【カナン再生記】迷宮のキリングフィールド リアクション公開中! |
シナリオガイド魔女に乗っ取られた坂上教会を攻略し、解毒薬を手に入れろ!
シナリオ名:【カナン再生記】迷宮のキリングフィールド / 担当マスター:
寺岡 志乃
ばん、と大きく音をたてて扉を開け放ち、青年は薄暗い教会内へ入って行きました。 * * * 「セテカが死んだだと!?」 タイフォン家当主であり東カナン12騎士の長であるネイト・タイフォンは、動揺に割れた声で飛び込んできました。 知らせを聞き、その足で駆けつけてきたのでしょう。服装は乱れ、騎士の制服も肩にはおっただけの状態です。 流れ落ちる汗もぬぐわず、切れた息も整えぬまま、ひたすらわが子の姿を求めて室内に目を走らせ――ベッドの傍らに東カナン領主バァル・ハダドの姿を見止め、ネイトはあわてて臣下の礼をとりました。 「これは御領主様……見苦しい姿をお見せしてしまい、申し訳ありません…」 「かまうな。ネイト、こちらへ」 「は、はい…」 ネイトはバァルとは反対側のベッドの脇につきました。ベッドに眠るのはまさしくわが子――セテカ・タイフォンです。青白い顔に表情はなく、目は閉じ、胸は呼吸にぴくりとも動きません。 城からの使者が館の門を叩いたときから、いやな予感はしていました。しかしこれほどの凶事とは思ってもみませんでした。 まさか、セテカが死んだなんて…。 妻に次いで、息子まで失ってしまった。 「セテカは死んではいない。……まだ」 がっくりと両肩を落としたネイトに、バァルは硬い声音でつぶやきました。しかしその声も、セテカを見つめる視線も、完全に余裕というものを失っており、楽観視できないことに疑いの余地は全くありませんでしたが。 「おまえを呼びに行かせてから判明したことだが、数分に1度、鼓動があるそうだ」 「し、しかし、心臓を打ち抜かれていたと聞きましたが?」 バァルは強張った表情のまま、頷くと、壁に控えていた神官服の老女を呼び寄せました。 女神官は2人に一礼し、説明を始めます。 「セテカ様を射抜いたのは、おそらくモレクの黒矢と呼ばれる呪矢です。古来より魔女モレクが好んで使用したことにより、その名がつきました。 モレクは殺戮そのものよりもその過程を重んじる魔女です。ただ相手を殺害するよりも、本人や周囲に生き地獄を味合わせることを好むような…」 「生きた鳥の羽をむしり取るような?」 「そうです。モレクの黒矢は、対象者の心臓の一部を破壊し、自ら心臓の一部となることで対象者の精神を徐々に破壊していきます。そして完全に黒矢に精神をのっとられたとき、黒矢はもとの呪矢に戻り、対象者は心臓を失って死ぬのです」 「ばかな!? それではセテカはもう死んでいるのと同じではないか!」 ネイトは愕然となり、その場に両膝を折りました。シーツの上から出た息子の腕を握り、手首にかすかな拍動を……彼の生きた証を感じながら、それが救いとはならないことへの絶望感から枕元へ額を押しつけます。 「今、黒矢は姿を変え、セテカ様の心臓と同化しようとしています。完全に同化が完了すれば、セテカ様は目を覚まされるでしょう。ただし――ええ、おっしゃるとおりです。それはもう、元のセテカ様ではありません。黒矢に蝕まれ、悪のささやきにとらわれた囚人…」 「――その状態から元に戻れた者は?」 バァルの問いに、女神官は静かに首を振りました。 「皆、早々に狂い死ぬか犯罪に走り、殺されたようです。あるいは自ら命を絶ったか…」 「助かる術はないというのだな」 「はい。残念ながら」 「そうか」 バァルは一時、空を仰ぐように面を上に向けました。目を閉じ、こぶしを固めます。 「ではやはり、行くしかないわけだ」 握り締められたこぶしには、白い紙が握りこまれていました。 それは夕刻、アバドンの使者を名乗る者たちが落として行った物でした。アバドンからの手紙――そこにはこう、書かれていたのです。 『東カナン領主バァル・ハダド様 前略 事後承諾となってしまい、大変申し訳ありませんが、本日あなたの半身をお預かりさせていただきました。もし彼を取り戻したいとお思いになられるのでしたら、どうぞお友達とお誘い合わせの上、坂上教会までお越しください。ほんの気持ちばかりではありますが、お部屋をいくつかご用意してお待ちしております。お気に入られるお部屋が見つかるといいですね! 僕は一番上のお部屋であなたとご友人が来られるのを楽しみにお待ちしています。 あ、そうそう。せっかくご用意したのに全部のお部屋を無視して僕の部屋に来られても構いませんが、その場合、残念ながらあなたの半身をお返しすることはできません。………… * * * 「――お部屋1つ1つに、カードをご用意しておきました。カードをお持ちいただけない場合は門前払いとさせていただきます。これは絶対です。ルールを守れないお客さまは歓迎されませんのであしからず。 なお、ご招待した身でこんなことを言うのも何ですが、僕も忙しい身ですから、いつまでもあなた方のお越しを待ってはいられません。明日の夕刻、陽が沈むまでとさせていただきます。どうせ、それを過ぎたらあなたの半身は元に戻れませんしね。いいでしょ、べつに。解毒剤なくても。 それでは、お待ちしておりますので、いつでもお越しください。早々 Molech」 かつて女神像があった場所に玉座を構え、怠惰そうに座りながら、モレクは自分の用いた言葉にくつくつと嗤いました。 ぶらぶら床を擦っていた手が宙でひらめくと、次の瞬間、指と指の間に黒矢の解毒剤が入った小瓶が現れます。 「これがほしいなら、取りにおいで。イナンナの希望たち。彼女を失望させないように。そして僕も楽しませてよね。なんたって、これはゲームなんだからサ」 真上のステンドグラスからのわずかな光を受けながら、小瓶は赤黒い光を弾いていました。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
こんにちは、または初めまして、寺岡 志乃といいます。 ▼サンプルアクション ・部屋に入る ・教会の外で待機する ・バァルと会話する ・モレク側につく ▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました) 2011年04月18日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2011年04月19日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2011年04月23日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2011年05月16日 |
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