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精霊と人間の歩む道~風吹くウィール遺跡~ 後編

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精霊と人間の歩む道~風吹くウィール遺跡~ 後編

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シナリオガイド

5000年の時を経て、精霊は因果を振り払えるか!?
シナリオ名:精霊と人間の歩む道~風吹くウィール遺跡~ 後編 / 担当マスター: 猫宮烈

「ミサカ、現時点で判明しているウィール遺跡の状況を説明してくれ。……ヴァレリア、いつまでだらけている。こちらに向かっているという竜巻の様子を観察してこい」
「ちょっと、巻き込まれでもしたらどうするつもりよ。……分かったわよ、行ってくるからそんな目で見つめないで、濡れちゃうわ」
 気だるそうに部屋を出ていくヴァレリア・ミスティアーノ(う゛ぁれりあ・みすてぃあーの)を視線だけで見送って、エリオット・グライアス(えりおっと・ぐらいあす)ミサカ・ウェインレイド(みさか・うぇいんれいど)の報告する内容を書き留めていく。
「ウィール遺跡の中心部に『雷龍ヴァズデル』が出現……サティナがヴァズデルに取り込まれた……同時に遺跡内部のいくつかの地点から魔物が出現……こんなところか。ミサカ、他に報告するべき内容はあるか?」
「いえ、その他には……。あの、エリオットさん、皆さん大丈夫でしょうか……?」
 不安気な表情のミサカに、エリオットは表情を緩めずに答える。
「楽観的なことは口に出来ない。だが、これだけは言おう。私達は簡単に負けてやるつもりはない。相手がどれほど強大で、抗えぬものであったとしても、だ」
「エリオットさん……」
 エリオットの言葉に、ミサカの表情が幾分和らぐ。
(やれやれ……このようなことを口にするなど、正気の沙汰ではないな。……『発狂して』いるのだからある意味では正しい振る舞いなのだろうか)
 ヴァレリアの言葉を認める結果になることに、エリオットが自嘲的な笑みを浮かべたところで、ヴァレリアが観察から戻ってくる。
「髪が乱れてしまったわ、後で手入れをお願いね。直接見たって子が言うには、竜巻は正門を正面に見て右方向から、街の中心を目指して進んでいるみたい。このままだと確実にここを襲うわね」
 自分たちがいる場所を指して、ヴァレリアが呟く。
「ウィール遺跡に出現した雷龍、それに合わせるように竜巻の襲来……2つの事象は関係していると見て間違いないな。となれば、私達のやるべき事は自ずと決まってくる」
 椅子から立ち上がったエリオットが、視線を向けてくるミサカとヴァレリアに告げるように、口を開く。
「私達は、遺跡に向かった者共が雷龍を滅するまでの間、この街を守り抜く」


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 イナテミスへ吹く風は、段々とその勢いを増していく。
 街の住人と生徒、そして精霊とが協力して修復した門や壁、建物が風にかたかた、と揺れる。
 
 それは公会堂も例外ではなく、防風結界で弱められたとはいえ、絶えず風は窓を揺らす。
「おねぇちゃん……」
 今にも泣き出しそうな顔をした男の子を、ミーミル・ワルプルギス(みーみる・わるぷるぎす)の羽が優しく包み込む。
「大丈夫です。皆さんが全部、守ってくれます。ですから皆さんも、信じてください」
 ミーミルの言葉に応えるように、一人が頷き、その頷きは部屋の者たちに伝播していく。それまでどん底にあった部屋の雰囲気が幾分持ち直したことに、ミーミルが微笑みを見せたところで、公会堂の扉が開かれる。やがてミーミルの前に姿を表したサラ・ヴォルテール(さら・う゛ぉるてーる)が、毅然とした態度で口を開く。
「皆も準備を始め、済んだ者は動いてくれている。私も彼らと共に動くつもりだ」
「お兄様を助けてくださった恩もあります。街のことはわたくしたちにお任せください」
 次いで現れたセイラン・サイフィード(せいらん・さいふぃーど)に頷いて、ケイオース・サイフィード(けいおーす・さいふぃーど)がミーミルに告げる。
「君は万が一の時に備えて、ここに残ってくれ。……あの時のようにもう一度、日の出を共に見よう」
 闇黒の精霊らしくないけどね、と付け加えたケイオースに、ミーミルが微笑を浮かべ、振り返って立ち去る三人を見送る。
(皆さん、どうかご無事で……)


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『おしえてきたよ〜。すぐにみんなをむかわせる、だって〜』
 報告に向かわせた樂紗坂 眞綾(らくしゃさか・まあや)からの連絡に頷いて、牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)が前方、先程一戦を交えた竜巻に視線を向ける。背後には人の作り出した光に揺れるイナテミス、ここで食い止めねば、竜巻はやがてイナテミスを飲み込み、食い尽くすだろう。雷を迸らせる竜巻には、そう思わせるだけの説得力があった。
「ここに集まる皆が、信じ合おうとしている……街を、立ち直らせようとしている……邪魔は、させませんよ」
 放たれる言葉に力はない。たった一時の戦闘で激しく消耗した身体は、地面に縫い付けられたように重い。
「……想像していた以上に面白いですわ……できればもう少し、味わっていたいものですわ」
「不思議な感覚だ……心が身体を突き破ってしまいそうだ」
 アルコリアの傍で同様に疲弊しきっていたナコト・オールドワン(なこと・おーるどわん)シーマ・スプレイグ(しーま・すぷれいぐ)が、自らを奮い立たせるように呟いて立ち上がる。
 楽に勝てるとは思えない。もしかしたら勝てないかもしれない。
 ……それでも、戦うと決めたから。
「風の精霊よ……我らを守る力場をここに!」
 ナコトの光をたたえた掌が地に向けられ、それは雷電の力を抑制する力場を形成する。その中でシーマが、自らの脚部を地面に固定し、構えた超電磁砲へ動力を注ぎ込む。弾を氷結属性として準備を終えるのと同時に、魔法陣を光らせたナコトの両手に炎が宿る。
「疑うよりも信じてみることです。精霊を……街を手伝いに来た皆の言葉を、行動を……そして、嵐を……暴風をも斬る絆の力を!」
 携えた剣と槍を掲げたアルコリアが、構えを取る。既に竜巻は、一度後退したアルコリアたちの直ぐ傍にまで迫っていた。
「行きますわ!」
 アルコリアの号令で、ナコトの両手から炎の嵐が巻き起こり、シーマの動力を注がれた超電磁砲が唸りをあげる。吹き上がる風に髪を乱しながら、アルコリアも合わせて渾身の力で武器を振るう。
 竜巻の目前で、炎と氷結弾、そして二筋の斬撃が炸裂する――。


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「はわわ、とっても大変な事になっちゃってるのです。僕は一体どうすればいいのですよ?」
 目の前で起きた事態に、土方 伊織(ひじかた・いおり)が戸惑いの声をあげる。前方では見るからに強大で凶悪な『雷龍ヴァズデル』が咆哮をあげ、そのヴァズデルに対抗するために、サティナは自らの身を呈して取り込まれていった。何も彼でなくとも、どうしていいのか分からなくなるのは当然のことである。
「……私はこれまで、皆さんに守られてばかりでした。ですから、今度は私が皆さんを守る番です。リンネさんのような元気も、カヤノさんのような自信も、サラさん、セイランさん、ケイオースさんのような力も私にはないかもしれませんけど……それでも力を貸してくださるのでしたら、私は嬉しく思います」
 振り返ったセリシア・ウィンドリィ(せりしあ・うぃんどりぃ)が、木漏れ日の温もりを感じさせるような微笑みを浮かべて、すっ、と手を差し出す。背後ではリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)モップス・ベアー(もっぷす・べあー)が生徒たちを率いて、圧倒的戦力差を覆すべく戦いの火蓋を切ろうとしていた。
「モップス! 帰ったらパンケーキ、ハチミツたっぷり、よろしくね!」
「あのハチミツはとっておきだと何度言ったら分かるんだな。たまには蜜集めを手伝って欲しいんだな」
 冗談とも取れる掛け合いを演じる二人の目前で、上空から落ちた雷をまとったヴァズデルが、全てを喰らい尽くすが如く電撃の嵐を生徒たちへ見舞う。
「姉様も、あなたとなら楽しくお付き合いしてくださるでしょう。最終的には姉様次第ですけども」
 言い残して、セリシアが振り返り、うっすらと浮かび上がった一対の羽を広げて、ヴァズデルへ飛び込んでいく。
(姉様……今、お助けします……!)


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「ああっ……!」

 同じ頃、ホルン・タッカスの家に、眠りについていたキィ・ウィンドリィの呻き声が響く。
「キィ、どうした!? ……これは……」
 駆け寄ったホルンは、キィの両手首に光輝く輪のようなモノが浮かび上がっているのを目の当たりにする。
(……今はとにかく、キィの容態が心配だ。誰かを呼んだ方がいいだろう)
 見舞いに来てくれた何人かの顔と居場所くらいなら覚えている、そう思い至ったホルンが立ち上がろうとしたところで、微かな抵抗を感じて振り返ると、うっすらと目を開けたキィが、ホルンの袖を掴んでいた。
「行か……ないで……ください……」
 懇願するように告げたキィへ、ホルンが微笑みを浮かべて膝をつき、手をキィの額へやる。
「……ああ、どこにも行かない。約束する」
 その言葉に、キィが安心したように微笑みを浮かべた――。


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 イナテミスを襲う竜巻、そして、ウィール遺跡で待ち構える『雷龍』。
 精霊と人間の歩む道は今、最大の難所を迎えようとしていた――。

担当マスターより

▼担当マスター

猫宮烈

▼マスターコメント

 猫宮・烈です。
 『精霊と人間の歩む道〜風吹くウィール遺跡〜』後編を始めさせていただきます。

 注意点につきましては、前回示したのとほぼ同じです。
 両方のシナリオに参加された場合も、シナリオガイドを参考にご自由にアクションをおかけください。

 ここからは、『イナテミス』の情報を記載します。
 
 イナテミスは、皆さまのアクションにより、門や壁、建物などの施設は獣の襲撃、また強風程度であれば耐えられるほどに復興を遂げました。
 また、街の住人も全員ではありませんが、皆さんそして精霊に対して協力的な態度を取るようになりました。
 しかし、今度イナテミスを襲ってきた竜巻は、電撃を伴ない、全てを飲み込みながら迫っています。これがイナテミスに到達するようなことになれば、今度こそイナテミスは壊滅してしまうでしょう。
 
 これを防ぐには、ウィール遺跡に現れた『雷龍ヴァズデル』が皆さんの手によって滅されるまで、竜巻の進行を食い止めなければなりません。
 皆さんの信じる力があれば、竜巻だって斬れます。皆さんが竜巻へ攻撃をすることで、一定以上のダメージを通せば、竜巻の進行を遅らせることが出来ます。

 ここからは、『ウィール遺跡』の情報を記載します。
 
 探索の結果、中心部(4四)への道は開かれ、そして皆さんの前には『雷龍ヴァズデル』が4つの首を向けています。
 ヴァズデルを倒せば、イナテミスを襲った異常気象を解消し、取り込まれていったサティナを救出することが出来ます。
 
 ヴァズデルは、本体の他に4つの首を持っています。この首を倒せばヴァズデルは活動を停止します。倒さない限り、本体からは漆黒の蔦が伸び、首からは雷電属性のサンダーブレスを放ってきます。
 ヴァズデルの攻撃方法は以下の3通りです。
 
 ・漆黒の蔦を振り回す:物理攻撃。死角から振るわれる場合もあり、避けにくい。
 ・蔦を束ねて振り下ろす:物理攻撃。束ねる予備動作を確認出来れば、比較的避けやすい。
 ・サンダーブレス:雷電属性魔法攻撃。何の準備もなしに直撃を食らうと黒焦げになる。
  兆候はあり、放たれる前に首に一定ダメージを与えることで吐かれるのを阻止できる。失敗すると準備をしてても黒焦げになる。 
 リアクション開始時に皆さんがいる場所は、
 (1四)から入った:(3四)
 (4一)から入った:(4三)
 (7四)から入った:(5四)
 (4七)から入った:(4六)
 です。その位置からヴァズデルへは直ぐに攻撃出来ます。
 
 なお、未探索だった場所の内、2箇所から魔物が出現しています。
 魔物は蛇を大きくしたような姿形で、飛びついて締め付けてきます。
 魔物が出現した場所は(1一)及び(6一)です。
 
 (1一)から現れた魔物は、放っておけば(3四)にいる皆さんを背後から強襲します。
 (6一)から現れた魔物は、放っておけば(4三)にいる皆さんを背後から強襲します。
 強襲されれば当然、普通に撃退するよりも時間がかかるでしょう。
 時間がかかればヴァズデルの中で抵抗しているサティナが完全に取り込まれ、ヴァズデルはその得た力で皆さんを食らい尽くすでしょう。
 
 なお、前回【丸い黄緑色の球体】を手に入れた皆さま。それは【エレクトロンジャマー】です。使うと、
 ・1MC(LCも含む)の雷電耐性を長時間、0(つまり無効化)にする。無条件に成功する。
 ・ヴァズデルの放つサンダーブレスを短時間、放てないようにする。ただし、成功判定を1回行う。
 のどちらかの効果を得られます。自分に使うか、ヴァズデルに使うかで効果が異なるアイテムです。
 どちらに使うかは、アクションで指定してください。
 
 なお、竜巻および雷龍ヴァズデルは雷電属性で、同属性の攻撃は無効化されてしまいます。
 各判定は各種パラメーターとアクションの優劣で決定します。
 アクション次第で法則すら覆るのが猫宮シナリオ、とだけ言っておきます。

 NPCが持っているスキルも、前回とほぼ同じです。
 サティナとレライアが抜け、セリシアとカヤノのスキルに変更があります。
 
 セリシア:蔦による物理攻撃・サンダーブラスト
 カヤノ:剣による物理攻撃・ブリザード
 
 それでは、よろしくお願いいたします。

▼サンプルアクション

・イナテミスを守るため、竜巻に戦いを挑む

・戦いを挑む仲間を信じて、住人の混乱を鎮める

・雷龍ヴァズデルを、この手で打ち倒す!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2010年05月15日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2010年05月16日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2010年05月20日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2010年06月09日


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