蒼空学園

　
　雪降る寒い日、蒼空学園近郊の幼稚園。

「ねぇ、みんなと遊ばないの？　シュウヤ君」

　新米保育士ナコが教室で一人読書をする園児に声をかけます。

「寒いからやだ」

　シュウヤ君はそっぽを向いて答えます。

「ねぇ、シュウヤ君。みんなと雪だるま作ったり雪合戦しようよ」
　シュウヤ君はこちらに引っ越して来て２ヶ月が経ちますが、入園してからずっと一人で読書をしています。お友達がいくら声をかけても相手をしません。
「やだ。雪なんか冷たいだけでつまんないもん」
　シュウヤ君はそう答えて持参した難しい本を読み続けます。両親が共働きのためお友達はいつも本でした。そのため利口な彼は他のお友達のように子供らしく振る舞うのを少し馬鹿にしているのです。
「……そうだけど」
　ナコ先生は困り顔でエプロンに忍ばせている留め具が壊れた花のブローチを握りました。困り事が起きるといつも握り締めて心の支えにしている物です。亡き祖母からの贈り物です。

「雪だるまが甘かったり動いたら面白いかもしれないけど」

　シュウヤ君は本から顔を上げて、外の雪を眺めながらぽつりと呟きました。

「……雪だるまが。よし、先生に任せてよ」
　ブローチから力を貰ったナコ先生は何かを思いつきました。
「先生？」
　シュウヤ君は不思議そうに先生を見ました。彼女には名案が浮かんでいたのです。

　ナコ先生は仕事を終えてすぐに蒼空学園で教師をしている友人を訪問しました。以前、聞いたことのあった物を動かすことが出来る『魔法の粉』を借りるためです。
　その時、提出物を出しに来ていた小谷　愛美（こたに・まなみ）が横で事情を聞いており……
「わぁ、面白そう！　みんなに声をかけて幼稚園に行きますよ！」
　面白いものが好きな彼女はすぐに協力を申し出てくれました。

　何とか、ナコ先生の名案は実行に移されることになりました。
　題して雪だるまで仲良し大作戦。

　翌日。

　作戦場所の園庭ではたくさんの甘い雪だるまが作られては食べられています。その側では可愛らしく跳ね回る雪兎や小さな雪だるまが愉快に踊っています。
　
「……無い？」
　園児達と巨大雪だるまを作り上げた後、ナコ先生はブローチを雪だるまの中に落としたことに気付きましたが、少し遅れました。
　動き出した雪だるまは暴走を始め、
　あっという間に園庭を抜け出して少し遠くの森へと走って行きました。

「わ、私のブローチが！！」
「せんせぇ、待ってて」
　
　ナコ先生が大好きな何人かの園児達が雪だるまを追って行きます。

「危ないから行っちゃだめ！」
　ナコ先生は園庭を抜け出す園児達を止めますが、声は届きません。
　園児達は森の中へと暴走雪だるまを追って入って行きました。
　雪に埋もれた森には、お腹を空かせたツァンダオオカミやツァンダグリズリーがいるにも関わらず……。

「……私のせいで。あの子達に何かあったら」
「心配しないで。子供達もブローチも大丈夫ですから」
　愛美は心配に顔を歪ませているナコ先生を励ましてから一緒に来ていた契約者達と共に森へ向かいました。

　初めましてゲームマスターを務めさせて頂きます夜月天音です。よろしくお願いします。　冬と言うことで今回のシナリオにさせて頂きました。

　シナリオ内容は、何人かの園児達がナコ先生のブローチを体内に持った暴走雪だるまを追って森の中へ行ってしまいます。
　森には迷子になる他、冬で空腹のツァンダオオカミやツァンダグリズリーと遭遇する危険がありますので早く見つけてブローチを取り返してあげて下さい。
　森へ乗り込んだ愛美は戦いが不得手なのでモンスターと鉢合わせすると危険かもしれません。
　園児探索の間、園庭に残ったシュウヤ君や他の園児達、ナコ先生を励ましたり甘い雪だるまや動く雪だるまで遊んであげたりして不安を和らげて下さるお兄ちゃんやお姉ちゃんも必要です。
　そして、お兄ちゃん、お姉ちゃん自身も楽しんで頂ければと思います。

　シュウヤ君は５歳のシャンバラ人の少年です。賢くて子供なのに子供のように振る舞えない天の邪鬼です。
　保育士ナコ先生は地球人の女性で２２歳の新米さんです。そして、おばあちゃん子です。

　またこの幼稚園には下記の種族の園児が通園しています。
　・守護天使
　・ヴァルキリー
　・シャンバラ人
　・魔女
　・獣人
　・地球人

　アクシデントはありましたが、皆さんのお力で賑やかで楽しいお楽しみ会にしちゃって下さい。
　皆さんのご参加を心よりお待ちしております。

・甘い雪だるま作戦

・動く雪だるま作戦

・早く園児達を見つけてナコ先生を安心させたい

・モンスターから園児達を守る