蒼空学園

　――空京大学基地。

　空京大学の学長嵐を起こすもの　ティフォン（あらしをおこすもの・てぃふぉん）は、その巨体故に学長室に入ることが出来ず、空大のイコン基地を学長室代わりに使用しています。

「君は“金の道”という財宝を知っているかね？」
「いえ、存じておりません。不勉強で恐縮です」

　空京大学の教授アクリト・シーカー（あくりと・しーかー）はティフォンに呼び出されていました。

「いや、君は数学者だ。畑違いの質問で、試したようでワタシの方こそ済まなかった。だが、君が知らないということは、まだまだ認知されていないということでもある」
「と言いますと？」
「金の道とは、ワタシがここに来る前に棲んでいた、アトラスの傷跡にあるアムリアナの聖廟のことだ。あそこはアムリアナも気に入っており、シャンバラ古王国崩壊後もずっとワタシが守り続けていた場所でもある」

　アクリトに説明するティフォンの表情は、どこか昔を懐かしむような、とても穏やかなものでした。
　アムリアナとは今のシャンバラ女王アイシャ・シュヴァーラ（あいしゃ・しゅう゛ぁーら）の一代前、古代シャンバラ王国が崩壊した時の女王です。ジークリンデ・ウェルザング（じーくりんで・うぇるざんぐ）として現在に蘇りましたが、その女王としての力と記憶は、現女王アイシャへと受け継がれています。
　アイシャでもジークリンデでもなく、わざわざアムリアナと言うところをみると、ティフォンは5000年以上前のアムリアナとの思い出を思い浮かべているのかもしれません。
　しかし――。

「何処で聞き付けたのか、ドージェが踏み込んできて以降、盗掘しようとする輩が後を絶たないのだよ」

　ドージェの名前を口にすると、一転して不機嫌になりました。
　金の道という名前もそうですし、強力無比なティフォンが守り続けていたアムリアナの聖廟ともなれば、その奥に財宝がごまんと眠っていると想像するのも無理はありません。
　しかもティフォンは一度土が付いており、「１人では敵わないが、集団で当たれば勝てるのでは？」とも思われてしまっているようで、噂を聞き付けた盗掘者が定期的にやってきているとのことです。

「ワタシは立場上、そうそう戻ることが出来ない。そこで君に金の道の防備強化と盗掘者の排除を任せたい」
「分かりました。とはいえ、私もその方面に明るいとは言えません。得意とする契約者に依頼します」
「判断は君に任せる。よろしく頼む。気になる者がいれば、金の道を見ても構わぬ。ただし、あれは月の出ている夜にしか見られないから、見るのであれば注意するように」


「で、あたしに陣頭指揮を執れ、と」
「君ならこの手の工作や排除はお手の物であろう？」

　ティフォントの話を終えてイコン基地を出たアクリトは、その足で空大内のトレーニングルームに居るセイニィ・アルギエバ（せいにぃ・あるぎえば）の元を訪れました。

「排除はね。工作はあたしよりパッフェルの方が得意よ。居ない娘の話をしても始まらないし、頼られるのは悪い気はしないわ。いいわ、暇だし受けてあげる」
「そう言ってくれると助かるのだよ。同行する契約者への依頼は私から出しておくのだよ」
「そっちはお願いするわね」


　数時間後、アクリトの名前で各校の掲示板に、「アムリアナの聖廟の防衛者募集」の依頼が告知されました。

　どうも、ゲームマスターの袋小路愚太郎です。

　このシナリオは、“金の道”と呼ばれるアムリアナの聖廟を防衛するのが目的です。
　アクリトは全学校に依頼を出していますので、どの学校の生徒も気軽に参加して下さい。
　ティフォンやアクリト、セイニィと面識のない方の参加も大歓迎です。

　このシナリオでは以下の行動が取りやすくなっています。
　もちろん、他にも行動が思い付きましたらアクションとして掛けて頂いて問題ございません。

１．金の道を防衛する
　金の道はアトラスの傷跡の麓にあります。
　詳細な場所は一般的には広まっていませんが、盗賊やならず者達の間で噂が広まっており、アムリアナの財産を狙って一攫千金を求める者が定期的に盗掘に来ます。

　セイニィと共に盗掘者を排除してください。
　今回盗掘に来るのは

・武装盗賊団
　強力な火器で武装した盗賊団です。数こそ多くありませんが、中堅PC並みの武装をしており、攻撃力は高いです。

・パラ実生を名乗る蛮族
　ドージェの信奉者で「ドージェがティフォンを倒した場所」として聖地巡礼に来ようとしています。
　武装はバトルアックスや血煙爪、アーミーショットガンですが、身体能力が高く、トリッキーな動きを得意とします。

　撃退が目的ですが、平和的に解決できればそれに越したことはありません。


２．防衛設備を整える
　金の道に盗掘者を追い返すトラップを仕掛けて、防衛力そのものを高めます。
　ただし、金の道には電気はありませんから、電動の仕組みは「機晶石のエネルギーが持つまで」となります。
　ですので、動力に頼らないトラップの方が長持ちします。

　以下はトラップの一例です。

・アロースリット
　壁の中に弓矢を設置しておき、盗掘者がスイッチとなる床を踏んだり、ロープに足を掛けると自動的に発射する。

・Ｔピット（落とし穴）
　穴を掘って底に槍などを立て、草葉で入口を覆う。底は槍以外にもマグマ溜まりなども利用できる。

・ローリングストーン
　壁に巨大な丸い岩を隠しておき、盗掘者がスイッチとなる床を踏むと壁が崩れて岩が転がり出る。

　施工に必要な物資はティフォンが用意しますが、立地的に重機などは入りませんので、基本的に手作業になります。


３．盗掘者を手伝う
　盗掘者側に付いて、一攫千金を狙うことも可能です。
　ただし、素性がばれると放校処分になる可能性もありますのでご注意下さい。


○金の道について
　アトラスの傷跡の麓にある岩で出来た洞窟です。
　中はティフォンが入れるくらい広い場所もありますが、狭かったり、曲がりくねっていたりする場所もあります。
　また、火山が近いことから、マグマ溜まりなども見ることができます。
　岩盤は固めです。


○金の道を見たい場合
　盗掘者の防衛に成功した場合、金の道を見ることができます。
　見たい方はアクションに「金の道が見たい」と書いて下さい。
　今回に限りダブルアクションとは見なさず、金の道を見ることが出来ます。

・金の道を防衛する

・防衛設備を整える

・盗掘者を手伝う