蒼空学園

　ある日。学園生活をとても楽しんでいたはずの高原瀬蓮（たかはら・せれん）が、哀しげな表情で百合園女学院の校長室を訪れました。
「どうかした？」
　校長の桜井静香（さくらい・しずか）が心配気に尋ねると、瀬蓮はぽつりと事情を口にしました。
「実は……お見合い、させられるんです。学校、しばらく休まなきゃならないかも」
　瀬蓮はとある大企業のお嬢様です。
　父と母は共に家にいることが少なく、彼女はとても寂しい幼少期を過ごしてきました。
　百合園女学院への入学は許可してくれた両親ですが、やはり彼女の自由は許されないようです。
「空京に進出予定の企業の方らしいんですけれど、詳しいことは教えてくれなくて……。ただ、空京の料亭に行くようにとだけ、手紙に書いてあるんです」
「嫌なんだよね？」
　こくりと瀬蓮は頷きました。
　瀬蓮を友人と思っている静香はなんとかしてあげたいと思いはするも、良案が浮かびません。
「でしたら、合同お見合い会に致しましょう。静香さんにもよい殿方が見つかるかもしれませんし☆」
　明るくそう言ったのは、ヴァイシャリー家の一人娘にして、静香のパートナーであるラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）でした。
「み、見つからなくていいですッ」
　声を大にして言った後、静香は落ち込んでいる瀬蓮に顔を向けて微笑みました。
「でも、合同お見合い会はいいと思う。色んな人と仲良くなるチャンスだしね。他校の知り合いにも連絡しておくよ。えっと、生徒会の執行部の人達に一緒に行ってくれるよう頼んでおくから大丈夫だよ。僕は行けないけどッ」
「静香さんならお相手の殿方のお心掴めそうですのに……残念ですわ」
　にこにこと笑うラズィーヤに、静香は苦笑を向けました。瀬蓮は顔を輝かせています。
「白百合団の方々が一緒に行ってくれるの？　心強いです。道中もちょっと不安だったから」
　百合園女学院の生徒会は、本部と執行部に分かれています。
　執行部――通称白百合団には武術や魔法の能力に優れた女生徒達が多く所属しているのです。

　一方、静香からの連絡は他校の生徒に瞬く間に広まっていきました。
「百合園女学院のお嬢様と合コンやるぞー！」
　話を聞いた蒼空学園の男子生徒は教室に駆け込んで大声を上げました。
「百合園と合コン？　マジ！？」
「確かな情報だぜッ。招待状もある！　他校のヤロウも来るらしいんで、今回は数の調整はナシだ。女子も来ていいみたいだぜ」
　招待状には空京にある料亭の名前と地図、それから『平服でお越し下さい』と書かれています。

　更にパラ実では……。
「要するに、見合いを派手にブッ壊せばいいんだな！　ククッ、百合園の校長に恩を売っておくのも悪くはねぇ。野郎共、見合い会場を襲撃だ！」

他校生とお知り合いになるチャンスです。
襲撃アクションも歓迎いたしますが、今回は出来るだけ人物を傷つけない程度が望ましいです。
良き出会いがありますように！

・他校の友達を作る！

・お嬢様方をお守りする

・お見合いを破談にする