ツァンダ東部の森。そこには魔女の住む家があります。
人里から離れて暮らす魔女、ルーノは友達のクウといつものようにお茶会を開いて過ごしていました。
「ルーちゃんの紅茶はおいしい」
「私の腕がいいからね〜」
他愛無い世間話をしていると外から何人もの足音が近づいてくるのが聞こえてきます。
「本当にあったぜ」
「ああ、噂通りだったな」
「今日は楽な仕事になりそうだぜ」
ドン、という扉を叩く音が部屋に響きました。
それはノックというには乱暴すぎるものでした。
「鍵がかかってやがる!」
「魔女一人が暮らしてるわりに用心深いな」
どう考えても客人には思えません。
怯えて足がすくんでいるルーノの手を取ったクウは窓から外に出ました。
「今なんか聞こえなかったか?」
「ガキどもがいたぞ! こっちだ!!」
二人の姿を見つけた男たちが近寄ってきます。
クウたちは森の中へと逃げ込みました。
男たちのうち何人かが彼女たちを追いかけて森へと姿を消しました。
書類を整理していた久瀬稲荷(くぜ いなり)のもとに擦り傷だらけのルーノがやってきました。
「いったいどうしたんです?」
「たすけて! くーちゃんが大変なの!!」
「何があったのか話してくれますか」
「変な男たちが家にやってきて……」
ルーノの話を聞いた久瀬は二人が山賊か野盗の類に襲われたということが理解できました。
彼女の住んでいた家に戻ってみると無残なものでした。
家の中は荒らされ、食べ物や金目のものが奪われ、ルーノの収集品であった茶葉は床にばらまかれてました。
「これは……ひどいですね」
「くーちゃん大丈夫かな……」
「森の中を逃げているうちにはぐれてしまったのでしたか」
「私が逃げきれたから平気だとおもうけど」
襲ってきた謎の男たち。はぐれてしまったクウ。蹂躙された住家。
ルーノたちはクウと再会できるのでしょうか。
そして元の生活に戻ることができるのでしょうか?