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ナラカの黒き太陽 第一回 誘いの声

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ナラカの黒き太陽 第一回 誘いの声

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シナリオガイド

エネルギー装置に異変発生!
シナリオ名:ナラカの黒き太陽 第一回 誘いの声 / 担当マスター: 篠原 まこと

『……目覚めよ』
「……ん、……誰……?」
 レモ・タシガン(れも・たしがん)は、妖しい声にベッドのなかで目を開けました。
 まだ真夜中の寝室には、誰の姿もありません。しかし。
『目覚めよ、レモ・タシガン……そなたの真の力、解放する術を知りたくはないか……?』
「……真の、力……」
 まだ寝ぼけた声で、レモはもう一度そう繰り返しました。すると、その声はさらに甘く、レモに囁くのです。
『我の元へ来るがよい。そなたの望むものを、我は与えよう』
 レモは瞬きし、それから、ようやく目覚めたように眉間に皺を寄せて、尋ねました。
「もう一度聞くよ。……あなたは、誰?」
『……我の名は、共工。ザナドゥのタングートの都で、そなたを待っている』
「……タングート?」
 それはかつて、古い書物のなかで、伝説のようにだけ耳にしていた単語でした。
 胸騒ぎとともにベッドからレモは飛び出し、さらに耳を澄ませましたが、それ以上の声はもう聞こえませんでした。
 ただ。
 不思議なことに、レモにはわかっていました。
 どこへ行かなくてはいかないか、を。

 一方、時を同じくして、とある異変がエネルギー装置研究所に発生していたのです。
「どういうことだ?」
 薔薇の学舎校長、ルドルフ・メンデルスゾーン(るどるふ・めんでるすぞーん)は、翌朝早くもたらされた報告に当惑を隠せずにいました。
「原因は一切不明です。ただ、研究所の周囲に異常空間が発生しており、内部と連絡をとるどころか、近づくこともできないありさまで……」
「そうか……」
 研究所そのものは、ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)の管轄ではありますが、現在ジェイダスはタシガンを離れています。この状況を解決する責任は、ルドルフにありました。
「ひとまずは、情報収集をすすめてくれ」
「わかりました」
 そう指示を済ませると、ルドルフはひとり、深く息をつきました。

「おい、レモ……」
 研究所の異変を知らされ、レモの部屋に急いだカールハインツ・ベッケンバウワー(かーるはいんつ・べっけんばうわー)は、ドアを開くなり不意を突かれたように瞬きをしました。
 レモは既に出発の準備を整え、静かに立っていたからです。
「行くのか? 研究所に」
「……ううん」
「なんでだよ。お前の相方とやらは、今どうなってんだか心配じゃないのか?」
 研究所の奥にある装置『カルマ』は、レモの半身ともいえる存在です。ただし今は、レモとは違い、ほぼ眠り続けていました。
「心配だよ。全然、僕の声にも応えてくれないし。……でも今は、他に行かなくちゃいけない場所があるんだ」
「なんだよ、そりゃ」
「カール」
 レモはじっとカールハインツを見つめ、口を開きました。
「僕は、ザナドゥに行く。その間みんなで、僕のかわりにタシガンを守って。……大丈夫、すぐに戻るよ」
「……ザナドゥ?」
 不吉なその言葉に、カールハインツは顔をしかめます。しかし、レモはそれだけを言うと、部屋を出て行きました。
 また少し大きくなったその背中を、カールハインツはただ見送るしかできません。
「なんだか、厄介なことになりそうだぜ」
 そう呟いた言葉が、事実、その通りになるとは。
 カールハインツ自身、思ってもみなかったのでした。



「皆様がた、準備はよろしくて?」
「いいわよーん。楽しみねっ」
「別に、アタシはなんだっていいのよ。……この世界を、どうにかできるってんならさ」
 ――暗闇のなか、密かに交わされる言葉。
 
 そして、いよいよ、幕は切って落とされたのです。


担当マスターより

▼担当マスター

篠原 まこと

▼マスターコメント

 お久しぶりです。
 今回は全三回のキャンペーン、その第一回です。
 まだ謎が多い状態ですが、楽しんでいただければ嬉しいです。

1)研究所について
タシガンの山岳地帯にある研究所は、市街地から離れた場所にあります。
現在はその周辺に黒い靄のようなものがかかり、一般人は入り込むだけでダメージを受けます(契約者は大丈夫です)。
研究所内部と連絡をとることはできず、住み込みで働いている所員たちの安否が案じられています。
彼らの保護もまた、目的のひとつです。

調査の結果、靄の発生源は、とあるゲートであることはわかっています。
ゲートは一つではなく、またその先はナラカおよびザナドゥへと繋がっているようです。
そこから魔物が発生しているという情報もあり、注意が必要です。

エネルギー装置の設定そのものについては、マスターページにまとめましたので、そちらをご覧ください。


2)ザナドゥについて
レモは、そのゲートのひとつから、タングートにいる共工を名乗る女王に会いに行きます。
タングートは、ザナドゥの都のひとつで、タシガンの地下あたりに存在します。
タングートの特徴としては、ほぼ女性悪魔しか存在せず、男性は非常に嫌われています。このことは、古い書物にあるということで、契約者たちは知っている場合もあるでしょう。
なお、タングートは、パイモンらが支配する地と離れており、ほぼ交流もありません。そのため、ザナドゥ関連の他シナリオとの関係もございませんので、他シナリオを絡めたアクションは不採用となります。ご注意ください。
タングートの悪魔たちは、のべつまくなしに襲ってはきませんが、かなり好戦的な種族です。
共工の誘いに乗ったとはいえ、無事にたどり着く保証があるわけではないと思ってください。



 最後にご注意です。

・このシナリオでは、同性愛描写がある場合があります。ご了承ください。
・ルドルフ校長は、全校に協力を要請していますが、教導団およびロイヤルガードに特別な権限はありません。



▼サンプルアクション

・研究員を助けるための手助けがしたい

・レモを護衛し、共工に会う

・まずは人命救助を先決する

・タングートという土地を調査する

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年05月18日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年05月19日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年05月23日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年06月06日


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