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空の独り少女

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シナリオガイド

閉ざされた世界から、少女を救え!
シナリオ名:空の独り少女 / 担当マスター: 村野憂規

 「貴方は此処に来れるんだね……」
 声が聞こえる。身体は空にあった。
「私が見えるのかな?」
 青に染まる空、天空には疎らに小さな雲があるだけで何も無い。そう思っていた。
「ねえ、私が見える?」
 その声を探そうと辺りを見回す。視界の端に建物が映っていた。先程からあったのかは分からない。だが、それは其処にあった。

 目を凝らし、それを見つめた。それは古城だった。天空にただ一つ浮かぶ古城。
 近づきたいと願うと、引き寄せられているのだろうか身体が古城へと近づいていく気がした。
「貴方の顔が見えるよ……」
 城の窓が砕け、開け放たれている場所があった。
 其処には少女が立っていた。黒髪のお人形の様に可愛らしい少女だ。
 その少女は寂しそうな、泣きそうな顔で此方を見ていた。
「……私の声が聞こえていないの?私が見えないの?」
「……」
 声は出なかった。懸命に喋ろうとするが、声は出てこない。
「返事をして……」
 悲しい声が聞こえるが、どうして良いのか分からなかった。
 せめて少女に少しでも届く様にと手を伸ばしてみるが、少女との距離は次第に離れていった。
 だが、その様子に少女は少しだけ笑顔になった。
「見えてるんだね……私のこと……」
 頷くと少女は此方に手を振り返した。
「ねえ……また来てくれるよね?」

 雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)はベッドから起き上がると、周りを見渡した。
 何時もと変わらない部屋の景色、自分は空になど浮かんではいない。
「……夢?」
 隣にある目覚まし時計に手を掛ける、鳴る少し前の時間だ。
「起き……よう……」

 ――蒼空学園。
 「俺に相談なんて珍しいな……悩み事か?」
 山葉 涼司(やまは・りょうじ)は校長室にやって来た雅羅を見つめた。
「……最近同じ夢を見るんです」
「毎日同じ夢を見る?へえ、また珍しいな」
 椅子を軋ませ、涼司は深く腰掛けた。
「それで?」
「空にあるお城から女の子が私に手を振ってくれるんです。でも此方からは話し掛けられなくて……手を伸ばすんです。でも届かなくて……」
 涼司は何も無い天井を見上げている。
「その子は何をしたいんだろうな……」
「いつも寂しそうな顔をしていました。ずっと一人なのかもしれません」
 顔を伏し気味に雅羅は床を見つめた。
「囚われているのか?」
「分かりません」

 「異世界か……」
 考える様に涼司は腕を組んだ。
 「雅羅、お前のカラミティに向こうが魅かれているのかもな」
「私のカラミティに魅かれている?」
「可能性はある。だが――」
 其処で涼司は話を切った。

「雅羅、お前はどうしたい?」
 雅羅は顔を上げ涼司を見た。鋭い視線を涼司は雅羅に送っていた。
 雅羅は思わず目を逸らしてしまう。
「どうしたいとは?」
「その女の子に何をしてあげたいのか、俺に教えてくれ」
「私は……」

「私はその子が寂しいなら、癒してあげたい。困っているなら、助けてあげたいです」
 逸らした視線を再び戻し、雅羅はしっかりと涼司を見ていた。
「そうか、それが聞ければ十分だ」
 先程とは変わって涼司は満足そうに微笑んだ。
「雅羅、悪いが海を呼んで来てくれるか?」


 「何でオレが呼ばれるんですか?」
 高円寺 海(こうえんじ・かい)が不満そうに涼司を見た。
「ごめんね、海」
 申し訳なさそうに雅羅が海を見る。
「いや。雅羅に協力するのは構わないんだが、この人が絡むとな……」
「まあそう言うな、異世界って好きだろ……」
「くっ……」
 苦々しげに海は顔をしかめる。
「宜しくな」

 「この世界に干渉出来る者がいるとは……」
 空に存在する唯一の古城。古城の主は一室から空からの来訪者を見上げた。風貌は老翁と呼んで差支えないだろう。
 老翁は城の少女へと懸命に手を伸ばす雅羅を睨んでいた。
「我だけの空、我だけの世界……失うわけにはいかぬ!」
 殺意を孕んだ老翁の視線に雅羅は気付くことは無かった。
 次第に離れていく来訪者を目で追うのを止め、開け放たれた一室から懸命に手を振る少女に視線を移した。
「我の世界を維持するために手に入れたアレを渡すものか……」

 老翁は身を翻すと階下へ向かい声を上げた。
 「骸達よ!目覚めよ、城の主の証を持つ我に従え!我と娘を護るのだ!」
 紅い絨毯が黒く染まり、かつて人であった者達が黒い染みから湧き出していた。
「アレは渡さぬ」

 端末から目を上げると、涼司は雅羅に端末を突き付けた。
「体育館を予約した。それと各校に一緒に寝てくれる人の募集案内を出しておいた。明後日、夢の調査に向かう」
「ありがとうございます」
「体育館で皆で昼寝だ。雅羅のカラミティが向こう側へと俺達を引き込む筈だ」


担当マスターより

▼担当マスター

村野憂規

▼マスターコメント

 こんにちは、または初めまして、そしてお久しぶりです。村野憂規です。
 このシナリオに興味を持って頂き、ありがとうございます。

 本シナリオは雅羅からの依頼で、夢の世界の少女に会う事、原因の解明がメインの目的となります
 涼司は各校へ募集の案内を出していますので、学校による区別はありません。どの学校の生徒も参加できます。

 夢の中で雅羅は空を飛んでいましたが、今回はお城の敷地内からスタートするので空を飛ぶことは出来ません。

 涼司達は雅羅が出会った少女に会う為に夢の世界へと向かいますが、
 老翁が骸(ゾンビ)達を呼び出し接触を阻んできます。ゾンビ達は知能は低く、単純な行動しかしません。
 例としては、お城に入ったキャラ達を襲う、または追い掛ける程度の事しか出来ません。
 
 アクションを掛ける際は、
1.少女も夢を見ているのか、
2.この世界の住人なのか
3.老翁の目的
 について予想して書かれても良いと思います。
 

アクションとしては、以下の様なものが考えられます。

1.お城を冒険する
2.寝ている皆を護る
3.少女を探してみる 
4.涼司達と一緒に調査を行う
5.骸達と戦う
6.老翁の目的を調べる


皆様の豊かなアクションをお待ちしております。
 

▼サンプルアクション

・雅羅と一緒に調査を行う

・海の護衛をします

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年04月21日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年04月22日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年04月26日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年05月22日


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