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悪魔の鏡

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悪魔の鏡

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シナリオガイド

ニセモノが続々登場。謎の鏡とドッペルゲンガーを追え。
シナリオ名:悪魔の鏡 / 担当マスター: 車 修理

 少し前のこと――。

「くくく……、やっと完成したぞ。これで私の欲しいものは何でも手に入る……」

 空京の片隅にバビッチ・佐野(ばびっち・さの)という一人の天才錬金術師が住んでおりました。
 誰に知られることもなく細々と工房を営み静かに研究を続けていたバビッチ・佐野は、長年の執念と努力の末、ついに念願だった秘宝を造り上げたのでした。

 『悪魔の鏡』

 その鏡に映した獲物は全てコピーできてしまうという、禁断のアイテムです。
 まずは試しに、自分の姿を映してみます。

「おお!」

 鏡の中からバビッチのコピーが現れたではありませんか! やはり、成功のようです。
 さて、次は……。

「こちらは……失敗か……」

 お金は上手くコピーできないようです。鏡なので文字が反対になってしまうからです。

「ふむ、少し残念だが、それ以外のものなら何でも増やせるということだ……」

 歓喜に打ち震えるバビッチ。もはや天下を取ったも同然です。
 が……次の瞬間……。

 ガンッ!
「ぐあっ!?」

 嬉しさのあまり油断していたバビッチは、鏡から出現したコピー・バビッチに不意討ちで強烈に殴られ昏倒してしまいました。

「……」

 コピー・バビッチは、ニヤリと笑うと『悪魔の鏡』を奪い取り、いずこかへ逃げ去っていきました。

「くそっ、私としたことが……」

 しばらくして目を覚ましたバビッチ・佐野は、事態を把握し自分のすべきことを思い出します。

「そうだ、『悪魔の鏡』を造らなければ……」

 なんと言うことでしょうか。殴られたショックで、バビッチはついさっき鏡を完成させたことを忘れてしまったのです。

「くくく……、設計図も材料も手元にあるのだ。あと少しで私の夢が叶う」

 この錬金術師は、コピーの存在などすっかり忘れて再び鏡の製作に没頭し始めました。
 
 


 そして、現在――。
 そろそろ肌寒くなってきた11月も半ばのある日のこと。

「……?」

 空京大学に留学していたエンヘドゥ・ニヌア(えんへどぅ・にぬあ)は、講義を終えての帰り道で信じられない光景を見かけて目を丸くしました。
 
 ドドドドドドドド……!
 もの凄い爆音を響かせて、空京の街中を派手な装飾を施した大型のアメリカンバイクに乗った男がやってくるではありませんか。
 その姿はいかにもマッドなライダー。通りを我が物顔で陣取りならず者さながらの傍若無人な走りに、エンヘドゥはわずかに眉をひそめました。街の人たちも迷惑そうに見つめています。

(まあ、いやですわ……。あれが噂に聞く“ぼうそうぞく”ってやつですわね)

 関わり合いになりたくない彼女は、別の道を行くことにします。が……。

「え……?」

 振り向いたエンヘドゥは思わず絶句します。
 バイクは、あろうことか彼女のすぐ傍までやってきて止まったではありませんか。

「ふぅ、ベヴィーな夕暮れだぜ。ノれるぜ……」
「あ、あの……。何をしているのですか、こんなところで……?」

 驚きのあまりにエンヘドゥが思わず声をかけてしまったのも無理はありません。
 鋲のついた真っ黒な革ジャンを纏い、頬には毒々しいペイント。バイクにまたがっていた男は、なんとあのシャンバラ教導団の金 鋭峰だったのです!

「遊び人の金ちゃんだ。……乗ってくか? 家まで送るぜ」
「いや、あの……」

 何が起こっているのか理解できずにエンヘドゥが硬直していると、遊び人金ちゃんは、何かに気付いたようにちっと舌打ちして再びバイクのスロットルを捻ります。

「……今日はゲンが悪いようだ。気が変わった。また会おう」

 ドドドドド! とエンジン音を撒き散らしながら、金ちゃんはバイクで走り去っていきました。

「……」

 彼女が唖然と立ち尽くしていた直後のことでした。
 向こうから血相を代えたもう一人の金 鋭峰(じん・るいふぉん)が全力で駆け寄ってくるのが見えました。
 
「一足遅かったようだな。逃げられたか……!」
「え……」
「すまない。驚かせたようだ。何もされなかったか……?」
「金鋭峰が、二人……? どういうことなのでしょうか」

 去っていったバイクと目の前の金鋭峰を見比べながら、エンヘドゥは混乱した表情になります。

「誰の仕業か知らんが、ドッペルゲンガーが出回っているらしい。私のニセモノが街の人たちに迷惑をかけているようだな。今朝がた偶然奴を見つけて探していたのだが、早急に何とかしなければ」

 あの金鋭峰が空京の街で暴れていたなど、あってはならないことです。大事が起こる前に事態を収束させねばなるまい、と彼は険しい表情になります。

「……くっ、こうなってしまった以上は仕方がない。極秘裏に処理したかったがそうも言っておられん。知り合いに相談してみるか……」
「わたくしも、姉に連絡を取ってみましょうか……。もしかしたら、親切なお友達が何人か力を貸してくださるかもしれませんわ」
「ああ、あのそっくりさんか。それは助かるのだが……ところで、君は本物だろうな……?」
「……まあ」
「冗談だ。今の台詞は忘れてくれ」
 
 金鋭峰はしかめ面で身を翻し、さっそく事件解明に取り掛かります。もたもたしていられないとばかりに、足早に去っていきました。

「くれぐれも、お気をつけて下さいませ……」

 エンヘドゥはそんな金鋭峰を見送りながら首を傾げます。
 今……、路地裏で何かが陽光を反射して光ったように思えたからです。

(あれは、鏡……でしょうか? なんでしょうか。とてもいやな予感がするのですが……)

 さて。
 追うべきか、追わざるべきか……。
 


担当マスターより

▼担当マスター

車 修理

▼マスターコメント

みなさんご機嫌いかがでしょうか。車 修理です。
今回もよろしくお願いします。

事態は結構シャレにならないかもしれませんが、気楽なドタバタコメディ調でいければいいな、と考えております。


◆事件について
 天才錬金術師、バビッチ・佐野が造り出した『悪魔の鏡』の仕業で、人間を始めとして様々なコピーが生み出されています。
 バビッチ・佐野は、実験と称してあちらこちらで鏡の力を試していますが、今のところ誰にも見つかっていません。
 金鋭峰のニセモノを作り出したのも、ただのイタズラです。偶然通りかかったのを見つけてこっそりと鏡に映しただけで、特に深い関係も感情もありません。
 しばらくは個人的に楽しむつもりのようです。逃げたコピー・バビッチにも気付いておらず、忘れて放置したままです。
 バビッチ・佐野は、あの後も鏡を作り続け、最大8個まで製作しています。すでにいくつかを好事家たちに超高額で売り飛ばした模様です。
 コピー・バビッチは、最初に作られた鏡を持っており、空京の街中に潜んでいます。コピーはオリジナル・バビッチの存在を知っており捕まらないよう警戒しています。彼にも特に深い目的はありません。イタズラ半分で、思うままにコピーを作っていきます。
 人間のコピーは、あまりにもそっくりで不吉なのでドッペルゲンガーと呼ぶことにします。

 金鋭峰は、事件収束のために、作られたドッペルゲンガーを回収し、バビッチ・佐野とコピー・バビッチから鏡を奪い取り破壊することを任じています。あるいは、鏡は彼に預けてもいいかもしれません。

 今のところ、事件は極力秘密重視で伝達されており、関係者以外には知らされていません。
 
◆『悪魔の鏡』について
 全長50センチ四方ほどで額ぶちのついた鏡です。
 鏡面に映った物は、人間であろうとそれ以外の物体であろうと、そっくりの模造品を作ることが出来ます。ただし、左右が反転されます。
 一見もの凄いアイテムに思えますが、製作者のバビッチ・佐野の思惑に反して、一つの鏡は同一物のコピーを二つ以上作ることは出来ません。一度映してコピーを作り出してしまえば、後は何度映しても同じものは出現しないということです。
 別の鏡を使えばその物体を新たにコピーすることが出来ます。その場合も出来るのは一つの鏡で一つのコピーのみです。
 また、コピーされたものをさらにコピーすることは出来ません。
 コピーする際には、何をコピーするかを所有者が念じなければなりません。コピーできるのはその時鏡に映っている一つの物体だけで、背景やその他の物体はコピーしません。
 鏡は対象物にはっきりと向けなければならず、対象物が半分以上映っていればコピーが出来ます。
『悪魔の鏡』は鏡に映らず、悪魔の鏡同士を映し合わせて増殖させることは出来ません。

 人間の場合、性格や習慣、癖などまで同じになるわけではありません。
 コピーされるのは、外見と能力値、装備所有しているアイテム(衣服も含む)だけです。
 この場合、一度コピーした後装備や服装を変更などしても別の個体とは判別されず、二人同じコピーを作ることは出来ません。また、変更した後の装備や衣装も同一人物の付属品であり、複製が出来るわけではありません。
 ドッペルゲンガーにオリジナルの記憶はありませんが、一般的な人間と同じくらいの思考力と意思を持っており、自在に動けます。
 性格はランダムに決められますが、負の要素が強くなります。

『悪魔の鏡』の強度は普通の鏡と同じ位で、衝撃を与えればヒビが入り割れます。
 鏡が破壊されると、コピーも消滅します。

◆参加について
 どの学校の生徒も参加できます。
 金鋭峰たちを手伝ってもいいですし「実はいつの間にか鏡に映されていて、自分のコピーがいた!」というのでもOKです。
 バビッチ・佐野を手伝ってもいいですし、彼らから鏡を手に入れて(奪って)今度は自分たちがコピーを作るのもありでしょう。


◆NPCについて
 金鋭峰は、関係者たちに事件を通達し任じた後は、何食わぬ顔で通常通り執務をこなしており捜索には参加しません。必要なものや場所は用意してくれます。
 代わりに、憲兵隊の李梅琳が責任者として派遣されてきます。彼女がリーダーとなって任務をこなすことになります。
 エンヘドゥ・ニヌアは事件に巻き込まれ、魂の姉的存在の泉美緒と合流して鏡を捜索するようです。
 ラナ・リゼットにも協力を仰いで空京に連れてきたらニセモノだったでござる……。と美緒は言っています。いや、美緒は「ござる」なんて言いませんが動揺しているのでしょう、きっと。ラナの本物はどこに……?

 空京の街に買い物ついでに遊びに来ていた雅羅・サンダース三世は、偶然、街中で自分のそっくりさんを見かけたと言っています。すぐに見失ったそうですが、もう一人の雅羅も不幸体質なのでしょうか? 気になるところです。

 一方で、天御柱学院生徒会長の山葉聡が空京でナンパしまくり、美少女ハーレムを築いているという目撃証言も飛び出してきています。
 サクラ・アーヴィング曰く、聡は二人いて、もう片方は全然事態に気付いていないとのこと。
 知らせて誘えば、もう一人の聡も全力でやってきます。
 ・これ以外のNPCは登場しません。


▼サンプルアクション

・『悪魔の鏡』を捜索する。

・ドッペルゲンガーを回収する。

・ねんがんの『あくまのかがみ』を手に入れたぞ!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年11月10日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年11月11日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年11月15日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年11月30日


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