天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

一会→十会 ―領主暗殺―

リアクション公開中!

一会→十会 ―領主暗殺―

リアクションが公開されました!

リアクションの閲覧はこちらから!

リアクションを読む

参加者一覧を見る

シナリオガイド

失われた東カナンの秘宝・グレムダス贋視鏡を取り戻せ!
シナリオ名:一会→十会 ―領主暗殺― / 担当マスター: 菊池五郎

 東カナンの首都――アガデ。
 領主の住まう城の表宮の一部屋、執務室のシンプルなデスクの前に、男は座っていました。
 上下の黒の服の上で、窓から差し込む陽光に雫型のトパーズが煌めきます。東カナン領主バァル・ハダド(ばぁる・はだど)、その人です。
 領主への敬畏を現すように一定の距離を置いて、側近の男はこの日の連絡事項をバァルへ伝えていました。
「――先日のシボラの難民キャンプ視察の件について、報告を含めた対策の会議は明日の14時に決定致しました。
 以上になりますが、バァル様からは何かございますか?」
「考えたんだが……東カナンも今後の外交を考え、現代社会を迎合するべきではないかと」
 いつも特別何か有る訳では無く、定例となっているだけの質問にバァルが重い言葉を返した為、側近の男は既に真っ直ぐだった姿勢を更に正して次の言葉を待ちます。
 カナンはかつて鎖国状態にあった為、他国より遅れている事を自覚し、近代的な改革を目指していました。その面においてバァルは特に進歩的な考えを持っている事から、続く内容はこれに関係したものと予測されます。
 ところが、バァルの口から出てきたのは意外な……意外過ぎる言葉でした。
「メイドのスカートが長過ぎると思うんだ。膝上20センチにしよう」
「……え…………それはつまり……」
 上手く反応出来ない側近の背中に、クスクスと忍び笑いが飛んできます。振り向いた先に立っていたのは、なんとこちらもバァルでした。
「バ、バァル様が…………二人!!?」
 口をあんぐり開いた側近の動揺振りを見てセテカ・タイフォン(せてか・たいふぉん)は二人のバァルに悪戯っぽく言います。
「この調子なら大丈夫そうだ」 

* * * * *

 それは一月程前の事です。城内一室で、バァルと12騎士のセテカ、オズトゥルク・イスキアカイン・イズー・サディクが、地球のある軍の将校と対面していました。
「この男の名をご存知ですか」
 テーブルの上に放り出された一枚の写真を見て、バァルはその名前を口に出します。
「ヤウズ・ギュルセル」
 男はバァルのかつての学友でした。バァルが18歳の時、彼は両親の突然の死によって東カナンの領主として即位する事になりました。その時のごたごたで幾人かの学友との親交は途切れてしまったのです。しかし今でも時々思い出しては懐かしみ、気に掛けていた友人の一人、それがヤウズでした。
「この男が半年程前から我々の国のある『組織』と接触しています」
 勿体ぶった言い方にセテカが口を開こうとすると、笑いながら写真を取り上げて話を切られました。
「この辺りは余り突っ込まないで欲しいんです。誰だって身内の恥は隠したい」
「――そうだな」
「理解が早くて助かる。ならさっさと本題に入りましょうか。
 一月後に此処アガデのグランドバザールで行われるイベント――魔法少女アイドルによる慰問コンサート、だったかな?
 そこで例の組織とヤウズ・ギュルセルが取引を行うと情報を掴みました。
 12騎士の皆さんが追っている盗難に遭った『魔装具・グレムダス贋視鏡』の行方と関わるような取引です」
 視線を飛ばされてセテカは将校の話す内容を理解します。先日東カナンの代々の領主に伝わる秘宝が城より盗み出されました。その犯人がヤウズだったのです。城に入れる貴族の息子としての立場を利用して盗み出したと考えれば全て納得がいきました。
 12騎士を除く人間は殆ど知らないこの領内機密を何故この将校の所属する軍が、国が知っていたのかは謎でしたが、他ならぬバァルが何も言わないのです。セテカは口を噤みます。
「グレムダス贋視鏡は、地球に持ち帰れば莫大な利益を生みます。しかしあれは元々貴方がたのもの。我々が欲しいのは組織の首です。……ヤウズの身柄もおさえたいところですが、その辺りはご希望が有れば譲歩しましょう。
 はっきり申し上げる。東カナン領主、バァル・ハダド。我々米軍はあなたに『協力』を要請したい」
 将校はあくまで『協力』という言葉を強調します。領主と話し合う為に派遣された彼の階級が高く無い事から考えても、大国の威圧感を与えない為の配慮なのでしょう。少数程度の行動許可ならば、専制君主国家の領主たるバァルの一存でどうにか成ると言う事を、相手はよく理解しているのです。
「詳細は後日追って――。では、失礼」
 バァルから返事がないのを快い了解と受け取って、将校は立ち上がり執務室を後にしようとします。
 そんな折、唐突にセテカが妙な事を口走りました。
「…………きみ、バァルに似てるな」と。
「骨格が似てるのか? 背の高さも丁度同じ位だ」
 セテカの意味ありげな言葉の裏を、オズトゥルクは瞬時に理解します。
 ――かつての学友が犯人だというのに領主という立場から動く事の出来ないバァルのもどかしい気持ちを汲み取りたい。更に他国の機密を握っているような国に、東カナンを歩き回る許可を出していいものか……。その二つを簡単に解決出来る方法があるのです。
「いやあ、そっくりだな! 本当に!!」
 オズトゥルクの加勢を貰いセテカの唇が企みに怪しく歪むのに、将校は眉を顰めます。
「何が言いたい」
「協力してもいい。だが一つ条件を提示してもいいだろうか」

* * * * *

「わあ、本物の領主様みたいですねー」
 飛鳥 豊美(あすかの・とよみ)の憧憬に輝く瞳に見上げられ、引き摺るような盛装に身を包んだバァル――と入れ替わっているアレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ(あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち)は片眉を上げます。自分もまた故郷に帰れば似たような地位を持っていたような気がしましたが、足下の鵜野 讃良と目が合い、微笑み合う事で『気がしましたー』と頭の中で片付けました。
「しかし中世引き摺った国家の領主と騎士って言うからどんなお固い連中かと思ったが、思ったより傾いた事するよな」
「そうしょっちゅうある事じゃないと思いますよ。今回が特殊な状況」「だと思いたいね」
 無理矢理言葉を繋いでしまうアレクに、豊美ちゃんは苦笑します。
「アレクさんは大丈夫ですか、幾ら背格好が似ているからなんて影武者だなんて、色々と大変じゃ――」
「専制君主の領主様だろ。領民は常に頭下げてるからな、顔なんて見てねぇんだよ」
「それは流石に言い過ぎですよー。
 ……でもそうですね、何か言い難いことを隠している時は私に目を合わせようとしませんでしたね」
 豊美ちゃんが昔を思い返しながら言います。今でこそ豊美ちゃんは『終身名誉魔法少女』、永遠の魔法少女ですが生前は日本の天皇でありました。トップに立つものとして彼女もまた、多くの人を見てきているし経験もしているのです。だから今回のバァルの心中も理解出来るし、こうしてアレクがバァルの代わりを務める事になった経緯も理解出来ます。
「豊美ちゃんが可愛いから当てられてたんじゃないか? 俺昔の日本人が羨ましいよ。
 ――まあ適当な事に12騎士に囲まれた黒髪の男だったら大体バァルに見えるってさ。俺自身全く似てると思えないが、大体そう言う事らしい」
「大丈夫! オレが保証してやる! ハズレたからって何もないがな!」
 不意に背中を吹っ飛ぶ程強く叩かれてアレクは面倒そうに後ろを振り返りますが、オズトゥルクはケロリと笑顔を浮かべているだけです。
「しかし暇で暇で……。一日中座ってるだけだからケツ痛い」
「気持ちは分かりますー、領主はそれがお仕事なんですけどね。
 じゃあアレクさん、イベントが無事に終わったら少し羽を伸ばしましょう。折角東カナンまで来たことですし」
「HOT DOG!(やったね)領民にブンブン手ぇ振ってこよう!」
「おば……豊美ちゃん、そろそろお話は終わりに。アレ……バァル様お時間です。準備は宜しいでしょうか」
 控え室に入ってきたイベント進行の飛鳥 馬宿に促されて11人の騎士に囲まれたアレクが歩みを進めます。
 その背中を見ながら豊美ちゃんは心配していました。
 ヤウズと組織の取引を止める為、バァルはセテカと共にこのイベント会場のあるバザール内に、彼が協力を要請した契約者達と紛れ込んでいました。不在の領主の代わりに身代わりを務めているアレクを励ます意味でああは言ったものの、このイベントが滞り無く行われている間に、全ては成功するのでしょうか。
「私としても、コンサートを成功させたい気持ちはありますけど……。
 何より皆さんが怪我なく無事で居てくれるのが一番です」
 豊美ちゃんが呟いた時でした。一人の男――軍人が部屋に駆け込み、アレクに何かを耳打ちします。何事かと首を傾げる皆に振り返って、アレクは嗤いながら言いました。
「ははは、困ったな。グレムダス贋視鏡を盗む交換条件で、俺ステージで暗殺されちゃうみたいよ」

担当マスターより

▼担当マスター

菊池五郎

▼マスターコメント

*こちらのシナリオは複数のマスターがリアクションを執筆致します。各マスターが担当マスターNPCに関わるシーンを執筆予定ですが、通常の合同シナリオとは違い細かくパート分担をしておりません。予めご了承の上ご参加下さい。

執筆マスター:寺岡 志乃、猫宮 烈、東 安曇

* * *


【参加について】
・『ステージ』『会場警備』『バザール探索』の中から、(MC、LCは行動を共に)一つのシーンのみにご参加下さい。


【シナリオの流れ】
・豊浦宮が東カナンでイベントをする日。イベント会場の何処かで先日盗難された東カナンの秘宝がある貴族と組織の間で取引されるという米軍の調べから、犯人を捕まえる為東カナン領主のバァルと、軍人のアレク、魔法少女の豊美ちゃんは協力することに成りました。
・犯人をよく知るバァルはイベント会場を探索することに……。彼に代わりアレクが領主の替玉としてステージに立ち領主の替玉として振る舞います。豊美ちゃんはそんなアレクのサポートをしながら犯人グループに怪しまれない様にイベントを進行しなければなりません。
・しかしそんな中、領主がステージに上がり挨拶をする際に組織に暗殺されるとの情報まで!
・バァルは、イベントや観光の為に東カナンを訪れていた契約者(PC)の皆さんに、協力を仰ぎました。
犯人グループを追跡し捕獲する、イベントのステージに立つ、イベントで警備するなど、様々なアクションで彼等に協力してあげてください!


【シナリオの舞台】
『東カナン・アガデ』
 シャンバラの東隣に位置しており、今も中世のような生活様式を送る特殊な地カナン、その東側を若き領主バァル・ハダドが治めています。
 アガデはその東カナンの首都です。

『グランドバザール(カパルチャルシュ)』
 アガデにある市場。全体が屋根に覆われています。迷子に成ってしまいそうな程沢山の道が何本も入り組んでおり、そこに数千軒の店が連なっています。その道が集結している中央に円形の広場が有り、そこで魔法少女のイベント『MG∞』が行われる予定です。
 今回、数個ある門の全てに東カナン軍兵士による警備が敷かれています。

『MG∞』
『Magical Girl Infinity』の意味。魔法少女無限大!
 魔法少女の持つスキルを生かして、みんなに安心と幸せを届けましょうというもの。今回は『歌』に重点を置き、『歌って踊れる魔法少女アイドルコンサート』と題しています。
 『魔法少女アイドル』と言ってはいますが、実のところは魔法少女に限定していません。歌い手やバンドを各地から募集しており、かかる経費は『豊浦宮』持ち。セットや衣装も要望(アクション)次第で好きに編成が可能となっています。
 さらには交渉(アクション)次第でNPCとの共演も可能かもしれません。

*共演NPCについて
 キャラに限定はありませんが、方針としましては、猫宮担当のNPC→東担当のNPC→公式NPC→他マスター担当のNPCの順に、かつ人数が増えれば増えるほど交渉成功率が下がると思っていただければ幸いです。(例外はあります)


『バァルとアレクの入れ替わりについて』
 バァルとアレクの背格好などが似ている事、12騎士のうち(セテカを除く)11人の騎士が仕えている事、また平民は領主であるバァルに顔を合わせる事が殆どない事から気づかれておらず、近くで見ない限りは問題はありません。
 またこの事については基本的に緘口令が敷かれた状態で、知っているのは騎士レベルまで、城外の者には知らされていません。
*肌色や髪の長さなど多少似せる為の努力はしているようですが、彼等と親交のあるPCが見ればすぐに分かります。 


【秘宝・グレムダス贋視鏡】
 東カナンの代々の領主に伝わる秘宝で、特殊な魔装具です。
 偽造映像や偽造写真を見極める事が出来る効果から、稀少で価値のある分析装置として求めるものが後を絶たないようです。しかし秘宝で有るが故、通常では手に触れる事さえ叶わない品の為、組織は盗み出して貰い交換条件で領主暗殺という危険な交渉に迄応じるという強行姿勢に及んだものと思われます。


【NPC】
『ヤウズ・ギュルセル』
 身長175cm、中肉中背。28歳。黒髪黒目。見た目は何処にでもいる男性です。
 貴族ではありますがそれ程裕福でもなく、更に米軍の調べに寄ると散財で実際は財政は切迫しています。また、セテカからは『学生時代にバァルを一方的にライバル視していた』という情報もあり、個人的な恨みから報酬として領主暗殺を依頼したのではとアレクは推測しています。

『組織』
 グレムダス贋視鏡を狙う某組織。一部は取引後領主暗殺を企てています。見た目は様々な人種の人間が入り乱れています。幾人か契約者もおり(パートナーは不在です)個々の能力は差があります。

* * * * *

『飛鳥 豊美』
 永遠の魔法少女。
 生前天皇だった経緯から、今回の話の流れについては理解納得している様子。
 その上で『MG∞』の企画を成功に導くべく、今日も魔法少女のお仕事をがんばります。

『飛鳥 馬宿』
 永遠のモブ……もとい、豊美ちゃんの摂政。
 『MG∞』の一環として東カナンでのイベントを企画したものの、それを偶然とはいえ利用される形になり、いつも以上に力が入っている様子。

『鵜野 讃良/高天原 姫子』
 永遠のぷち魔法少女/ロリBB(ここで文面は途切れている
 讃良ちゃんは話を聞いてもよく分かっておらず、難しいことはお母様と馬宿と姫子ちゃんに任せておけばいいよね、ということでイベントを楽しむつもりでいる様子。
 姫子はそんな讃良に呆れつつも、出番が来た時は腕を振るう気はある様子。



『バァル・ハダド』
 カナン国の一地方国東カナンを代理統治している領主です。
 物静かで知的。繊細。自制心が強くてストイック。――ようは何でも自分の中に溜め込むタイプの人。
 今回昔の学友がかかわっているということに衝撃を受けており、心のどこかで信じきれないでいます。
 当時、何も言わず突然学舎をやめたり学友を疎かに扱った自分にも責任があるのでは、と内心思っていたり。
 いつものように黒服で、黒いスカーフで顔の下半分を隠してバザールを回ります。

『セテカタイフォン』
 東カナン12騎士の1家タイフォン家の騎士です。
 バァルとは幼なじみの関係で、過去ヤウズとも学友関係にあり、面識があります。
 当時から彼の内面の鬱屈やバァルに対する複雑な思いには気づいていましたが、放置していました。
 そのことに少し責任は感じていますが、それはそれ、これはこれ。バァルを狙う以上は冷徹に対処する気でいます。
 今回バァルとは別の1隊を率いてバザールを回ります。



『アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ/アリクス・ミローセヴィッチ少佐』
 米国陸軍所属の軍人。今回は一軍人として任務の為に東カナンへ赴きました。協力の交換条件として出された替玉として領主の扮装『MG∞』のステージへ立ち、現場は同僚に任せています。因に普段は死んでいる表情筋ですが、仕事中はどうにかなるのでご心配なく……。 

『オズトゥルク・イスキア』
 東カナン12騎士の1家イスキア家の騎士で、騎士長でもあります。
 一言で言うならクマさんです。大きな体をしており、笑うと愛嬌があります。
 気さくでだれとでもフレンドリー。そしてサボリ魔です。デカいくせにいつの間にかひょひょいといなくなってたりします。
 今回はお仕事なので、多分きちんと役目をはたしてると……ると……思いたい。

『カイン・イズー・サディク』
 東カナン12騎士の1家サディク家の騎士です。
 無口、不愛想、無表情な女性。東カナンで1、2を争う戦闘力の持ち主です。
 高速攻撃を得意とし、体じゅうに暗器を隠し持っています。
 今回バァルが狙われているということでかなり不機嫌。常に戦闘状態でいます。

▼サンプルアクション

・会場警備!

・『MG∞』イベントを成功させる!

・捜索に加わる

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年10月12日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年10月13日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年10月17日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年10月31日


イラストを設定する 設定イラストを編集/解除する

リアクションが公開されました!

リアクションの閲覧はこちらから!

リアクションを読む

参加者一覧を見る