蒼空学園

　世界樹イルミンスールに住んでいるザンスカール家のヴァルキリーの所へ同族である
エルミティが駆け込んできました。
　その姿はぼろぼろで肩からは血をながしていました。
　エルミティには研究施設へ就職したパートナーがいたはずですが、訪ねてきた時には
４歳位の眠っている少女を抱きかかえて一人でした。
　そのただならぬ様子にイルミンスール魔法学校の生徒達も集まってきました。

「助けて！私のパートナーを！そしてこの聖少女を……」

　その様子はすぐに校長のエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）へと知ることとなりました。
　エルミティは救護室へ、少女は校長室へと連れていかれました。
　エリザベートの目の前には白銀の瞳、白銀の髪が印象的な少女が不思議そうな眼差しで
エリザベートを見つめています。

「なんなんですぅ。
　このちびっこはぁ。
　　さっきから一言も話さないですぅ！」

「そういうおぬしもちびっこじゃがな」

　愉快そうに笑うのは、エリザベートのパートナーのアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）でした。

「なに笑っているんですかぁ。
　とにかく状況を知らないと動けないですぅ！」

　目の前の少女にビシッと指をつきつける。

「何があったんですぅ。説明しなさぁい！」

　だが、少女は不思議そうな眼差しで見つめ返してくるばかりであった。

「もう、いいですぅ。とにかく仮の名前でもつけないとですぅ。
　うーん……決めましたぁ！」

　にっこり笑ったエリザベートは嬉しそうに言い放った。

「ちびっこだからぁ、今日からあなたの名前はぁ、ちび！」

「ち・び……？」

　その瞬間少女の身体が光を放ち、４歳から５歳位へと、短かった髪の毛もふわりと伸びたのです。

「わ・た・し・の・な・ま・え……」

「こ、これは……」
　アーデルハイトが驚いたように一歩後ずさりました。
　アーデルハイトの記憶によると、白銀の瞳と髪を持つ少女は、ザンスカールのヴァルキリーの伝承に
ある、大いなる恵みをもたらすという伝説の『聖少女』そのものでした。
　急激な成長もその証といえるでしょう。

　その時校長室の扉が開きカイル・ガスティンに抱えられたエルミティが姿を現しました。
　エルミティの話によると、この聖少女は遺跡から発見され、彼女のパートナーである
ディル・ラートスンの勤めている研究施設へと連れていかれました。
　ディルの勤める研究施設はキメラ、合成獣の研究でした。
　遺跡から発見された聖少女をも合成の対象にしようとし、反対したディルは聖少女とエルミティを逃がし
囚われの身となりました。

　イルミンスール魔法学校では人と生物の合成が禁忌だからです。

　反対したディルはどうやら聖少女のかわりに、人体実験に使われてしまうとのことでした。
　救出を急がねばなりません。
　そして襲ってきた連中は漆黒の黒髪が印象に残る女とキメラ達だといいます。
　どうやら聖少女を狙っているようです。
　片言しか話せないものの聖少女は自分も行くと言い出しました。自分にも関係があると……。
　しかし、研究所では聖少女を合成に使うことで、『究極のキメラ』を作ろうと考えているというのです。　
　研究所には研究所を守るためにキメラが多数徘徊しているとのことです。
　話を聞いていました生徒のカイルが施設へ潜入しおとりとなると言いました。
　エルミティは周囲を見渡して懇願します。
「お願いです。私のパートナーを助けて下さい！」

　イルミンスールの冒険Part1は二つのシナリオから構成されています。第１回〜第３回は聖少女編となります。
　イルミンスールの冒険は３部構成（全９話）の長編になっておりますが、単体でも楽しめます。
　ですが、３部全てに参加する事により、より大きな話の流れを楽しめると思います。

　今回の話では、エルミティのパートナーである、ディル・ラートスンの救出が第１目標になるかと思います。
　研究所ではキメラの研究をしていますが、潜入しあちこち見て回るのも楽しそうですね。
　ですが、研究員の他にもキメラや警備兵達もいますし、不審者を見つけたら襲ってくるかもしれません。
　また、イルミンスール魔法学校の利益となる物も場合によっては発見できるかもしれません。　
　聖少女は何かをきっかけとして成長していきます。そのきっかけをみつけ、彼女を成長させてあげて下さい。

・黒髪の女達が襲ってきたら撃退する

・カイルと一緒に施設へ潜入しおとりとなる

・ディルを探し助け出す

・聖少女を守る