蒼空学園

「あれ？　ここにしまったはずなんだが……」
　昼休み。体育の授業を終えて教室に戻った蒼空学園の山葉　涼司（やまは・りょうじ）が、自分の鞄や机の中を覗き込んでいます。彼が探しているのは弁当ではありません。
「あ、花音。俺の眼鏡知らないか？」
　教室に走りこんできた花音・アームルート（かのん・あーむるーと）に涼司は尋ねました。彼女の顔も眼鏡なしではぼんやりとしか見えません。
「涼司さん、話は聞きました。……私という人がいながらっ、ばかあーっ！」
　突然、花音は叫び声と共に涼司の頬をひっぱたき、そのまま走り去っていきました。
「な、なんだ？」
　涼司は怪訝そうに眉間に皺を寄せながら頬を摩ります。
「てめぇ、涼司！」
　続いて、教室に涼司の悪友達が駆け込んできました。
「俺らのバイブルを返しやがれ！！」
「はあ？　って、それ俺の眼鏡じゃないか！　なんでお前らが持ってんだよ」
　悪友の一人が持っていた眼鏡は、涼司の眼鏡に間違いありません。
「やっぱ、てめぇのだな！　部室に落ちてたんだよ！！　バイブルが置いてあったロッカーの下にな」
「バイブルって……ああ、あの本か？　俺は持ってないぞ」
　涼司は鞄を広げて見せました。悪友達は涼司の鞄と机の中をもくまなく探しますが、バイブルは見つかりませんでした。
「盗まれたのか？　災難だったな。しっかしそうか……花音はお前らの話を聞いて、誤解したんだな？」
「誤解じゃねぇって。お前が盗ったんだろ？　そうだろ涼司縲怩ﾁ。そうじゃなきゃ……大変なことに」
　悪友達の顔色が青くなっていきます。
「実は、あの本の最後のページには、カンナ様の写真が貼り付けてあるんだ」
「……え？」
「ちとふざけて出来心で、女優の顔の上からぺたりと、な。これがなかなかバランスよくくっついて、ツンデレロリッ娘が出来あがってなあ」
「……は？」
「本人に見つかったらやばいぞ。写真の提供者はお前だもんな！」
　みるみるうちに、涼司も青くなっていきます。
　校長である御神楽　環菜（みかぐら・かんな）と幼馴染であることを証明するために、涼司は悪友達に子供の頃の環菜の写真を見せたことがありました。
　そのデータをいつの間にかコピーし、彼らは趣味のために使っていたようなのです。
　彼らのバイブルとは、普通の少年達が学校や自宅近くの店では購入できないような本です。
　女の子の写真がいっぱい掲載されているアレです。
　発売日にわざわざ街外れに赴いて、私服で人目を忍んで購入したとても大切な本なのです。そう、それは危険な冒険の末に手に入れた秘宝、神聖な書物なのです！
「と、とりあえず。それを知ることができたのは不幸中の幸いと思うことにしよう。ダチに声かけて、徹底的に探すぞ。校内で発見されたらマズイ！」
　環菜に見つかったのなら、涼司は間違いなく共犯。もしくは主犯とみなされるでしょう。
　彼女なら、本の指紋を採取し、本にかかわった人物すべてを炙り出しそうな気もします。
「盗んだ奴が、校内で見てるとしたら、人気のない裏庭や封鎖されてる屋上に続く階段あたりだろう。体育館倉庫あたりにもたむろしてる奴らがいそうだ。花音も探して誤解を解かないと……ッ」
　悪友達と一緒に、涼司は教室を飛び出していきました。

盗まれた本を取り戻して下さい。
他校生の方は偶然蒼空学園の近くにいたところ、蒼空学園生の知り合いから連絡を受けてヘルプに駆けつけたとしてご参加いただけます。
裏庭と屋上へ続く階段、体育館の倉庫は、男子生徒の縄張りとなっており、女生徒には近寄りにくい場所になっています。盗まれた本以外のそーゆー本を持っている人もいそうです。盗まれた本かどうかは最終ページをチェックすればわかります。

最後に見つけた本をどうするか皆で決めましょう。こっそり堪能するのもいいかもしれません。ただそういう時ってタイミング悪く誰に見られてしまったりするものですよね。
環菜に見つかった場合、とても楽し……いえ、大変なことになるかと思います。

・男子生徒の溜まり場を探す

・眼鏡が気になる

・花音を慰める

・バイブルは俺のものだ！