蒼空学園

　空賊のコートと共に泉　美緒（いずみ・みお）が姿を消してしまってから数週間が経ちました。
　彼女の行方は依然として知れず、ただ、日々だけが徒に過ぎていきます。

「え、あ、ええええっ！？」
　そんなある日のこと、学生たちへとお知らせを貼り出すために設置された掲示板を見ていた百合園生の１人が驚きの声を上げました。
　何事だと、周りの皆の視線が彼女へと集まり、彼女はそんな皆へとちらりと視線を向けた後、震える指先で掲示板へと貼られたポスターを指します。

「えっ！？」
「うそでしょう！？」
「な、な、何でですのー！？」

　ポスターへと視線を向けた他の百合園生たちも次々と驚きの声を上げていきます。

　そこに貼り出されているのは、ドクロマークが目を惹くハットを被り、不敵な笑みを浮かべた美緒の顔絵が描かれた手配書付のポスターでした。

　“黒髭”空賊団が飛空船を襲って回っているため、空路の行き来には気をつけて欲しい、出来ることなら暫く控えた方がいい、などという旨が伝えられています。
　百合園生たちは事の次第を訊ねるべく、校長室へと急ぎました。

＊＊＊

　一方、その頃――。
　そんなニュースが流れているとはいざ知らず、雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）は飛行船に乗っていました。
　大きな窓から、眼下に広がるツァンダ地方の景色を眺めていると、船尾の方向に何やら黒い塊が映ったように思え、もっと良く見えるよう、その方向の窓へと移動していきます。

「え、何？」

　瞳を凝らして見ていると、最初は小さな塊だったものが徐々に大きくなってきて、次第には大型の飛空挺だと分かるほど形がハッキリしてきます。

「何なの、あれっ！！」

　他の客も気付いたようで、１人の女性が悲鳴にも似た声を上げました。
　その声と、指差す先――船尾方向から近づいてくる空賊船に、次々と客たちは声を上げます。
　ゆっくりと進む飛空船より速いその大型の飛空艇は、徐々に船体の距離を縮めてきます。
　そして、砲台を飛空船へと向けると、大砲を放ってきました。
　轟音と共に、船尾に当たった砲弾の衝撃で飛空船が揺れます。

「きゃあああっ！！」
「に、逃げろ……ッ！」
「お、お客様、落ち着いてください！」

　展望室を駆け回る客たちに、飛空船のスタッフが声を荒げ、落ち着かせようと試みますが、一度パニックになった客たちは彼らの言うことなど聞く耳持ちません。

「あれは……？」

　戸惑い、展望室の出口へと急ぐ他の客たちとは対照的に、船尾方向の窓の近くでまだ佇む雅羅は、近づいてきた空賊船の甲板部に立ち、飛行船を見下しているような様子の人影を発見します。

　それと同時。
　再び放たれた砲弾による衝撃でバランスを崩し、倒れてしまう雅羅が見たのは、黒いコートを羽織り、ドクロマークが目を惹くハットを被った美緒の姿でした。

　こんにちは、朝緋あきらです。
　このシナリオは奏哉マスターの『美緒と空賊』にて、姿を消した美緒が勢力を拡大した“黒髭”空賊団と共に、飛行船を襲いに来たというシナリオです。
　上記シナリオに目を通していただくと、面白さも倍増するかと思います。

　さて、状況を改めて説明いたします。
　美緒の人相で“黒髭”の空賊団の手配書がポスターとして貼り出された頃、ツァンダ地方の上空を巡る飛行船に乗っていた雅羅は、空賊に襲われてしまいます。
　その空賊こそが、“黒髭”空賊団なのです。

　皆さんには、以下の立場から参加いただければ、と思います。

１：飛行船の客として、現場に居合わせた
　雅羅同様、襲われる飛行船に乗り合わせていたことになります。
　事件に即座に対応できます。

２：ラズィーヤがチャーターした飛行船にて駆けつけた
　手配書付のポスターや飛行船が空賊に襲われたという緊急ニュースなどを見て、駆けつけたことになります。
　但し、駆け付けるまでに時間がかかります。

３：“黒髭”空賊団に加わっていた
　“黒髭”の強さに惹かれたり、“黒髭”に負けたり、“黒髭”に操られてたりして、空賊団に加わっていたことになります。

４：その他
　現場に合流できるに値する理由を明記することが出来れば、上記３点以外の方法からでも参加してくださって構いません。

　雅羅は美緒を助けようと動きます。
　彼女への助っ人、そうはさせないぜという妨害なども是非。

　皆さんの参加、お待ちしております。

・雅羅の助っ人をする

・美緒を救いに向かう

・“黒髭”空賊団に協力する