蒼空学園

　機晶都市ヒラニプラ。

　ヒラニプラ南西部に拠点を置く鏖殺寺院の鎮圧作戦の前日のことです。

　とある機晶姫の少女がシャンバラ教導団の一室にいました。
　彼女の名前はフラン・ラクレット。パラミタに生を受けて数年経った機晶姫です。

　体は機械、心は機晶石。少女を模した体に搭載されたのは幾つもの兵器。
　戦うために生まれてきたはずの彼女は、戦闘が苦手で出来損ないの烙印を押された機晶姫でした。
　けれど、そんな彼女にも誇れるべきことが一つだけありました。

　それは、歌を奏でること。

　フランは吟遊詩人や歌姫のように、声や音から魔力を引き出すことが出来ません。
　それでも、彼女の歌はとても上手で聞く人に元気を与えることだけは出来ました。

　しかし、彼女の歌は奪われてしまいました。

『……あれから、もうすぐ一ヶ月が経ちます。
　契約者がいなくなり、私の声が奪われ――全てを失ったあの日から』

　スケッチブックに文字を書き、フランは小暮　秀幸（こぐれ・ひでゆき）と会話をします。
　秀幸はただ黙って、紙面に書かれたフランの言葉を読んでいきました。


　彼女の全てを失った原因は、今回の敵であるヒラニプラ南西部に拠点を置く鏖殺寺院の支部。
　一ヶ月前、フランは鏖殺寺院の構成員の襲撃に合い、声帯の部品を奪われてしまいました。

　そしてフランの契約者は鏖殺寺院に脅され、彼女の部品のために身を捧げ。
　強化人間へと改造され、鏖殺寺院に逆らえないよう記憶を改竄されてしまったそうです。


　フランはそこまで秀幸に説明し終えると、ぽつりぽつりと涙を流しました。

『……知っています。私の歌をあの人は忘れてしまったでしょう。
　それでも、それでも――もし、願いが叶うのならば』

　次々と大粒の涙が紙面に落ち、じんわりと広がっていきました。
　慟哭を上げる声は存在せず、ただひたすら泣き続けます。
　そして、小刻みに震える手でフランは文字を書きました。

『もう一度、声を下さい。もう一度、歌わせてください。
　信じています。私の歌はきっとあの人に届くのだと――』

　こんにちは。初めましての方は初めまして。
　この度、シナリオを担当させて頂く小川大流です。
　よろしくお願い致します。

　今回の目的は二つあります。
　鏖殺寺院の鎮圧とフランの契約者の説得です。
　皆さんで協力してこの鎮圧作戦を成功させて下さい！

　ここからはシナリオガイドに書かれていない補足情報になります。


　――――――――――


■ヒラニプラ南西部に拠点を置く鏖殺寺院

　最近になり台頭してきたヒラニプラ付近の支部です。
　鏖殺寺院の構成員により形成されています。
　また、オークも大多数従えられており、結構な数の戦力が駐在してる様です。
　内部では大きく分けて以下の三つの部隊に分かれているようです。

●鏖殺寺院の支部長の男性、レヴェックが率いる部隊

　一番大きな戦力を要する部隊です。
　テクノクラートのレヴェックを筆頭に、多くの鏖殺寺院の構成員とオークで構成されています。
　前線で戦うとすれば、この部隊と衝突することになるでしょう。

●鏖殺寺院の副支部長の女性、スティルが率いる部隊

　二番目に大きな戦力を要する部隊です。
　ドルイドのスティルを中心とし、オークで構成された好戦的な部隊です。
　倉庫で待機しているため、声帯を奪い返すためにはこの部隊と戦うことになります。

●フランの契約者の少年、煤原　大介が率いる部隊

　三番目に大きな戦力を要する部隊です。
　スナイパーの大介に率いられたこの部隊は、鏖殺寺院の構成員により形成されています。
　特定の場所につかず遊撃で動いているようです。
　フランを護衛するためには、この部隊と戦わなければなりません。

◆煤原　大介

　鏖殺寺院の忠実な構成員となっています。
　記憶が改竄されているため、フランのことは覚えていません。
　ですが、記憶の改竄も完璧ではないようで、何か強いきっかけがあれば過去を思い出すことが出来るかもしれません。

◆ＮＰＣ

　フランは戦闘がからっきしのため戦闘には介入しません。
　小暮　秀幸は後方支援に当たっているため戦闘には参加しません。
　

・鎮圧作戦の前線で戦う

・フランの声帯の奪取をする

・フランを護衛する