。一応視察も軽く兼ねていますが、父親との初旅行に浮かれているようです。
　メインはジヴォート君たちになりますが、アガルタの話でもありますので今までジヴォートに関わったことがない方も大歓迎です。学校も関係なくご参加いただけます。
　お店を出されている方はそちらで、店を出したい方はそちらでアクションかけていただいてもかまいません。

　今回は特に陰謀などはありませんので（チンピラに絡まれることはあるかもしれませんが）、のんびりとアガルタを楽しんでいただければと思います。

　参加可能ＮＰＣは私の持ちキャラのみです。一番下に一覧を載せておきます。

【アガルタの街について】
　地下に発見された巨大空間を利用してやり手商人ハーリー・マハーリー（３０・男）が作った巨大地下街。元々は土星くんや移動式住居の製造工場と判明。
　街の詳細や出展者一覧はコチラから。
（Ａ区補足：巨大ショッピングモールや電波塔、プールもあり）
（Ｃ区補足：土星くんしかあけることができない遺跡の入り口あり）
　指令部（役所）やサウナは各地区に存在。

【ジヴォートたちと観光！】
　こちらはジヴォートと知り合いの方はもちろん、知り合いから紹介をされたと言うことで今まで彼と関わったことのない方も参加可能です。
　お土産を買ったり、ＰＣさんたちのお店を回ったり、一緒に旅行する方たちと会話したり……楽しんでいってください。
　ジヴォート、プレジ、イキモが同行します。あとドブーツ（ジヴォートの友人）が後をひっそりつけていたり、お忍びの土星くんを発見したりするかもしれません。

【観光案内！】
　ジヴォートたちを案内します。アガルタをよく知らない方も観光ガイド講座を受けたとして、観光案内していただけます。彼らだけでなく、他の旅行者を案内することも可能です。
　講座を受けている途中でジヴォートたちと会うこともあるかも？
※案内する際はあちこちをというのではなく。どこか一箇所を集中して案内する形でお願いします（もちろん、他の場所も同行する形になります）。
　案内できるのはＰＣ様のお店だけでなく、ＮＰＣが運営している店や施設（服屋、サウナ、プール、噴水広場、指令部等）、夜景（展望台は各地に複数存在）などなど、たくさんあります。具体的な場所が思いつかないと言う方は、「〜〜な感じの店を紹介したい」という大体のイメージでもＯＫです。

【出店する！　店を運営する！】
　出店希望はまだまだ募集中です。もう出店されている方は、そちらでアクションかけていただいてもかけなくてもＯＫです。

※出店について
　常に店にいる必要はありません。雇った名もなきＮＰＣに任せてもいいですし、気が向いたときだけ開く、と言う形でもかまいません。店を休んで観光してみたり、他のお店と協力してイベントを企画してみたり……お気の向くままにどうぞ。
　掲示板で店にいるかどうか書き込むと、他の方が行きやすいかもしれません。
　出店地区や説明はこちらで考えていますが、どうしてもこの場所がいい。どうしてもこの説明は書いてほしい、などがありましたらアクション内にご記入ください。

【普通に観光！】
　ジヴォートたち関係なく、アガルタを楽しんでいってください。いろんなお店がありますので、ぜひいろんな場所へ行ってみてください。ＰＣ様が出されている店はもちろん。今回からＡ地区（アガルトピア中央区）に巨大ショッピングモールもできました。そちらで買い物を楽しむことも出来ます。サウナやプール、電波塔、噴水広場、夜景など、見所はあちこちにあります。

※ＰＣ様出店の店について
　掲示板にお店について書き込みされていることもありますので、覗いてみると幸せかもしれません。

【そのほか！】
　もちろん上記以外にも街中でしたいことがありましたらどうぞ。

【登場可能ＮＰＣ一覧】
　土星くん・壱号（SNL9998635）　本名はコーン・スー。移動式住居の制御を司る機晶生命体。最近はアガルタのマスコット化してきた。どの地区にも出現。
　ハーリー・マハーリー　アガルタのトップでＡ地区を統べている。元商人。現在超多忙。基本Ａ区にいる。
　巡屋　美咲　アガルタの全然暗くない街（Ｃ）の裏側をまとめている巡屋組の組長。一見おっとりした女子高生。配下にヤスという男がいる。基本はＣ区だが、あちこち遊びにいくこともある。
　ジヴォート・ノスキーダ（SNM9998667）　世間知らずの若社長（テレビ番組作成＆放映会社）。まだまだながらなんとか頑張ってる。父親との旅行に内心テンションがあがっている。全区をめぐる予定。
　プレジ・クオーレ（SNL9998634）　ジヴォートの幼少期からの護衛兼教育係。現在は秘書として支えている。見た目が怖いが、大の子供＆動物好き（変な意味じゃなく）。
　イキモ・ノスキーダ　ジヴォートの父親。とある事情でジヴォートと生き別れていた。今はともに過ごせることだけで十分な幸せを感じている。
　ドブーツ・ライキ　ジヴォートの友人。同じく社長だがジヴぉより社長歴は長い。ジヴォートを嫌っている様子を見せるが、何かと心配もしているようだ。

　ほとんど男ということに愕然としつつ、皆様のご参加＆アクションをお待ちしております。

・社員旅行に参戦！

・観光案内する！

・出店する！

・アガルタ観光！