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狙われた乙女~ヴァイシャリー編~(第3回/全3回)

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狙われた乙女~ヴァイシャリー編~(第3回/全3回)

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シナリオガイド

守るべきモノは、守りたいものは何か、誰か。護れ! キミ自身の手で!!
シナリオ名:狙われた乙女~ヴァイシャリー編~(第3回/全3回) / 担当マスター: 川岸満里亜

「通して下さい」
「すみません!」
 ヴァイシャリーの運河に架かる橋の1つ、『騎士の橋』。その中央付近に、若者達は駆け込みました。
 古代シャンバラ時代に架けられたと伝えられているその屋根付きの橋には、アーチの柱1本1本に人物の姿が掘りこまれています。それはシャンバラの女王に仕えた騎士達だと伝えられています。
 それはこの橋を頻繁に利用する者なら誰でも知っている言い伝えです。
 橋の中央付近は、アーチの幅が広く造られており、支える6本の柱も他の柱より太く、しっかりした造りになっています。
 またその6本の柱に刻まれた6人の人物は、シャンバラの離宮に移り住んだ女王の親族達と共にヴァイシャリーに移り住み、女王の親族とヴァイシャリーを護った騎士だと言われています。
 6本の柱の一番端。一番百合園女学院に近い位置にある柱に――。
「おーほっほっほっ! 遅かったですわね」
 ロザリィヌ・フォン・メルローゼ(ろざりぃぬ・ふぉんめるろーぜ)が、手をついていました。
悲恋のカルロ」
 レッザ・ラリヴルトンと共に、真っ先に駆け込んだアルフレート・シャリオヴァルト(あるふれーと・しゃりおう゛ぁると)が、柱の1本をトンと叩いて刻まれた人物の名を言いました。
賢しきソフィア……か」
 柱の1本、魔術師風の女性を見て、桐生 円(きりゅう・まどか)が呟きました。
激昂のジュリオ――ジュリオ・ルリマーレン。白百合団団長のパートナーであるミルミ・ルリマーレン(みるみ・るりまーれん)さんの祖先にあたる方です」
 百合園女学院生徒会執行部、通称白百合団に所属するティアレア・アルトワーズ(てぃあれあ・あるとわーず)が、柱に刻まれた人物について語りました。
「こちらは、麗しきマリルです。隣の美しきマリザとは姉妹のようです」
 橘 舞(たちばな・まい)は柱に手をついて、荒い呼吸を繰り返しながら柱の人物の名を口にしました。
「そして……」
 一同が目を向けた先。ロザリィヌが手をついているその柱の人物は――。
嘆きのファビオ
 およそ5千年前、鏖殺寺院との戦いで果てた若き騎士です。
 光の翼と思われる、大きな翼を広げたその姿。長身で若干痩身。空を振り仰ぐ姿勢が、集まった若者達の記憶と一致しました。

○    ○    ○    ○


 早河 綾(はやかわ・あや)は自宅へ戻っています。
 ですが、ご両親とはまだ殆ど会話をしていないようです。
 友人のミズバ・カナスリール達は、毎日のように綾の見舞いに向かっていました。
 そんなある日、綾はミズバ達にぽつりとこう言ったのです……。
「謝りに行こうと思う。私のせいだから。私が行けばやめてくれるかもしれない。私――エール様が、組織に報告せず不正に利益の一部を横領していたこと、知ってるし。一緒に行ってくれないかな? 学校には内緒で……」
 綾がこんなことを言い出したのには、訳があります。
 百合園女学院の生徒達が修学旅行から戻った頃から、波羅蜜多実業高等学校に所属する不良と思われる暴走族が、授業中に百合園女学院の校庭にバイクで乗り込んで走り回っていくようになりました。
 校門を封鎖しても、バイクで飛び越えて入ってきて、改造バイクのエンジン音を響かせ、走り回り石を投げつけ窓ガラスを割って、下品な笑い声と共に去っていくのです。
 それだけではありません。
 百合園女学院の生徒達がパラ実生に迎えの執事や御者ごと襲われて、金品を奪われる事件も頻繁に起こっています。

 百合園女学院の校長室では、毎日のように校長の桜井静香(さくらい・しずか)ラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)、及び生徒会メンバーが集まり会議が行なわれていました。
「パラ実に関しては、綾さんの件が絡んでいると思われます。捕らえた者から聞き出した話によると、ハロウィンには百合園女学院に数千人のパラ実生が集まり、四天王を交え集会を行なうとか。1度だけの集会、なら現状止むを得ないとも思いますが……」
 説明をする桜谷 鈴子(さくらたに・すずこ)の声に力はありません。
 数千人のパラ実生を相手にする力など、百合園女学院にはありません。
 万が一白百合団で追い払える人数であったとしても、それをきっかけにパラ実全体のターゲットがヴァイシャリーになってしまうことはなんとしても避けなければなりません。
 百合園女学院とパラ実との抗争で、ヴァイシャリーに大きな被害が出るようになってしまったら、百合園女学院の立場は危ういものとなるでしょう。
 百合園女学院はお嬢様学校であること。実権はパラミタのヴァイシャリー領主であるヴァイシャリー家の一人娘が握っていることから、現地人も友好的に受け入れてくれていはいますが、地球人の介入を快く思っていない現地人がヴァイシャリーにもいないわけではありません。
「軍の介入なくして、どうにか問題を終結させたいと思います。正門の前で盾となって、交渉しつつ敷地への侵入を防ぎます。こちらは一切手を出さずに」
 神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)の意見には、賛成意見も反対意見も出ませんでした。彼女自身も、集まったメンバーもそれだけで防げはしないことは分かっているのです。
 彼女の提案は、百合園が敗北することでパラ実側に一応の満足を与えて興醒めさせようという自己犠牲的な案でもあります。
「他校の方に助けていただきましょう。波羅蜜多実業高等学校の問題は、百合園女学院だけの問題ではありませんもの。……そうですわね、わたくしの方から内密に他校に連絡を入れます。わたくしや百合園の名は出さず、パラミタ全土で事業を行なっている企業からの依頼とでもさせていただきますわ」
 緊迫した空気の中、ラズィーヤだけはいつもと変わらず余裕のある笑みを浮かべ、地図を指し示しました。
「彼等が堂々と正面から訪れるのなら、この運河を通り学院の南にあるこの辺りの河川敷から上陸すると思われますわ。付近の住民には避難勧告を出しておきます。ここで迎え撃っていただきましょう。逃した分は――白百合団にお任せいたします」
「分かりました。お手数おかけしてしまい、申し訳ありません」
 鈴子はラズィーヤに深く頭を下げました。優子はただ静かに拳を握り締めています。
「それから、ご存知のとおり、今年はわたくしの家、ヴァイシャリー家のホールでハロウィンパーティーを行ないますの。わたくし『嘆きのファビオ』様もご招待しましたのよ」
 微笑むラズィーヤに一同不思議そうな目を向けました。
 白百合団員から怪盗舞士の正体が、女王に仕えていたファビオという人物である可能性が高いとの報告を受けたラズィーヤは、招待状を大量に作り、騎士の橋のファビオの姿が彫られている柱に、括りつけたそうです。
「来てくださると思いますわ。……彼はいわば、わたくしの騎士ですもの」
 どうやらラズィーヤはハロウィンは自宅で過ごすことになりそうです。
「ぼ、僕はハロウィンは学院に残るよ! い、一応、校長だし、ね!」
 静香は怯えながらも、そう決意しました。

○    ○    ○    ○


 少女は1人、部屋の中で携帯電話を見つめていました。
 意を決して電話をして、2、3言葉を口にした後、こう言ったのです。
「お渡ししてある名簿で学院生かどうかは確認できると思います。好きにしてくださって構いません。身代金も沢山とれると思います。その代り、先日の件についてはどうかもうお許し下さい。……私はエール様と、皆様の仲間です」

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

【ご案内】
こちらは百合園女学院キャンペーンの第3回(前編最終回)になります。
百合園女学院の方が抽選で優先されますが、他校生の参加も歓迎いたします。
今回のみのご参加も歓迎いたします。前回までのガイドとリアクション、マスターコメントをご確認の上、ご参加下さい。
特に今回はやること(考えること)が多く、人手(キャラ人数ではなくPLの発想力、洞察力)を必要としていますので、お誘い合わせの上お早めにご参加いただければと思います。
客としてのパーティーへの参加、戦力としての加勢目的のご参加の場合、前回までのリアクションは読まなくても大丈夫かと思います。但し、ガイドやリアクションのマスターコメントは前回までの分もご覧いただければ幸いです。
尚、PL情報とPC情報の違いには十分ご注意下さい。

ヴァイシャリー家のハロウィンパーティーでは当日限りの『メイド』を募集しています。百合園女学院生、もしくはヴァイシャリー家のメイドとして相応しい人材であることは必須条件です。
こちらのパーティーは仮装立食パーティーです。ダンスタイムや仮装コンテスト等がありますが、楽しむ余裕はないかもしれません。
ヴァイシャリー家の敷地内に原則武器類の持ち込みは出来ません。警備はヴァイシャリー軍が担当しています。

1つ1つの結果により、話しの流れ、続く展開が大きく変わっていきますので、ご自身の立場、出来ることをよくお考えになり、アクションの相談を進めていただければと思います。
失敗して事件が発生したとしても、それはそれでいいんです。続く物語が楽しくなるだけですから!
ただ、取り返しのつかないことにはならないよう、守りたいものがある方には是非頑張っていただきたいと思います。
アクション楽しみにお待ちしております。

【主な予想されるPCの行動、及び条件】
●ハロウィンパーティー関連行動
・メイドに応募する(百合園生限定。前回募集要項を入手している方は既に雇われているとして行動しても可)
・ラズィーヤの許可を得てパーティー会場内で警戒する(白百合団員限定/ナイフ等普通の服の中に隠せるごく小型の武器のみ持ち込み可能)
・パーティーに招待される(白百合団員及び、ラズィーヤ、静香と親しくしている(リアクションで友好的な会話をしたことがある)百合園生限定)
・騎士の橋に置いてあった招待状を持って、パーティーに参加(他校生、百合園生)

●百合園女学院防衛関連行動
・正門前で白き盾となる(白百合団員限定)
・百合園女学院の南で迎え撃つ(他校生向け)
・ハロウィン前に綾と組織?へ謝罪に向かう(百合園生限定)
・静香と百合園女学院内で待機(百合園生、及び白百合団や校長に既に協力を申し出ている他校生限定)

●嘆きのファビオ関連
・百合園女学院内でアユナと行動
・柱の騎士について調べる

※限定とは、必ずしもその組織に属していないと絶対その行動ができないという意味ではありません。属していない方もアクション次第で加われる可能性はあります。

【ハロウィン当日の注意事項】
※ヴァイシャリー家の敷地内には、百合園生、他校生問わず、武器型、戦闘機型晶姫など特異な体型の人物は入れません。その他相応しくない格好の人物も門前払いです。
※ヴァイシャリー家の敷地内に武器類の持込は厳禁です(許可を得ている白百合団員の小型武器除く。剣の花嫁は光条兵器を如何なる時も取り出さなければ大丈夫)。
※特に提案や説得がなければ、ラズィーヤとレイルはハロウィンパーティー出席予定です(レイルは正体隠して参加)。
※特に提案や説得がなければ、生徒会本部メンバーはハロウィンパーティー出席予定です。
※特に提案や説得がなければ、静香は白百合団団長と生徒会室で待機予定です。
※特に提案や説得がなければ、アユナは静香に協力を申し出る形で、校舎内に入ると思われます。
※当日百合園女学院は休校。百合園生も含め立入り禁止。協力を申し出た者のみ、静香と共に校舎内に待機予定です。
※正門前防衛は白百合団副団長が指揮予定です。団員は全員団専用の鎧と大盾を装備します。

【お知らせ】
百合園女学院のキャンペーンは、2部構成となっております。1部(前編)「狙われた乙女」は全3話、2部(後編)は全5〜6話を予定しています。
且つ、前編の「狙われた乙女」は、ヴァイシャリー編と別荘編の2分割となります。既に別荘編第3回の方へご参加いただいた方は、物語が同時進行になるためこちらヴァイシャリー編への参加はご遠慮下さい。万が一間違って参加された場合は、事件後にミルミと共にヴァイシャリーに帰還したとして事件後の描写をさせていただきます。また、これはあくまで間違って参加してしまった場合の措置であり、事件後の行動なら遠慮しなくていいという意味ではありません。どうぞよろしくお願いいたします。

▼サンプルアクション

・守りたい人がいる、守りたいものがある

・パラ実生に立ち向かう

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2009年10月24日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2009年10月25日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2009年10月29日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2009年11月11日


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