蒼空学園

　秋も真っ只中な、ある晩のこと。
　山葉　涼司（やまは・りょうじ）は、蒼空学園の校長室でひとり書類を眺めていました。
　
　書類――地図。
　山と積まれ、夥しい量があります。
　中でも多いのは、「空京」関係のもの。
「跡を継ぐってのも、楽じゃねえねぁ。はああ〜」
　フウッと息を吐いて、何枚目かの地図をめくります。
「環」と、赤字で書かれた場所。
　それらはすべて生前、御神楽　環菜（みかぐら・かんな）の寄付により造られた土地や建物でもありました。
「山に、川に、池に、神社に……道路……て、公道？
　わわっ！　なんつーもんに手ぇ出しててんだよ！　お前！！」
　その目が、奇妙な具合に細まります。
　クッと笑って。
「使わねぇってのは、ねぇよな？」
　携帯電話でメールを送信。
　天井を睨みます。
　程なくして、遜ったような着信音。
「よし、道路の使用許可は取り付けたぜ！」
　デスクのパソコンに向かうと、キーボードを忙しくたたき始めるのでした。
　
『第１回　ヤマハＧＰ　参加者募る！

　場所：空京公道・御神楽７７７号線
　日時：明日・正午
　
　この度山葉涼司は、乗り物による単純なスピードレースを開催致します。
　小型飛空艇、空飛ぶ箒、スパイクバイクetc……すべてＯＫ！
　どんな手を使っても勝てば構いません！
　
　優勝者には以下の称号を差し上げます。
　
　称号：【第１回　ヤマハＧＰ優勝者】
　
　最下位、及び落後者の方には、以下の素敵な賞品を贈呈致します。
　
　賞品：【山葉校長の熱烈なキス】
　
　彼女を誘って参加しても良し。
　友人とのＧＡ参加も良し。
　気ままな単独参加も、応援団も、観戦のみでも、熱烈大歓迎！
　それでは、皆様の参加をお待ち致しております』
　
　広告は即日蒼空学園のＷＥＢサイトに掲載され、その噂は９つある全学校に広まりました。
　そして当日――御神楽７７７号線のスタート地点を目指して、参加者達は続々と押しかけてきます。
「ふははは！　俺がルールだぁ！！　行けえ！！！」
　涼司はスターターピストルを片手に、公道へと向かいます。
　彼の後ろに、うっとりと見つめる花音・アームルート（かのん・あーむるーと）の姿――。
　
　かくしてレースは開始されたのでした。

　単純な、乗り物のスピードレースです。
　どっかの校長さんもやってたなあ……とか、陰口叩いちゃいけません（汗）。
　レーサーだけでなく、応援、救助、見物、環菜を偲びたい方etc……も大歓迎！
　どなたでもお気軽にご参加くださいませ。

　レース参加者の方へ：
　乗り物は何を使っても構いませんが、蒼フロのアイテムとして登録されてある物を、おひとつお使い下さい。
　一般車両用の公道であるため、イコンは使えません。
　本シナリオでの速さの基準は以下の通りです。

　竜系＞小型飛空艇系＞箒系＞凧系＞車系＞バイク系＞昆虫系＞獣系＞自転車系＞人力系
（サンタのトナカイ、こいのぼりは凧系に含みます）
（トライポッド・ウォーカー系は昆虫系程度とします）
（カエルは獣系程度とします）

　道路は２車線です。
　コースは以下の通りで、住宅地や街中を通っているものとします。

　【御神楽７７７号線】スタート→Ｓ字カーブが続く道（紅葉がきれいな並木通り）→底なし沼（橋あり）
　　　　　　　　　　　→山なりの大きな急こう配（左手に小さく御神楽講堂）→ゴール！
　　　　　　　　　　　（参考：普通乗用車で約２時間程度のコース）

　マスターページに後程簡易的な地図をアップ致しますので、ご参照ください。
　当日は道路（車道）を借りきっているため、一般車両や信号待ち等の御心配はございません。
「妨害」についてですが、山葉様は尊大に許可致しております。
　ただし選手はコースを守らなければ「失格」！　とのこと。
　ビリに注意しつつ、秋の空京をお楽しみください。

　それでは、よろしくお願い致します。

・星になる！

・レースに参加する。

・ああ、カンナ様っ！！