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All I Need Is Kill

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シナリオガイド

全ては自分を殺すために――
シナリオ名:All I Need Is Kill / 担当マスター: 小川大流

 ※本シナリオは非常に特殊かつ凄惨なシナリオとなります。
マスターコメントをよくお読みの上、参加してください。※


 とある日のお昼前の空京。その街外れにある小さな教会に、仁科 耀助(にしな・ようすけ)が宅配のバイトで荷物を配達しに来ていました。

「すいませ〜ん!」
「あー、耀助さん。いつもご苦労さまですぅ」

 修道服に身を包んだ小動物のようなシスターが、教会の扉を開けて耀助を出迎えます。

「いつもいつも、御免なさい。こんな外れまでご足労願ってしまって」
「いやー、大丈夫です。オレはシスターに会えるだけで十分ですから!」
「……ふふ、耀助さんはお上手ですねぇ」
「ほんとですって。あ、もし良かったらこれでバイトも終わりなんで、一緒にお茶でもどうですか?」
「お誘いは嬉しいんですけど、御免なさい。最近はめっきり物騒ですから、外出を許されていないんですぅ」

 そう言うとシスターは目を伏せました。
 その理由は最近立て続けに起こっている『神隠し』と称される連続誘拐事件。
 現にここの教会の修道女も三人その事件の被害に合い、今や目の前のシスターと壮年の神父、ここに引き取られた孤児の幼い少女だけになっているのでした。

「……あー、そうでしたね。すいません」
「いいえ、気にしないで下さい。はやく事件が解決して、あの子達も戻ってくれればいいのですが……」

 沈痛な面持ちのシスターに、耀助が笑いかけます。

「きっと、大丈夫ですよ。すぐに解決して、皆さん元気に戻ってきますって」
「……そう、ですよね。ありがとうございます、耀助さん」
「いえいえ。あ、ここに荷物を置いておきますね。それではー!」

 耀助はそう言うと踵を返して、教会を後にしました。

 ――――――――――

 時間は少し進み、お昼。

「そこのお嬢さ〜ん。オレとそこの喫茶店でお茶しな〜い?」

 耀助はバイトが終わり早速空京の繁華街に出向き、ナンパに勤しんでいました。

「あ、そういうの結構ですから。これ以上近づかないでください」
「えー? そんな釣れないこと言わないでよ〜、お嬢さ〜ん」
「しつこい!」
「ウボアーッ!」

 声をかけた女性に頬をしばかれた耀助は、道路にうつ伏せに倒れました。
 燦々と輝くお日様の光を浴びて、頬を押さえた彼の目尻に溜まった涙が乱反射します。

「ううー、これで十回目か。何でこうも失敗すんのさー」

 不満そうにそう呟きながらも、耀助はゆっくりと身体を起こしました。
 周りの好奇の視線を浴びながらも、何度張り倒されようとも、彼は何度でも立ち上がるのです。

「うしっ、もう一度もういちど。時間はまだまだあるんだから――っと、あれは……」

 立ち上がった耀助の視界の端に、シャンバラ人の幼い少女が目に留まりました。

「シスターのところのナタリーちゃんだよね。……確かシスターは外出が許されてないって言ってたけど、何してるんだ?」

 耀助は不思議そうに首を傾げます。
 と、同時。雑踏に紛れて小型の刃物を持った成人の男性が、ナタリーに近づきその武器を振り上げました。

「ちょ、危ねぇ――!」

 耀助は戸隠流忍術を使い、その男との間合いを一気に詰めます。
 そしてナタリーに凶刃が降りかかるより先に腕を掴み、日頃の修行で鍛えた強烈な蹴りを男性に浴びせました。

「ッ!? 邪魔が、入ったか」

 耀助の蹴撃を直撃した男は、そう吐き捨てるとすぐさま撤退しました。
 それを見送った耀助は振り返り、恐怖で泣き顔になるナタリーに笑いかけます。

「大丈夫? ナタリーちゃん」
「あ、ありがとう……ございます。耀助さん」
「そりゃ重畳。最近の空京は物騒だから、早く教会に帰ったほうがいいよ。良かったら送ってくけど?」

 耀助のその言葉に、ナタリーは僅かに頭を横に振ります。
 そして代わりに、大きな瞳で耀助を見上げ意を決したように口を開きました。

「ごめんなさい、耀助さん。私、シスターに頼まれたことをしなくちゃいけないんです」

 そして、ナタリーは言葉を続けます。

「だから、それまで私を守ってくれませんか?」

 ――――――――――

 空京の郊外。時空の歪と共に現れた複数の契約者がいました。

「まずは、失敗してしまいましたか。……それにあの子の周りには、いくらかの契約者が集まってしまった。
 これでは最小限の被害で事を済ますことが出来ない。ここからは、大きな戦いになってしまう」

 その中の一人。凛とした美貌の女性が悔しそうに呟きました。
 そして彼女は振り返り、同じく未来からやって来た契約者達に言い放ちます。

「……十年の時を経て、私達はもう一度ここにつどいました。
 私達の目的は同じ。大切な人を失ったあの惨劇を、あの化け物を召喚させないために、過去を変えること」

 彼女は硬い声で言葉を紡いでいきます。

「もう迷いはしない。だから、今ここに宣言しましょう。私達はこの手で未来を掴むために、戦いを始める」

 一言、一言、区切るようにはっきりと。

「すべきは、忌まわしき惨劇の防止。望むは、平和な未来。果たすは、過去の過ち故に」

 自分と周りの者達に言い聞かせるように。

「動きましょう」

 彼女が腰元の拳銃を引き抜くと共に、周りの契約者も各々の武器を手に持ちます。

「そう。その全ては」

 そして決意を込め、天高く振り上げました。

「惨劇の原因である過去の私を、殺すために――!」

 ――――――――――

 同時刻、空京の外れのとある廃墟。
 教会の修道服に身を包む少女が動けぬよう切り刻まれ、彼女の血液で描かれた魔法陣の中心で横たわっていました。

「こんなところでいいか。これで目的は達成したしな」

 スーツに身を包んだ金髪の少女はそう呟くと、踵を返します。
 その途中で、刀身が真っ赤に染まった大型の狩猟刀を持つ女性に声をかけました。

「そいつはもう用済みだから、煮るなり焼くなり好きにしな」
「そう? じゃあ、お言葉に甘えようかしら」

 彼女の声に呼応して背後に血の塊のように濁った双眸の化け物が現れます。
 それは生き物でありながらおぞましいほど醜悪で、また見るだけで嫌悪感を抱くほど醜怪でした。

「貪り尽くしてもいいわよ、モルス」

 彼女の言葉の終わりと共に、赤い瞳の化け物が瀕死の少女のあちこちが噛み千切られます。
 やがて全身を無残に喰らい尽くし、少女だった肉の塊から飛び散る鮮血が、彼女の端正な顔に付着しました。

「あーあ、汚いわね。もっと綺麗に食べなさいよ」

 彼女はそう言うと、喰い散らかされた少女の死体から目を離して、窓から見える抜けるような蒼穹を見上げました。

「そろそろあの子も動き出す頃合かしら?
 ……嬉しいことに今日はこんなにも晴れてるのだから、とても楽しい一日になりそうね」

 彼女は返り血で濡れた唇を指先で拭い、くく、と悪魔じみた笑みを浮かべました。

「さあ、残る生贄はあと少し。
 それで空京を巻き込むゲームはハジマルわ。貴方達は果たして、生き残れるのかしらね?」

担当マスターより

▼担当マスター

小川大流

▼マスターコメント

 こんにちは。初めましての方は初めまして。
 この度、シナリオを担当させて頂く小川大流です。
 よろしくお願い致します。

 このシナリオには三つの勢力があります。また、それぞれに目的があります。

 仁科 耀助に協力する者達は、幼い少女を守ること
 未来からやって来た部隊は、これから起こる惨劇を阻止すること
 第三の勢力であるウォルターとヴィータは、これから起こるゲームの準備を

 死者が続出する可能性があるため、本シナリオについては【パラレルワールド】とさせて頂きます。他のシナリオに本シナリオの結果が波及することはありません。
 また、この未来からやってきた部隊として戦う場合、プレイヤーは『未来で化け物に殺された誰かを救うために、未来からやってきた「シナリオ オリジナルのPC」』としてもアクションを掛けることも出来ます。


 ここからはシナリオガイドに書かれていない補足情報になります。

 ――――――――――

神隠し事件

 最近空京で多発している連続誘拐事件です。
 今のところ行方不明者は十一人で、捜査は難航しています。
 最も被害の多いのは耀助が訪れた教会なので、この事件を調査する方はシスターや神父に話を聞くといいでしょう。

ナタリー

 教会に引き取られた孤児で、十歳のシャンバラ人です。
 非力なので戦闘は出来ません。シスターに何か頼まれているようです。

凛とした美しい女性

 十年後の未来からやってきた未来人です。名前はホープといいます。
 クラスはウィザードで、人並み外れた魔力を有しています。過去を変えるために未来からやってきました。

スーツに身を包んだ金髪の少女

 クラスはトランスヒューマン。武器は拳銃と体術。名前はウォルターです。
 とある依頼を受けて動いている、戦闘狂の便利屋です。戦闘に関しては天才的なセンスを持っていますが、戦闘経験は少ないようです。

刀身が真っ赤に染まった大型の狩猟刀を持つ女性

 クラスはコンジュラー。武器は大型の狩猟刀。名前はヴィータです。
 ウォルターと同じように動いています。数多の修羅場を潜ってきており、嵐のフラワシである『モルス』を使役します。

惨劇を起こした化け物

 複数人の生贄を捧げることで現れる、禁忌の魔法により召喚される恐ろしいモンスター。
 その様相はあまりにも醜悪で巨大な図体を持ち、街を壊すほどの力を持っています。
 禁忌とされる所以はその凶悪さですが、同時に莫大な魔力が必要とされるため、シャンバラの歴史に現れたのは一回限りです。

▼サンプルアクション

・仁科 耀助と共に行動する

・未来からやって来た部隊で戦う

・ゲームの準備

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年06月12日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年06月13日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年06月17日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年06月29日


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