ナルハナシ──
話を聞いただけで、数日・数ヶ月後に、首を切られる──殺されるなどと言った、自分に災いが降りかかる話。
つまりそうなってしまうことから、それを『ナルハナシ(なる話)』と、百合園女学園の口の悪いお嬢様、ピアスは呼んでいました。
誰でも一回は耳にしたことがあるんじゃないでしょうか?
怪談夜話会が終わってから、もうすぐ一ヶ月。
あの日ピアスは、そのなる話を大々的に皆に聞かせてしまったのです。
ピアス曰く、回避方法があるとのことだったのですが、それを告げる前に、彼女は地球に里帰りしてしまいました。
殺されてしまうのは、話を聞いてから1ヶ月後。……刻一刻と、死へと近づく時間が迫ってきています──!
「……なんかさ、あたし、トイレが怖くて」
「あなたも!? 私もだよぉ。なんかドアノブ、見つめちゃうんだよね。動くんじゃないかと思って……」
皆、深いため息をつきました。
「聞かなきゃよかったね」
「うん……」
たんなる怪談、たんなる噂と思っていても、なる話の威力は計り知れません。心に闇を落とします。
「もうじき……あの話を聞いてから1ヶ月だね。本当に出てくるのかな?」
「い、言わないでよ! 忘れてたんだから」
「……その日、怖いからみんなで一緒にいない?」
誰かがぽつりとつぶやいた言葉に、ほとんどが賛同の意を唱えました。
特殊講堂をまたしても借りて、皆はそこで時間が過ぎるのを待つことにしました。
何も起こらなければいいのですが……
噂に寄れば、ピアスはもうじき学園に戻ってくるそうです。
そして、特殊講堂では、消えたはずの少女の霊が未だに多数目撃されているとの情報が……