蒼空学園

「ちょうど良い所に来た。
　貴官に新たな任務を命じ……何、違う？
　教導団に修学旅行はないのか、だと。
　……。
　あるわけがなかろう！
　我々の主たる任務は軍事活動であるぞ。
　貴官ら、教官達に聞くところ、他校のデートやら、ダンスやらにかまけておるなど、教導団員としてあるまじき……
　ん？
　本国から連絡が入ったと。うむ。
　……では、貴官はもう行くがよい。私は忙しい」

「……奈良で不穏な動きが？
　ドー・マ・……その者は確かに、そう名乗ったのか。
　と、なると。蒼学の連中が京都でかの陰陽師とまみえることになるという、もしや、それを機と……。
　いいだろう。兵を動かす。
　我々の力を示す好機」



　翌日、教導団生徒らに修学旅行＜奈良行き＞が決定した、と伝えられることになります。
　教導団員として団長公認で堂々と遊べるチャンスだと、喜ぶ生徒もいました……が。その引率は、戦の前線指揮しか任されたことのない騎凛　セイカ（きりん・せいか）だというのです……。
「皆さーん。修学旅行に行きますよ。エヘ。
　持ち物は……えーと、とにかく皆それぞれの武器を、必ず忘れないでね。
　やるべきことさえちゃんとやれれば、修学旅行らしく、フジュンなコト、じゃなくセイシュンしちゃっても、自由だ。
　って団長先輩は言ってた」



　一方、こちら地球は、奈良県・石舞台古墳。
「そなたの怨み、幾許のものであったことか。
　今、千年の時を経て我が英霊として甦ったからには、まずはその怨み晴らし、存分に暴れるがよかろう、
　……道満（ドーマン）！」
「フッ。
　あいつさえこの手で葬れたならば、あとはお前がこのオレを好きにするがいい。パラミタ大陸の支配であろうが、六校長の暗殺であろうが、な。今、このオレの呪符は黒く煮え滾っているところよ」

　――間もなく、奈良盆地一帯は邪気に満ち、跋扈し始める鬼兵、猿兵、マラ兵の一族。
　亀はついに西を向き、蛇は古の水を盃へ戻す。
　石舞台には狐が舞い、暗がりにちらつく九尾の影。

　シャンバラの兵（つわもの）どもよ、教導団員よ、いざ、修学旅行へ赴かん！　今、戦いの舞台は奈良に。

　さて、ご察しのとおり、教導団上層部のお二人がキャンペーンを続行中ですので、残るバトル専門のGM今唯が、全力で皆様青春の修学旅行を描きます。
　とは言っても、そこは教導団の修学旅行。ただの修学旅行ではないらしく、金団長は、修学旅行という表向きを利用して、一方で生徒を兵として奈良へ送り込むようです。（他校生が紛れ込んでいても、OK。）
　皆様は、修学旅行を楽しみつつ、戦に巻き込まれていってください。（下記にある情報等は、教導団経由で知っていた、として構いません。何も知らずに巻き込まれるもよし、事前に相手について調べた上で参戦するもよし。PCに合わせた理由で参加してください。）

　今回の相手はシナリオガイドの最後に現れている蘆屋道満（あしや・どうまん）。
　安部清明のライバルでしたが、彼との対決に破れ歴史の闇に葬られた陰陽師。民間出の優れた術師でしたが、現在では清明と対比され悪玉の汚名を着せられている人物です。
　誰かの英霊として復活した道満は、奈良で兵を挙げ、十二神将が離れている隙を突いて清明を攻めようという企み。
　金　鋭鋒はこれをいち早く察知し、修学旅行を理由に教導団を動員することになります。

　道満の策は、奈良盆地一杯に水を貯め、堰となる北の山脈を切って清明を京都ごと水攻めにして滅ぼそうという遠大なものです。
　すでに、道満の呪符により動き出した巨亀が北に向かっています。
　また、かつて奈良盆地の水を司った大蛇が南から奈良盆地に水を引き入れ始めています。
　道満自身は、石舞台古墳で指揮を執っています。
　山から森から、市街に至るまで、この地方は間もなく道満の式神として操られる鬼兵、猿兵、マラ兵で埋め尽くされることでしょう。兵は酒船に乗り込む予定です。

　さあ、あなたなら、この戦いをどう導きますか。（修学旅行は一泊二日なので翌日には帰ります。）

　以下、注意事項やヒントになります。
・　鬼兵、猿兵、マラ兵はすべて霊体で、数は数え切れないくらいいます。明日香地方の至るところに出没しているのですぐに出遭えます。
・　道満は、種族・英霊、ウィザード・プリースト・ローグのスキルも習得しています。今までの敵の中では、その強さは最大級といっていいでしょう。もちろん、戦いを挑むこともできますが……？
・　道満がいるのは石舞台古墳。彼は、清明打倒の最大の戦力として九尾の狐を復活させる儀式を執り行っています。周辺には、狐兵の他、鬼・猿・マラの騎狐兵が駐屯して警護は厚いです。狐火が煌々と照らす石舞台の上では、白狐が復活の舞を踊っています。綺麗な光景ですよ。
・　道満をパートナーとするNPC（未登場）については、今回は明らかになりません。
・　今回、騎凛は、にゃんこ兵を率い自ら道満と一騎打ちを挑むべく石舞台古墳に向かいますが、軍師達は騎凛に好き勝手進言してみましょう。（注：今回は第四師団シナリオではありませんので、誰でも進言可能です。ただ今回、進言アクションをそれに重点を置いてとる場合、他の描写は抑え目になります。）
・　私のシナリオ（第四師団シナリオ）において登場した特殊な設定は、今回に関しては使用できません。
・　バトルシナリオですが、あくまで観光を敢行する方法もありますので、サンプルアクション等も参考にしてください。寺院・古墳巡りもよし、鹿（！）と戯れるもよし、市街地デートもよし、現地に着けば自由行動ですので、希望のコースを書いてくだされば、描写致します。（上述の通り、教導団・道満式神の活動範囲は、明日香、吉野等、奈良市以南がメインになります。）
・　サンプルアクションにも少々ヒントを盛り込んでおりますが、もちろん、もっと色々と独自に練ったアクションを期待しております。選択肢は幾つもあると思います。

・奈良の町にたむろする鬼兵どもと武器で戦う

・現地のゆる族、現地の兵に協力してもらう

・奈良の伝説を調べてこの戦いを勝利に導く

・石舞台古墳で道満と会う

・修学旅行をあくまで修学旅行らしく楽しむ