蒼空学園

「待っていてください、ハイナっ！」
「ふさひめぇ……っ」

　しとしと雨の昼下がり、校長室から飛び出した葦原房姫（あしはらの・ふさひめ）。
　ハイナ・ウィルソン（はいな・うぃるそん）の制止も効かず、とても焦っているようです。

「ん？」
「なになに？」

　そこへ通りかかったのは、新入生の２人組。
　仁科耀助（にしな・ようすけ）も龍杜那由他（たつもり・なゆた）も、興味津々で部屋を覗きこみます。

「なっ、よいところに！」
「２人とも、房姫を追ってくれっ！」
「はっはいっ！」
「っちょ、燿助っ！？」

　最初に気付いたのは、ゲイル・フォード（げいる・ふぉーど）でした。
　丹羽匡壱（にわ・きょういち）も、耀助と那由他に呼びかけます。

「うぅっ……妾はよい……ふさひめをっ……」
「それでは、私達も参りましょうか」
「あぁ。
　ハイナのこと、頼んだぜ？」
「かしこまったヨ〜」
「２人も気を付けるでござるよ！」

　苦しむハイナを一瞥すると、ゲイルと匡壱は立ち上がりました。
　枕元に座る、ティファニー・ジーン（てぃふぁにー・じーん）と。
　真田佐保（さなだ・さほ）も、難しい表情のままに送り出します。

「よいしょっと、水でも飲むのヨ！」
「うぅ……すまぬえ……」
「しかし幸か不幸か、この病にかかったのがハイナでよかったでござるな」
「ミー達だったら生命も危なかったかも知れないしネ」
「さて、ちょっと寝るでござる」
「うむ……そう……だな……」

　ハイナが伏せっているのは、とある病気の所為でした。
　感染力が極めて弱く、契約者間で移るのは稀のこと。
　しかも材料を集めるのがたいへんなため、薬は常備されていません。
　先の３名は、そんな薬の材料を探しに出たのです。

「う〜ん……」
「どしたノ〜？」
「……ちょっと来るでござる」
「にゃ？」

　ハイナが眠ったことに安心して、襖を閉める佐保。
　悩むさまに、ティファニーも首を傾げます。

「いや、房姫の無事が気になるのでござるよ」
「確かに……あの辺りには最近、巨大な鳥の群れが棲み着いたという噂ネ」
「そうでなくともがたがたで険しい道なのに、でござる。
　あの２人だけでなんとかなればよいでござるが……」
「だったらサ……」
「ん？」
「校内放送で呼びかければいいんじゃないカ？」
「そうでござるな！
　ティファニー、たまにはいいこと言うでござる！」
「たっ、たまにはは余計だヨ〜！」

　珍しく採用されたティファニーの案に則り、佐保は放送を流しました。
　曰く、ハイナの治療に使う薬の材料をとりに奔走する房姫を助けてくれと。
　ついでに、もう一方にも少し助力が欲しいと付け加え。

「房姫は、燿助に那由他とともに裏裏山の頂上へ向かっているのでござる」
「そこにしか生えていない薬草が必要で、房姫にしか見分けはつかないんだヨ〜！」
「匡壱とゲイルは海へ、それも沖の小島へ行こうとしているのでござる」
「小島の海岸にしか棲息していない甲殻類が必要ナノ〜！」
「ハイナと房姫の危機は明倫館の危機でござる！」
「一緒に乗り越えて欲しいのネ！」

　かくして、幾名かの生徒達が校長室を訪ねてきたのでした。

このシナリオには、学校を問わずどなたでも参加が可能です。

ＭＣとＬＣの行動は、同じものでも異なるものでも構いません。
それぞれにおいてどのように立ちまわるかは、皆様の自由です。
キャラクターらしさの出る行動をおとりください。
台詞や心情表現も含め、具体的なアクションであればあるほど採用率が高くなります。
目的達成のために必要な道具などをお持ちになられる場合は、アクションにてお知らせください。
ほかのキャラクターやＮＰＣと絡みたい場合も、相手の名前を明記してください。

ＮＰＣ
　房姫、燿助、那由他の３名は、明倫館の裏裏山へ出発しています。
　ゲイル、匡壱の２名は、沖の小島へ行くために海を目指しています。
　ハイナは、校長室にて寝込んでいます。
　ティファニー、佐保の２名は、看病中です。

それでは、皆様のご参加とアクションをお待ちしております。

・房姫と行動をともにする。

・海へ向かう。

・裏裏山へ先回りする。

・看病を手伝う。