蒼空学園

　――蒼空学園のカフェテラス。

「『月雫石』を採ってきて欲しい、ということですの？」

　ツァンダの街を治めるツァンダ家に連なる貴族クロカス家の令嬢レティーシア・クロカスは、蒼空学園のカフェテラスでツァンダの街のアクセサリー職人の相談に乗っていました。
　まだ若い、おそらく二十代前半くらいの、優男のアクセサリー職人です。
　『月雫石』とは黄水晶ですが、加工すると金色でも黄色でもない、月色に輝くことからこう呼ばれ、知る人ぞ知る隠れた名アクセサリーとなっています。

　先日、ツァンダに住む老夫婦から、孫の結婚祝いに月雫石のアクセサリーをプレゼントしたいという依頼が来たそうですが、生憎、月雫石の在庫を切らしており、こうして彼の店を懇意にしているレティーシアに相談に来ていました。
　月雫石の採掘場所は、ツァンダの南にある山岳地帯の崖の下にあるそうですが、そこには３つの首を持つハイドラと呼ばれるモンスターが住み着いており、容易に近づくことは出来ません。
　しかもここ最近、どこから月雫石の噂を聞きつけたのか、スパイクバイクに跨ったパラ実生の集団の目撃情報もあり、この優男のアクセサリー職人ではとても採りに行くことは出来ないのです。

「３つの首を持つハイドラに、パラ実生の集団……確かに難儀ですわね」

　レティーシアは愛飲している砂糖多めのカフェオレを口に含んで、渇いた喉を潤しました。
　口ではそう言うものの、自分を頼ってきた者を無下には出来ませんし、彼女自身老夫婦の願いを叶えてあげたいと思っていました。

「分かりましたわ。わたくしの知人や友人に声を掛けてみましょう。その代わり、月雫石が余りましたら、依頼を受けて下さったわたくしの知人や友人のためにも月雫石のアクセサリーを作って下さいな」

　レティーシアはウインクしながらアクセサリー職人にそう言いました。


　それから数時間後。蒼空学園の掲示板を始め、各校の掲示板にレティーシアからの、月雫石採取の依頼書が貼り出されました。
　また、彼女は同時に友達や知人にメールで連絡を取り始めていました。

　お久しぶりです、青猫格子です。
　初めましての方が多いと思いますが、よろしくお願いします。

　このシナリオは、ハイドラが住み着いてしまった採掘場へ行き、月雫石を採取してくる依頼です。
　レティーシアは各校に依頼書を貼り出しているので、学校を問わず誰でも自由に参加できます。
　また、彼女と面識があったり友達であれば、依頼のメールが来ています。
　その他、「月雫石の噂を聞いて」といった理由でも参加していただけます。

　採掘場に住み着いたハイドラですが、３つの首を持ち、大きさは３階建てのビルに匹敵します。この巨体にも関わらず、意外と素早いです。
　口から毒のブレスを吐きます。毒のブレスを身体の一箇所でも浴びると、たちまち水晶化してしまいます。
　水晶化は石化として扱いますので、「石化解除薬」やスキル「石を肉に」で回復できますが、石化と異なるのは「脆い」点です。倒れるだけで砕ける可能性がありますので、水晶化してしまったら取り扱いに注意してください。
　加えてハイドラは極めて高い再生力を持っているので、首の１、２本が切り落とされてもすぐに生えてきます。
　これらの対抗策を立てる必要があります。

　また、パラ実生の集団が漁夫の利を狙って近くで身を潜めているようです。
　こちらはスパイクバイクに跨り、血煙爪やボウガンで武装しているようです。
　ハイドラ戦でボロボロになった後戦うのは得策とは言えません。

　それと、無事に月雫石を採取してアクセサリー職人に渡せた場合、好きなアクセサリーを「１つ」作ってもらうことが出来ます（ただし、月雫石を採っていた人達に限ります。また、ＭＣとＬＣのうちの１人になります）。
　アイテムではなく称号としてですが、欲しいアクセサリーがありましたらアクションに盛り込んでください。

　なお、レティーシア・クロカスが同行します。
　クラスはナイトでレイピアの使い手です。
　足手まといにならない程度の強さですので、何かさせたいことがあればアクションに盛り込んでください。

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