蒼空学園

　ある日、イルミンスール学生、シキは、自分の故郷でもあるイルミンスール、ジャタ境界付近の森の中、１人の行き倒れを拾いました。

　手近の村へ連れて行き、介抱してやると、やがて目を覚ましたその人物は、助けてくれたことに感謝しつつも、何故か自分の素性を隠そうとします。

「……あなたはエリュシオンの人か？」

　しかし、あっさりと素性を看破されるに至り、それを諦めたようでした。
　そもそも、エリュシオンとシャンバラの国境で道に迷って行き倒れた自分に、使命を果たせられる自信もなかったのでしょう。

「……私は、エリュシオンの都市、ルーナサズの長たる神の第二子、イルヴリーヒ様の使いで、人を探しに参りました」
「人探し？」
「……恐らくシャンバラへ逃げ延びたであろうところまでは、突き止めたのです。
　しかし、いきなりこんな有様を晒すとは……」
「よし、その話詳しく聞かせてくれよ！」
　鼻息を荒くしたのは、後から合流したシキのパートナー、トオルです。
「心配すんな。
　シャンバラには余計なことに首突っ込みたがるヤツもお人よしなヤツもよりどりみどりだぜ」
　意気揚々としてそう言ったトオルに、シキは肩を竦めました。


　エリュシオンの都市、ルーナサズは、『神の力を受け継ぐ都市』と言われています。
　しかし１０年前、家臣の反逆に遭い、ルーナサズを治める神・マナウィザンは殺されて、二人の息子は行方不明となりました。

「イルヴリーヒ様は手勢も少なく、１０年耐え忍びましたが、民への圧政に耐えかね、ついにテウタテスを討つべく立ち上がろうとしております。
　私は、長子であるイルダーナ様の探索の為に遣わされたのです」
「その、イルダーナってのは、どういうヤツなんだ？」
「今年、２５歳になられているはずです。漆黒の髪に、金の瞳を持った、聡明なお方でした」

　シャンバラの一地方、港町タラヌス。
　１人の少女が、冒険者らしき１人の若者に声をかけました。
「ねえ、知ってる？
　あの、浮き島ファリアスに掛けられている結界のことを。
　あの結界を解くことができたら、報酬は弾むのだけど」
　何を言っているんだ？　と、その冒険者は首を傾げました。
「ファリアスへは、普通に飛空艇で行き来できるじゃないか」
　すると少女は悔しげに眉をひそめました。

　その結界は、魔女だけを拒絶するものだったのです。




　そして、浮き島ファリアスでは、領主が頭を抱えて悩んでいました。
　彼の館は、立て続けに二度も、盗賊に強盗に入られているのです。
　しかも二度目に来た時は、あちこちを漁った挙句に何も盗られていないところを見ると、目的のものを見つけてはいないようで、恐らくまた来るつもりなのではと思われるのです。
「腕のいい護衛を雇うか……」
　領主アヴカンは溜め息を吐いて呟きました。




　空京郊外。
「博士。何処へ行くんです？」
　引きこもりがちなゴーレム技師、オリヴィエ博士が珍しく出掛ける準備をしているのを見て、助手のヨシュアが訊ねると、彼は小さく肩を竦めました。
「ちょっと、アフターサービスのメンテナンスに行って来るよ」

　こちらのシナリオは、エリュシオンがどうのと言っておりますが、グランドシナリオには全く欠片も掠っておりません。
　グランドシナリオ関連のアクションを掛けても、スルーされてしまう可能性が高いですのでご注意ください。

　一部の方には憶えのあるＮＰＣが登場しておりますが、シナリオの内容は、これまでの九道のシナリオと、特に関わっておりません。
　初めて九道のシナリオにご参加される方も、特に既シナリオに目を通すなどの予習は必要ないかと思います。
　ぶっちゃけトオルとシキがシナリオ本編にも出てくるかどうか、全く未定です。
（勿論、目を通しておけば、オリヴィエってこんなヤツかとあらかじめ把握しておくことはできるかとは思います）


　特にひねりの無い、フツーの地味なシナリオです（笑）。
　お気軽にどうぞ。

・暴君を討つというイルヴリーヒに協力する

・浮き島ファリアスへ行き、盗賊を撃退

・浮き島ファリアスで、結界について調べる