蒼空学園

　
　道行く人も、風が吹き付けるたびに背中を丸くする、そんな季節。
　だから、
「お山にピクニックに行こうよっ」
　明夏　灯世子（めいか・ひよこ）に誘われたアゾート・ワルプルギス（あぞーと・わるぷるぎす）は思わず聞き返しました。
「この寒いのに山にピクニック？」
　灯世子が突拍子もないことを言い出すのはいつものことではあるのですけれど、さすがに今回は酔狂にも程があると思ったのです。
「それがね、寒くないんだよっ」
　紅葉も終わってしまった時季なのに、その山はまるで春の暖かさなのだと、灯世子はアゾートに説明します。
「お山は緑で、春の花も咲いてるんだって。そんなに急な山道でもないらしいから、お弁当持ってピクニックに行くのにちょうど良いって思わない？　あたしね、今おむすび練習中なの。よかったらアゾートの分も作ってきてあげるよっ」
　もうすっかり行く気になっている灯世子でしたが、アゾートはごめんと答えました。
「ボク、賢者の石で調べたいこともあるから、ピクニックはやめておくよ」
「ふっふっふー、あたしもアゾートが一生懸命賢者の石を創ろうとしてるのは知ってるよ。だから誘ってるの」
　あのね、と灯世子は少し声を潜めました。

「そのお山が暖かいのは、ヒイロドリのせいじゃないかって言われてるの。確か前、ヒイロドリの羽がどうのこうの、ってアゾートが言ってたの聞いたような気がするんだけど」
「ヒイロドリの尾羽？　うん、もちろん手に入れたいよ」
　ヒイロドリ。
　それは炎に包まれた、火の守りを持つ鳥。
　体長約２ｍ、翼の差し渡しは５ｍ超の、炎の色合いを持つ鳥。
　近づくことも難しいほど熱いけれど、その炎は何物も焦がすことが無く、その瞳は慈愛の赤に澄んでいると言われる伝説の鳥。
「冬なのにお山が春のように暖かいのは、ヒイロドリの炎の魔法力が働いてるからじゃないか、って話してるのを聞いたの。ほんとかどうか分からないけど、ピクニックのついでにちょっとお山でヒイロドリ探ししてみない？」
「そういうことなら、もちろん行くよ！」
　用件が賢者の石に関わるとなれば、アゾートの返事も変わります。
「じゃあ決定ー！　もしヒイロドリを見つけたら、あたしが注意をひきつけてあげるから、アゾートはそのうちに尾羽を抜くといいよ。あたしが抜く方を担当してもいいけど、やっぱ自分で手に入れたいでしょ？」
「うん、ありがとう」
「どうせだったら、みんなをいっぱい誘ってピクニックしよ。その方が楽しいし、ヒイロドリの方を手伝ってくれるって人も出てくるかも知れないもんね。貼り紙作って、あちこちに貼っちゃおう。で、いつにする？」
　灯世子はアゾートと相談して、お山に行くための待ち合わせの時間と場所を決めました。
　さっそく貼り紙作りにかかるから、と身を翻しかけて、灯世子は振り返ります。
「アゾート、お弁当はあたしに任せてねっ」
　そう言うと、灯世子はまたねと手を振って走っていったのでした。
　

　ちょっと間が空いてしまいましたけれど、アゾートの【賢者の石】材料集めのお話です。
　
　今回の材料は、ヒイロドリの尾羽。
　前方でヒイロドリの注意をひいているうちに、後ろに回ってよいしょと引っ張って抜くことになります。飛んでいる時だと尾羽を抜くのは大変なので、狙うのは地面に降りている時。ヒイロドリは飛ぶのは得意ですが、地面を走るのはあまり得意ではありませんので、その辺りも利用できるといいかな〜と思います。
　
　ヒイロドリのまとう炎は熱さを感じるものの、火傷は負わせません。けれど、くちばしや爪の攻撃はぐっさりざっくりきますし、翼による吹き飛ばしも使いますので、ご注意下さいませ。無闇に人を襲う鳥ではありませんが、近づけば警戒されますし、触れようとすれば攻撃してきます。
　逆に、ヒイロドリに対して火の属性は、牽制には使えますがダメージを与えません。
　
　ヒイロドリの尾羽抜きに参加するもよし、暖かいお山でのひとときを楽しむもよし。ですが、ダブルアクションにならないように、行動はＭＣＬＣあわせて１つ（１場面）、でお願い致しますね〜。
　
　
　ではでは。
　皆様のご参加をお待ちしております〜。

・お山でピクニック

・みんなでお弁当

・灯世子といっしょにヒイロドリの注意をひきつける

・アゾートといっしょにヒイロドリの尾羽を狙う

・その他の行動をする