蒼空学園

「調理実習、か」
「はい！」
「基礎はできていると思うしなぁ。ただの実習はおもしろくないし、そうだな……秋、だしな」
「秋、ですよ。おいしいものがたくさんあります。だからこそおいしいものをおいしく食べる為に調理実習するんです！」
「調理法が同じなら食材は問わないか？」
「と言いますと？」
「うーん。おにぎりの具がおかかなんだが、鮭に変えても良いみたいな」
「例えがよくわかりませんが、そう、ですねぇ。作り方が一緒なら多少変わってもいいかもですね」
「では、食材はこっちでできるだけ提供するから、中身は生徒に考えさせるってのはどうだ？」
「へ？」
「これを作ろうと銘打って、手順は同じだから中身は自分らで自由にさせるんだ」
「自由に、ですか」
「もちろん、テーマは「秋」だ」
「テーマなんて持ちだして、なんかコンテストみたいですね」
「おお。そうだな。じゃぁ、一番おいしかったやつは期間限定で学食のメニューに追加しよう」
「コスト面とか重視しないとですね」
「だが、あくまで料理実習、だ」
「オプションなんか付けてコンテストっぽいんですけど」
「あくまで実習だ。皆で作って皆で食べる！　基本だろ？」



告知。

　家庭科室にて調理実習を行います。
　内容は以下の四点です。

　和食――釜飯
　洋食――パスタ
　中華――炒め物
　野外――カレー

　食材はこちらで秋のものを中心に揃えておりますので、使用する材料は自由に選んで構いません。
　好きな食材でおいしい料理を作りましょう。
　なお、多彩な品数になると予想されますので、同時に試食会を開催したいと思います。
　つきましては高評価だった料理は期間限定で学食メニューに追加する予定です。
　参加する生徒は参加用紙に調理実習の参加、試食会の参加にマルを付けて担当である卜部泪に提出してください。また、調理実習参加を希望されている生徒はどのコースに参加するかの記入をお願いします。未記入の場合は試食会への参加とします。
　なお、テーマは「秋」とします。
　食べるものがおいしい季節です。
　みんなで美味しいものを食べましょう！

　また、他校の生徒さんの参加も受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。


　担当：卜部　泪（うらべ・るい）
　食材提供：蒼空学園校長　山葉涼司（やまは・りょうじ）



「この他校生も参加できますっていうから、他校の学食メニューの話を聞けたらいいわね」
　掲示板を眺める雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）はほくほく顔で呟きました。
「参加、するのか？」
　参加申込用紙を手にした高円寺　海（こうえんじ・かい）が雅羅に問いかけます。
「勿論よ」
「……そうか」
「というか既に卜部泪先生に助手をお願いされてるのよ。それよりもあなたは参加、……するのね」
「ああ。と言ってもコースはまだ決めてないけどな」
　名前と実習参加とが記入されている参加申込用紙に雅羅は眉根を寄せます。
「あなた料理できるの？」
　雅羅の疑問の声に、しかし、答えはなかったのでした。

　はじめましての方もお久しぶりな方も、こんにちは。保坂紫子と申します。
　どうぞよろしくお願いします。



　今回は家庭科の調理実習です。
　ただ、作る物だけが決定していて食材の指定はありません。が、
　「秋に採れる食材」のうち、好きな食材を好きなだけ使って結構です。調理実習なので美味しい料理が作れる様に丁寧に調理してください。
　また、調理実習と試食会はどちらでも参加できますし、どちらか一方の参加でも構いません。

　それと、テーマは「秋」です。そのことだけは忘れないでください！

　料理の得意な方も苦手な方も、より一層自分の腕を磨こうと考えている方も奮ってご参加下さい。

・料理は苦手だからうまくなりたい。

・誰でもいいから手料理が食べたい。