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イルミンスールの命運~欧州魔法議会諮問会~

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イルミンスールの命運~欧州魔法議会諮問会~

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シナリオガイド

自分たちの居場所を護るため、契約者は地球へ降りる――。
シナリオ名:イルミンスールの命運~欧州魔法議会諮問会~ / 担当マスター: 猫宮烈

 ――ベルギー首都・ブリュッセル。
 ここで今、今後の欧州魔法連合(EMU)の方針を決める重要な案件が議論されていました――。

「……では、次の案件に移ります。手元の資料、50ページをお開き願います」

 歴史を感じさせる造りの部屋に、女性の声と紙擦れの音が響きます。
 各人の手で開かれた資料には、『イナテミス防衛戦の結果と影響』という副題が振られていました。

「先日、ザンスカール東の小都市イナテミスにて、エリュシオン帝国龍騎士団との戦闘が発生いたしました。
 こちらにつきましては、ミスティルテイン騎士団創始者、アーデルハイト・ワルプルギス様以下、パラミタとの契約者の働きにより防衛に成功し、敵指揮官であった七龍騎士を捕虜にしたとの報告がもたらされました」

 女性、欧州魔法議会の議長を務めるエーアステライトの言葉に、そこかしこから驚愕、または安堵といった雰囲気が生まれ出ます。彼ら、欧州魔法議会議員――その多くは、欧州に存在する魔術結社の祖または構成員である――の耳にも、パラミタ情勢は完全ではないにせよ伝わっており、エリュシオン帝国の軍事力、そしてそれを支える七龍騎士の存在は周知のものとなっていました。
 その七龍騎士を捕虜にしたとなれば、パラミタにおけるイルミンスールの地位の向上が見込め、それはすなわち地球における欧州の地位向上にも寄与すると期待されたからこそでした。

「……ですが、この戦闘以後、アーデルハイト様がイルミンスールをお離れになったとの報告ももたらされました。
 その件につきまして、現ミスティルテイン騎士団当主、ノルベルト・ワルプルギス様、発言願います」

 エーアステライトに名指しされ、にわかにざわめき始める部屋を、無数の視線を浴びながらノルベルト・ワルプルギスが立ち上がり、どこか苦しげにも見える表情を浮かべて話し始めます。

「……議長の仰る通り、イナテミス防衛戦収束以後、本日までアーデルハイト様との連絡は取れておりません。
 ですが、我が息女、エリザベートは存命であり、またイルミンスールの情勢も穏やかであることから――」

「戯言もいい加減にしてもらいたい! このどこか情勢穏やかと言えるのだ!」
「そうだ、どう見ても風前の灯火ではないか!」


 ノルベルトの発言を遮って、議員から罵声が飛んで来ました。
 資料には、ザンスカールの西に位置するキマクがエリュシオン帝国の手に落ちたことも記載されており、カナンの情勢も加えると、三方を敵に囲まれていることになります。よほど豪胆な者でもなければ、ザンスカールが今にもエリュシオンの手に落ちかねないと危惧するのは、やむを得ないと言えるでしょう。

「静粛に!」

 エーアステライトの凛とした声が響き、罵声を浴びせていた議員たちが水をかけられたように大人しくなります。

「……昨今の事態は、欧州魔法連合の存亡に関わる由々しき事態と思われます。
 よって、この事態に際し、議長として、アーデルハイト様のパートナー、エリザベート・ワルプルギスの欧州魔法議会への召集及び、諮問会の開催を求めることを提案いたします」

 エーアステライトの言葉に、議員の一部から早くも「異議なし!」という声が飛び交います。
 その中、ノルベルトは苦悶の表情を強め、搾り出すように声を挙げます。

「パートナー不在のままの地球への召集は、我らが予測し得ぬ事態を引き起こしかねません。最悪、エリザベートの喪失という結果を招くこともありますれば、エリザベートが信頼する者たちを代わりに議会に召集し、説明をさせるのがよろしいかと存じます」

 ノルベルトの言葉に、議員たちは賛同しない代わりに、積極的な否定の声も挙がりませんでした。
 今の欧州にとっては、エリザベートは思うところがありつつもアーデルハイトと同様、権威回復のために必要な存在であるという認識があったからです。

「……なるほど、確かに一理ございます。
 では、エリザベート・ワルプルギスの召集を第一としつつ、代わりの者を召集することを容認する、という案でよろしいでしょうか?」
 これにはエーアステライトも反論することなく、ノルベルトの意見を取り入れた案を提示します。
「……はい」
 ノルベルトが頷き、着席します。
 その後採決が執り行なわれ、賛成多数で案件は承認されたのでした――。


●ホーリーアスティン騎士団本部

「……会議については、以上でございます」
 ホーリーアスティン騎士団本部に戻ったエーアステライトは、椅子に腰掛け肘を付くメニエス・レイン(めにえす・れいん)に膝をついて、先程行われた会議の委細を説明していました。
「随分とミスティルテイン騎士団に譲歩したようだけど?」
「あのような場は、そうそう思い通りには行かないのでございます。ノルベルトの言葉は大方嘘でしょうが、相手がエリザベートとアーデルハイトともなれば、いくらミスティルテイン騎士団に反感を抱いている議員とて、もしもの事が起きた場合に予想される結果を無視出来ないでしょうから」
「フン……気に入らないわね」
 自分よりも情勢に詳しいであろうエーアステライトがそう言う以上、今回の『諮問会』の開催以上に即効性のあるものは生まれそうにないこと――それでも、未だ欧州魔法連合で大勢を握るミスティルテイン騎士団に一泡吹かせるどころか致命傷を与えることすら可能で、もう間近に迫った議会選挙後の勢力図にも影響を及ぼす程の機会であったが――に、理解は示しつつもメニエスは愚痴をこぼします。
「……ベルギー国内での武力の使用は固く禁じられておりますが、国外であれば事故として如何様にも処理することが出来ます。地球に降りられた契約者は、ミスティルテイン騎士団のあるドイツ国内の空港……フランクフルト国際空港辺りを利用することでしょう。一声くだされば、所属不明の私兵を百名ほど、手配することが可能でございます」
「……それをあたしに言って、何をさせろって魂胆?」
 エーアステライトのあまりにもあからさまな発言に、メニエスが訝しげな視線を向けます。
「いいえ、私はメニエス様にご意見出来る立場にございませんので。ただ、メニエス様が望まれる行動を為されるための用意がどの程度まで行えるかを示したまででございます」
 額を付けんばかりに下げるエーアステライトを見下げ、メニエスが思案に耽ります――。


●イルミンスール:校長室

 後日、欧州魔法連合から届けられた書簡を一読したエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)は、思わずそれを破り捨てそうになり、慌てて止めに入ったミーミル・ワルプルギス(みーみる・わるぷるぎす)に抱え上げられる格好のまま、ぷんぷんと腹を立てます。
「今がどういう状況なのか、ぜぇんぜん分かってませんねぇ!! そっちがその気なら、徹底的に話してやるですぅ!
 そういうわけなのでぇ、大ババ様ちょっと行ってきてほしいですぅ」
「……お母さん、アーデルハイト様は、今……」
「……分かってますよぅ。ちょっと、言ってみただけですよぅ」

 エリザベートが視線を向けた先、いつもなら「やれやれ、また貧乏クジを引かせおって……」などと呟いていたかもしれないアーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)は、しかしその場所には居ませんでした。
 アーデルハイトは、イナテミス防衛戦の後「もう、おまえたちには任せておけんよ」と言い残してイルミンスールから去ってしまいました。その消息は、未だ分かっていません。

「自分の作った魔術結社の危機に、一体何をしているんでしょうねぇ? ……でも、困りましたぁ。私が行くわけには行きませんけどぉ、代わりに誰か行かせるにしても――」
「その役目、わたくしに務めさせていただけませんでしょうか」

 エリザベートの呟きを遮って、姿を現した一人の少女が声を発します。白い一対の羽をたなびかせ、どこか高貴な雰囲気を醸し出す少女を見、エリザベートはああ、と思い出したような表情を浮かべて口を開きます。
「そういえば、正式に当主の座を引き継いだんでしたねぇ」
「ええ、その通りですわ。
 ザンスカール家当主、ルーレン・ザンスカール。こちらの姿でお会いするのはお初に預かりますわね」

 畏まって礼をする少女こそ、フィリップ・ベレッタ(ふぃりっぷ・べれった)のパートナーであり、そしてつい最近、ザンスカール家の当主の座を引き継いだルーレン・ザンスカール(るーれん・ざんすかーる)なのでした。

「確かにあなたであればふさわしいでしょうけどぉ、でも、どうしてですかぁ? ザンスカール家はイルミンスールを守護していたとはいっても、ミスティルテイン騎士団と関係があるわけではないですよねぇ?」
「仰る通りです。ですが、シャンバラが未だ危機に瀕している中、イルミンスールに混乱をもたらすのは得策ではないと判断したが故ですわ。これは前当主も賛同の意思を示してくれています」

 政治的な態度を匂わせつつも、ともかく、ザンスカール家はミスティルテイン騎士団に協力してくれるようです。
「ですが、わたくしだけではやはり、力不足でしょう。わたくしは彼らにとっては所詮『新参者』扱いですから」
 さらりと言ってのけるルーレンですが、比べる対象がアーデルハイトなのですから、誰しも新参者と言っていいでしょう。

「うーんうーん……やっぱりここは、生徒たちに行かせるしかありませんねぇ」
「わたくしもそれを考えておりました。ですが、あちらが容認するかどうか」
「大丈夫ですよぅ。『代わりの者を召集することを容認する』とだけ書いてあって、何人までとは書いてありませんからぁ。
 大ババ様の代わりなんて、一人じゃ務まりませんよぅ」
「……それもそうですわね」

 頷き合うエリザベートとルーレンの胸中は、アーデルハイトがいかに大きな存在であったかという点で一致していました。
(やるしか、ないんですよぅ。私はイルミンスールの校長なんですからぁ)
 決意を固めた表情を浮かべるエリザベートを、ミーミルが心配そうに見守ります――。

 やがて、イルミンスール魔法学校中に、今回の事件の顛末と、フィリップ&ルーレンと共に地球に降り、欧州魔法議会諮問会への参加と発言を行う者たちの募集がかけられたのでした。
 エリザベートの信頼を受け、イルミンスールの命運を託された生徒たちの出立は、間近に迫っているのです――。

担当マスターより

▼担当マスター

猫宮烈

▼マスターコメント

 猫宮・烈です。

 ペリフェラルシナリオ『イナテミス防衛戦』の結果を踏まえた、イルミンスールのキャンペーンシナリオです。
 イルミンスールに学校優先が付きます。また、エリザベートの父、ノルベルトがエリザベートを召集させまいと言った条件により、諮問会に参加しようとする参加者は必ず一名以上のLC随伴でお願いします。これは、契約者であると証明するための条件であり、連れていない場合は諮問会への参加は出来ません。

 基本的な流れは、ミスティルテイン騎士団に与する者として地球に降り、開催される『欧州魔法議会諮問会』で活動報告をしてもらう、というものです。議員たちは、報告書からある程度の事情を把握してはいますが、実際に目で見、体験した者たちの言葉を欲しています。そして皆さんの報告を聞き終えた後、議員たちは欧州魔法連合の今後をミスティルテイン騎士団に託すか、ホーリーアスティン騎士団に託すかの決議を、諮問会の最後に取ることになります。
 皆さんは、(あくまで基本的に、ですが)ミスティルテイン騎士団が今後もイルミンスールを主導する形になるよう、アクションをかけてみてください。
 現在の状況については、キャラクエ『大ババ様の特別講義〜EMU編〜』で学んでいると思います。しかしあの時よりも事態は悪化していると言っていいでしょう。アーデルハイト不在の事実をどう補い、そしてこれからもミスティルテイン騎士団主導でパラミタ進出を進めていけるかどうか、皆さんのアクションにかかっています。

 注意点は、シナリオの開始地点はドイツ、フランクフルト国際空港からですが、そこからミスティルテイン騎士団現当主、ノルベルト・ワルプルギスら一行を加え、ベルギーのブリュッセル国際空港まで移動するまでの間に、参加PCによっては戦闘が勃発する可能性がある、ということです。
 欧州魔法連合は、本部のあるベルギー内部での武力使用を固く禁じています。ですがドイツではその限りではありません。襲撃を受け万が一負傷するようなことがあれば当然、諮問会には参加出来ません。発言する人数が減ればそれだけ、ミスティルテイン騎士団の不利を覆すのが難しくなるでしょう。
(単純な人数計算ではなく、50人シナリオであることを考慮に入れた計算にしています。その分相対的に一人一人の役割が大きくなっているということです)

 ドイツおよびベルギーでは、魔法の顕現はパラミタと同程度に扱えます。ですが、イルミンスールの魔法使いのメインは、ブリュッセル到着後の諮問会での発言です。そこに彼らを辿り着かせるため、戦士系のLCやPCのアクションが必須という次第です。
(なお、レベル差はそれほど考慮しません。要はアクションでいかに対策をしているか、が重要です。
 もちろん襲撃がないかもしれませんが、それはアクションが届いてみないと分からないといった次第です)

 今回皆様と同行するNPCは、フィリップ&ルーレンの二名です。エリザベートとミーミル、ニーズヘッグは上記の理由から、五精霊(カヤノを除く)、それにイナテミスに捕虜として匿われているアメイアなど、地球人と契約していないNPCは来れません。
 今回のシナリオの結果は、欧州魔法議会選挙後の勢力図に影響を与えます。そしてその結果が、今後のイルミンスールのキャンペーンに影響を与えます。
 イルミンスールの命運は、皆様にかかっているのです。

 それでは、よろしくお願い致します。

▼サンプルアクション

・諮問会でミスティルテイン騎士団の(イルミンスールの)活動報告をする

・生徒たちを無事、諮問会へ送り届ける

・生徒たちの諮問会到着を妨害する

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2011年05月09日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年05月10日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年05月14日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年05月31日


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