蒼空学園

　百合園女学院の校長室。

「静香様。やっぱりこの時期はあまーい香りの紅茶に限りますわね」
　ラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）は、紅茶のカップを優雅な手つきで持ち上げ、
　そのキャメル色の液体をそっと見つめています。
「うん。いい香りだねっ」
　校長の桜井　静香（さくらい・しずか）（さくらい・しずか）は机にごまんと積まれた書類に判子を押している手を休め、
　ソファに腰掛けているラズィーヤの様子を眺めました。
　テ・オ・ショコラの紅茶の香りを楽しんでいる様子のラズィーヤですが、なんだかそれにしてもやけに嬉しそうです。
「今日、なんだか楽しそうだね。何かイイコトでもあったの？」
　ラズィーヤはその質問を待ってましたとばかりに、うふふん、と笑顔を浮かべました。
「静香様、私とっても楽しいことを考えついたのですわ。もうすぐその準備が整いますのよ」
　これですわ、とラズィーヤは静香の机の前までやってきて、静香の鼻先にテ・オ・ショコラの紅茶を差し出しました。
「紅茶……が、どうかした？」
　静香はラズィーヤの意図をつかみかねて、小首を傾げました。
「違いますわよ。この香りで、おわかりになるでしょう？」
「チョコレートの香りだよね」
「そうですわ！今年もバレンタインデーがやってくるのですわ」
　パーティー好きのラズィーヤは謳うように言ったあと
「私、昨年はバレンタインデーというものを勘違いしていたようでしたの」
　地球のバレンタインを知らなかったラズィーヤは、少し悲しそうにうつむきました。
「ですから、今年はもっと『ちゃんとした』バレンタインをやりますわ！」
　そう言うとラズィーヤは静香の机の横に置いてあった箱の中から、ノートくらいのサイズの紙を取り出しました。

『LOVE FESTA』

　カラフルなハートたちが、紙の上で踊っています。
　会場は街のメインストリート……？

「バレンタインは愛の日ですわ！今年は街のみなさんと一緒に楽しみたいと思いましたの」
「それはステキだね」
　静香はにっこりとほほ笑みました。
　いつも百合園女学院の生徒がお世話になっている街の人たちと交流するのは良いことだよね。
「街中に配るつもりで、たくさん作っていただきましたのよ」
　静香の机の横にいつの間にか積まれていた箱の中には、さきほどのチラシがぎっちりと詰まっています。
「じゃあボクも、配るのを手伝わなくちゃねっ」
　静香は書類を片付けると、まずはラズィーヤと一緒に紅茶を飲むために立ち上がりました。

　ラブ・フェスタは、百合園女学院の生徒以外も参加可能です。
　お友達とお誘い合わせの上、ご参加ください。

　ラブ・フェスタの会場は、ヴァイシャリーの街のメインストリートになります。
　メインストリートにある大きな噴水は、フェスタ当日はチョコフォンデュができます。
　今が旬なパラミタイチゴを始め、ラズィーヤが各地からフルーツを集めますので、
　食べたいフルーツがありましたらアクションに書いてください。
　ぜひ甘いチョコレートのシャワーを浴びてください。

　当日はどのお店もお菓子のおうちのように飾り付けされていますので
　つまみ食いしすぎると、お店の人に怒られてしまうかもしれません。
　もちろん、生徒さんたちが集まって、お店を出すことも可能です。
　仲良しのお友達と愛に溢れたお店屋さんごっこをするのも楽しいですよ。
　
　大好きなあの人に手作りのバレンタインチョコレートを渡したいという人は、
　前日にラズィーヤの屋敷のキッチンで、みんなでチョコレート作りをしますので
　そちらに参加してください。
　好きな人に受け取ってもらえるように愛を込めたチョコを作りましょう。
　ただし、手作りチョコレートに参加された方は、
　フェスタ当日はチョコを渡すだけになります。　

　ドレスコードは「LOVE FESTA」に相応しい格好、です。
　皆様、「LOVE FESTA」をお楽しみください。

・お菓子作りをする

・チョコレートやお菓子を売る

・いろいろなものをチョコまみれにしたい

・バレンタインでチャンスだから