蒼空学園

「ぐぽっ…ごぼぼぼ…ぇっげっふぉげっふぉげっふぉ」

「……お前それ、冗談でやってんの？」


　ここはある日の蒼空学園の学内プール。
　高円寺海（こうえんじ・かい）はプールサイドで沈んで行く友人を見下ろして、心底呆れた表情を浮かべて言い放ちました。
　溺れかけていた張本人であるジゼル・パルテノペー（じぜる・ぱるてのぺー）はプールから半べそをかきつつ這い出して抗議します。
「一体何処の世界に冗談で溺れるコが居るのよ！」
「一体何処の世界に泳げないセイレーンが居るんだよ！」

　そう、ジゼルは海で生まれた生き物セイレーンにも関わらず水泳がまるで駄目でした。
　今まさに水泳のテストだというのに、彼女の実力はと言えば目標の２５メートルどころか、５メートル進むのもままならない程です。
「正直自分でも信じられないけどでも尾ビレじゃなくて足になった途端どうやって泳いだらいいのか分からなくなっちゃったの！」
「そりゃぁ良かったな。頑張って明後日の再テスト受けてくれ」
「その再テストまでに今ので何とかなると思う！？」
「思わない」
「……だよね」

　触らぬ何とか祟り無し。そのままジゼルを置いて行こうとした海ですが、足を取られて前のめりに転びそうになってしまいます。
「おまっ！」
「カイえも〜ん！！　どうしようこのままじゃ私赤点取っちゃうよ！　何とかしてー！！」
「………………はぁ……。
　しょうがないな。明日の授業の後、プールの使用許可貰っておけよ」
「やったー！　ありがとう！」
　輝くばかりの笑顔でプールサイドを駆けて行くジゼルの背中を見ながら、海の隣に立つ人物が不敵に笑っています。
「……アキレウス？　どうかしたのか？」
　海の問いに、アキレウス・プティーア（あきれうす・ぷてぃーあ）は何も無いと首を振りましたが、



　当然何もないはずは無かったのです。


＊＊＊


「な、何じゃこりゃ〜！！！」
　翌日。プールにやってきた海とジゼルは入り口をくぐって驚きの声を上げました。

　もの凄い勢いで流れる水。
　見えない高さまである天井、の近くにある飛び込み台。
　極めつけは外へ飛び出したウォータースライダー。
　そして何処からか怪しい鳴き声の聞こえてくるプールは、すでに学園のプールの原型をとどめていません。
「こ、これはどういう……！　まさかアキレウスお前っ」
「一体こんなのどうやって……」
「何、新婚ホヤホヤでぐんにゃりニヘニヘしているヤツに頼んだら簡単だったぜ。
　あのマンボウより酷いフォームを明日迄に完璧に泳げる様にしなければならないんだから、これでも足りないくらいだ」
　口をあんぐり開いたままの海とジゼルの背中をバンッと叩いて、アキレウスは笑顔でこう言いました。


「さあ、訓練を始めようぜ！！」
　

　シナリオガイドに目を通して下さってありがとうございます。
　今回のシナリオでは、とんでもない事になってしまったプールで、
泳げない方は再テストをクリアする為、そんな友達をサポートする為、全然関係無いけど楽しそうだから！等など、
　全体的に軽いノリで楽しんで頂けると幸いです。

※舞台は蒼空学園のプールですが、すでに学園のプールの原型をとどめていないのでどなた様もご参加頂けます。


＊＊＊


・以下、アキレウスに改造されてしまったプールの詳細と特訓内容です。
　特訓の参加は１PC様１つ〜２つまででお願い致します。


【ウォータースライダー（おちたらしぬ）】
　建物からはみ出して校内のありとあらゆるところをウォーターチュープが走っているスライダーです。
　水に慣れる為の訓練ですが、上半分が空いているので高い所から落ちたら死にます。
　バディを組む、ゴムボートで皆で川下り状態で降りる等も可能です。

【超☆流れるプール】
　文字通り水が超流れているプールです。スピードや波の高さ変幻自在。
　教官が飽きる迄流され続け、その間溺れない様に頑張る訓練です。

【スカイダイビング飛び込み台】
　高度四千メートルにある飛び込み台から飛び込み、度胸をつける訓練です。
　まずは無事に水に飛び込める様に頑張りましょう。

【海獣プール】
　９本の触手を持つ女の子が大好きな謎の海獣が潜むプールです。
　ここでは全力で向こう岸まで泳ぐ訓練をします。


＊＊＊


・NPCの行動について

【高円寺　海】
　教官（やけくそ）です。やや巻き込まれ気味なので、本人も被害を被ってしまうかもしれません。

【アキレウス・プティーア】
　教官（ノリノリ）です。全ての訓練を指導しています。楽しんでいます。

【ジゼル・パルテノペー】
　全ての訓練へ強制的に連れて行かれてしまいます。酷い目に遭っている気もしますが、本人は赤点を取らない為に必死です。
　

・再テストクリア！

・海獣戦闘！

・皆をサポート！

・スパルタ教官！