蒼空学園

「助けてほしいですの！」
　蒼空学園の校長、山葉　涼司（やまは・りょうじ）は早朝の校長室を開けた瞬間、部屋の中からの声に驚きました。その相手は身長１２０ｃｍくらいの少女で、ワラで編まれた頭巾を被っています。
「私は冬を担当する雪の精霊ですのー」
　お嬢様口調のその精霊――見た目は雪国の田舎娘ですが――が言うには、パラミタの冬に危機が迫っていると説明します。なんと地上の雪の精霊がパラミタに攻め込んで来ると言うのです。
「その名は『冬将軍』！　恐ろしい四天王と共に攻めて来るですの！」
「……冬将軍ってそんなんだったか？」
「聞いてるですのー？」
「……お前のその口調、ただの変な語尾か」
「……聞いてるでスノー？」

　こちら側は人間の協力を得て戦えるルールらしいのです。どのくらい人数を集めるべきかと、涼司は尋ねます。
「お前が担当してる区域はどのくらい広いんだ？　ことによってはかなりの人数が集まることになるぞ？」
「この辺一帯でスノー」
「……シャンバラ一帯とか？　それともパラミタ全土とか？」
「……この辺一帯でスノー」
　どうやらあまり広くはなさそうです。
　仲間の雪の精霊達はすでに学園の生徒を始めとする若者に声を掛け始めているようで、広く集める必要はないとのことでした。

「一体ずつ雪の精霊が付くので、合体して戦ってほしいのでスノー」
「ほう、合体」
　合体と聞くとついワクワクしてしまうのは男のロマンでしょうか。
「これぞ『雪だるま型極寒冷地戦闘用特殊融合型強化アーマー』！！」
「おお！」
　一瞬の閃光の後、涼司の胸部、両肩、肘、手首、腰、膝、足首と体の要所がアーマーで覆われました。確かに精霊の力で寒さには強いし、軽くて動きも阻害しません。問題は、そのアーマーが雪玉のように丸々としていて劇的に格好悪いということでしょうか。
「略して『雪だるマー』！！」
　頭の中に誇らしげな雪の精霊の声が響きます。合体中はテレパシーで会話できるようですが、涼司はぽつりと一言。
「うん、分かった」
「分かったでスノー？」
「お前アホだろ」
「失礼でスノー！　失礼でスノー！」
　頭の中で暴れる雪の精霊ですが、涼司は畳みかけます。
「やかましい！　さっさとこの間抜けな合体を解け！　生徒は自主性に任せるが俺は参加しねえからな！」
「ほ、他にも雪の像を作ってもらって、それと雪の精霊が合体して戦うこともできるでスノー！」
　それを聞いた涼司は、机の上から書類を取り出しました。
「……それは使えるな。だったら任せてもらおうか」
　その書類には『西シャンバラ雪まつり開催について』と書かれていたのです。

「ちなみに負けた場合は？」
「ツァンダ地方の冬の気温が例年より１５℃ほど下がるでスノー」
「大事件じゃねえか！」

　皆さんこんにちは。このたびＧＭに登録いたしました、まるよしと申します。皆さんの学園生活を楽しいものにしたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

　さて、皆さんの元にも一体ずつの雪の精霊が現れます。彼女らと協力して冬将軍の侵攻から今年の冬を守って下さい。
　蒼空学園でのイベントですが、どの学校からも参加可能です。有利不利はありません。
　舞台は蒼空学園のグラウンド。精霊の力でグラウンド一杯の雪を降らせた涼司は『西シャンバラ雪まつり』を開催します。参加者がオリジナルの雪像を作るお祭りイベントですが、そこに冬将軍とのバトルをミックスして運営・放映しようというものです。
　皆さんは『雪だるマー』を装着してアイスリンクと化したグラウンドでの直接戦闘に参加してもいいですし、オリジナル雪像を作成して戦わせてもいいでしょう。また、バトルには参加せず雪祭りの運営側に参加することもできます。
以下に今回限りの特殊ルールを説明します。

　・『雪だるマー』をＰＣが装着する場合
　精霊はＭＣに一体、ＬＣも一体ずつです。装着していないと直接戦闘に参加することはできません。バトル中は魔法の吹雪が吹き荒れる状態ですので、普通の防寒装備では役に立たないのです。
　『雪だるマー』には『ブースト』機能があり、天候に関する力をごく短時間だけ（攻撃一回分程度）使うことが出来ます。これによりＰＣの能力を超えたアクションができますので、今回限りの必殺技や様々な演出に役立ててください。『ブースト』ができるのは各『雪だるマー』につき一回限りです。
　『ブースト』を使う前の『雪だるマー』は他ＰＣに譲渡できます。ＭＣ，ＬＣは関係なく可能です。一人のＰＣが複数の『雪だるマー』を装着することで更にパワーアップできるでしょう。ただし、他人の『雪だるマー』を強奪、脅迫や詐欺行為などで奪い取ることはできません。お互いの意思が通じていないと駄目ですので、あらかじめ掲示板等で相談しておくとスムーズでしょう。ただし、譲渡される側が特に拒否を表明していない場合、譲渡する側の意志が優先されます。
　装着者が戦闘不能になると『雪だるマー』は消滅し、戦闘区域外にテレポートされますので、生徒の身の安全は最低限保障されるというルールです。

　・作った雪像に『雪だるマー』を合体させる場合
　自分達で作ったオリジナルの雪像に自由な設定をつけて、雪の精霊がそれを演じる形で動かし、戦闘を行います。主に敵側の巨大ロボ雪像との戦いになります。作ったＰＣ自体はほとんど観戦＆応援になると考えて下さい。
　装着者の身を守る必要がないので、かなり自由が利きます。飛べると設定すれば飛びます。思い付くままに自由な設定を楽しんで下さい。ただし、１００％反映されるわけではありませんのでご了承下さい。雪の精霊にできそうなことに限ります。
　ＰＣと同じように『ブースト』を利用できますので、必殺技や特殊行動を考えて下さい。
　雪像には『名前（作品タイトルでも可）』を付けて下さい、リアクション中はその雪像はその名前で呼ばれます。
　グループアクションを利用して巨大雪像を作ることも出来ます。こちらもある程度の融通は利かせますが、掲示板等でご相談の上アクションを送って下さい（名前や設定の統一など）。その場合一体に複数の『雪だるマー』が合体することになりますので、強力になります。
　雪像の場合、『雪だるマー』は雪像内に融合する形になりますので、美観を損ねません。

　・雪まつり運営スタッフとして参加する場合
　戦闘には一切参加しない、『西シャンバラ雪まつり』の盛り上げ役です。司会や解説もよし、屋台を出してもよし、警備や救護員もありです。その他なんでも楽しみたいことをアクションして下さい。
　『雪だるマー』を使用しない場合は他人に譲渡できます。これも事前に掲示板等で相談しておくといいでしょう。また譲渡せずに雪の精霊と共に祭りを楽しむのもアリです。その場合『ブースト』は使用できますが、自動的に『雪だるマー』を装着することになりますのでご注意ください。
　雪まつりのお客さんとして参加する、その他自由行動を取る場合もこのルールに準拠します。

　・その他
　基本的に雪まつり会場（蒼空学園）にいることにして下されば、あとは自由行動も可です。お祭りを楽しんで下さい。

　・敵の構成
　雪の精霊から、あらかじめ敵の構成を聞かされます。
　アシガルマ……雪だるまに手足が生えた、足軽姿のザコです。一体一なら負けることはありえませんが、１０００体近くのアシガルマがいますので、露払い役も必要でしょう。
　フブキ……あどけない和服少女の氷像です。吹雪を操ってフィールドを凍らせています。遠距離攻撃が得意です。
　ツララ……スラリとした軽装の鎧姿をした女性型氷像です。空気中からつららを瞬時に作りだし、それを操って攻撃します。常にフブキと行動を共にしています。
　ナダレ……痩身の男性姿をした氷像です。１５０ｃｍ程度の身長ですが両腕は地面に着くほど長く、さらに槍を装備しているので攻撃範囲が長いです。さらに素早い動きで雪崩のような激しい攻撃を仕掛けてきます。
　ヒョウザン……３ｍほどもある筋骨隆々の男性型氷像です。基本的に素手ですが、砕いた氷を投げたりして攻撃してきます。一発の攻撃力が高い力自慢です。
　冬将軍……立派な和式甲冑姿の氷像で、身長は２ｍほどです。両手に日本刀を装備し、攻守バランスのとれた戦闘力です。
　ＤＸ冬将軍……校舎くらいの高さの巨大雪像です。動きは遅いがタフさが売りで、姿は冬将軍の甲冑を模してあります。

　厳密な能力やスキルというよりは、面白い、格好いいと思えるアクションであれば多少強引でも積極的に採用していきます。ルールはかなりアバウトですので、やりたいことはガンガン盛り込んでください。ただしダブルアクションになりますとそれぞれのアクションが薄めになってしまいますので、一点に集中した方が活躍できます。MCとLCは組んで行動した方が活躍しやすいと思います。
　また、版権ネタのパロディ等は反映が難しいとお考え下さい。武装・スキルはアクションを送った時の装備がダイレクトに反映されますのでご注意ください。残念ながら他ＧＭ様のシナリオは参照できませんのでご了承下さい。キャラの関係などをアクション内で『〜ということがあったので』と説明する場合はその範囲内で表現したいと思います。NPCはほとんど登場しない予定です。

　それでは、よろしくお願いいたします。

・冬将軍戦に参戦する（ザコ戦）

・冬将軍戦に参戦する（冬将軍＆四天王戦）

・雪像作りで参加する

・運営スタッフとして参加する